表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方雷双歴   作者: よっしー兄貴
本編 〜幻想巡りの章〜
24/29

第二十四話 〜二度目の想起〜

この作品は東方Project二次創作作品です

既存キャラとオリキャラの絡みが多々あります

「いやぁ…本当に大丈夫かなぁ?」


「大丈夫だって!」


「その自信はどこから湧くんの…?」


「まぁまぁ、こいつなら上手くやるさ」


「だからその自信何?」


「私にもよくわからん。と、そろそろ地霊殿(ちれいでん)だぞ」


_______________



「で、勇儀(ゆうぎ)達があなたをここへ運んできたのです」


「は、はぁ…」


莉音(りおん)は、さとりが出したお茶を飲みながら、ここへ来た経緯を説明されていた。要は、寝ているうちに勇儀たちに運ばれ、地霊殿に着いたようだ。


「で、自分の記憶を戻したいと…」


どうやら地霊殿を目指していた理由も伝えられていたようだ。


「はい」


「まあ、できなくはないですが…」


「ですが…?」


さとりが不安そうな目で莉音を見た。


「割と鮮明に思い出しますよ?もし辛い記憶だとしたら…」


その言葉で一緒気持ちが揺らいだ。自分の父親のことを思い出すなら多分、あの事件の想起も避けられないこと。だとしたら…


「もう少し考えても構いませんし…」


「いや…」


しかし、莉音はある決意を抱いていた。もう逃げないと。あの過去からも…もう目は背けない。


「お願いします…」


「…わかったわ。ここじゃなんだし、場所を移しましょう」


二人は部屋を出た。廊下を歩きながら、莉音は気持ちを整えていた。どんなことを思い出しても、大丈夫なように…。向かった部屋の前で、猫耳が付いた少女と出会った。


「さとり様?その人は?」


「あぁ、ちょっと用事があってね。そうだお(りん)、今暇?」


「暇ですよ」


「では、部屋に誰も入らないように見張っててくれない?」


「了解でーす」


二人は少女に見張りを任せ、部屋に入った。中はあまり広くなく、本棚に囲まれた部屋だ。


「あの…さっきの方は?」


火焔猫燐(かえんびょうりん)火車(かしゃ)という妖怪で、私のペットです」


「ペット…!?」


「あ、変な意味は全くありませんよ。普段は猫の姿をしているので」


「は、はぁ…」


「それは置いておいて、早めに初めましょう。その椅子に座って」


「あ、はい」


莉音は部屋の真ん中の椅子に座った。さとりも椅子を持ってきて莉音の前に座った。


「では、目を閉じて…記憶の想起に集中してください…」


「はい…」


莉音はゆっくり目を閉じた。さとりは莉音の頬に手を添え莉音の額に自分の額を合わせた。


「では…もういい時に目を開けてください」


さとりがそう呟くと、過去の記憶がぼんやりと浮かび上がってきた。それも段々鮮明になっていく。


『莉音、こっちおいで〜』


白い道着に青の袴を履いた青年が莉音を呼んだ。


『おとーさん!』


(お父さん…じゃあ、この人が…)


青年は莉音を抱き上げ、優しい笑みを浮かべた。後ろの方に茹でたとうもろこしを乗せた皿を持った女性がいる。


(お母さんも…)


(ひかり)、莉音、おやつよー』


『お、莉音!今日のおやつはとうもろこしだぞ〜』


『わー!とうもろこし好きー!』


さりげなく呼ばれた父親の名前。


(光…駆雷(くらい)光か…)


正直、もう思い出すことは思い出せた。だが、まだ記憶を遡ってみたいと思い、莉音は目をつむったままでいた。場面が切り替わり、今度は光がサイズの小さい白い道着を持っていた。


『莉音、お父さんとおそろいの道着だぞ?どうだ?』


『おそろい!着る!』


光に着付けをしてもらい、莉音は白い道着と青の袴を身につけた。


『うん、やっぱり似合うな!』


『サイズもピッタリね。光そっくり』


『?おとーさん、これは?』


莉音が指さした先には雷の刺繍が入っていた。光の道着には無い、雷の刺繍。


『それは莉音のためにお母さんが付けてくれたんだ。全部お父さんと一緒じゃ間違っちゃうからな』


『そっか!』


莉音は光とおそろいの道着にご満悦の様子だ。


(思い出した。この後無茶言って同じのたくさん作ってもらったっけ…)


その後も場面転換をしつつ、莉音は記憶を辿った。

そして…


『お前は早く莉音を連れて逃げろ!』


『でも…』


(これ…まさか…)


ある日、昼寝から覚めると莉音は母親に抱かれていた。外は騒がしかった記憶がある。


『大丈夫、前にピクニックに行った時に使ったあの小屋を目指せ。俺はあいつを食い止める』


『…』


『お父さん?』


光は莉音の頭に手を置いた。


『莉音、お母さんのこと、頼んだぞ』


『え…?』


外がより騒がしくなる。風が唸る音まで聞こえてきた。


『早く行け!もうそこまで来てる!』


『光…無事でね…』


『あぁ。俺なら大丈夫だ。お前もな…(さくら)


光は妻、桜と莉音に目配せをした後、家を飛び出した。桜も莉音を抱いて家を出た。


『お父さん!』


莉音が見たのは、見たことも無い凶器を持って暴れる一人の人間と、上からの強風で拘束を試みる烏天狗、そして帯電しながら人間に向かう父親の姿だった…

そこで何故か記憶が途切れた。莉音はゆっくり目を開けた。そこにはさとりが泣きながら座っていた。


「さ、さとりさん…?」


「あんな記憶見せられて泣かない方が無理…」


「え、さとりさんも見てたんですか?」


「だって私が引き出した記憶をあなたに送ってたんだから…」


「そ、そうだったんですか…」


「ち、ちょっと…気分を落ちつかせてきますね…。あなたも少し休んでいてください」


そう言ってさとりは部屋を出た。部屋の外からうっすら聞こえてきた会話から察するに、燐もさとりに同行したようだ。

部屋に一人取り残された莉音は、思い出した事を整理していた。霊廟の時とは違う。自分に関する記憶は全て取り戻せた。いい思い出も悪い思い出も…無意識の内に忘れていた記憶も…。気持ちも落ち着いてきたところで、部屋の扉が勢いよく開いた。


「さとり様ー!」


入ってきたのは背中の大きな黒い翼が目立つ少女だ。


「あれ?さとり様は?それより、あなた誰?」


少女は莉音の前にトコトコっと寄ってきた。


「僕は駆雷莉音といいます。雷獣と人間のハーフです」


「ふーん。私は霊烏路空(れいうじうつほ)!地獄鴉だよ!」


空は満面の笑みで莉音を見ている。


「…」


「…なんですか?」


「んー?」


空はいきなり莉音の頬を人差し指でつついた。


「みゅ!?」


「やっぱり!柔らかい!」


そう言うと、空は莉音の頬を両手でムニムニと弄り始めた。


「ムニムニしてるー」


「うゆ…」


「お(くう)!何してるの!?」


「あ、さとり様!」


さとりが部屋に戻ってきた。


「ほっぺムニムニしてました!」


「お客さんに失礼なことしないの!」


「でもー…」


「口答えしない」


「…はぁい」


空は名残惜しそうに莉音の頬から手を離した。


「私はこの子とお話があるから、お空はお燐と遊んでて」


「はーい!」


空はまた勢いよく部屋を出ていった。


「ごめんなさいね。元気有り余ってる子で…」


「いえ、大丈夫です」


「ありがとう。あぁそれで、さっき私が勝手に打ち切っちゃったけど、思い出すことは思い出せたかしら?」


「はい。バッチリです。ありがとうございました」


「それは良かったわ。で、もう帰るの?」


「うーん、そうですね。なんか、すいません…こんなことのためだけに…」


莉音は申し訳なさそうな顔をして答えた。それにさとりは軽く首を横に振った。


「いえ、私もいい物を見せてもらったし…。そうだ。せっかくだし、お茶飲んで行ってください」


「いえ、そんな…」


「私は迷惑と思いませんから。遠慮しなくていいですよ?」


「それなら…」


「では、お燐とお空も呼んでみんなでおやつにしましょうか」


さとりと莉音は部屋を出て、食堂へ向かった。途中、燐と空も呼んで一緒に歩いた。空は気に入ったのか、ずっと莉音の頬をつついていた。

テーブルにはドーナツの大皿と、紅茶が五つ(・・)置かれていた。他に誰か来るのかと思い、莉音はさとりに数が多いことは言わなかった。しかし、四人のままで和やかな雰囲気でおやつを食べた。

作者のよっしー兄貴です。東方雷双歴第二十四話を最後まで読んでくださり、ありがとうございます。今回で莉音の記憶が完璧に戻りました。まぁ、記憶喪失じゃなく、自分で封じこんだんですけどね。

さとりの記憶の想起はさとりが記憶を引っ張り出す→さとりを通して記憶を見せるというシステムになってるので、さとりも莉音の記憶を見れたのです。勿論この設定は雷双歴での設定です。

そして莉音の両親の名前も出ましたね。駆雷光と駆雷桜です。二人とも莉音を可愛がってくれたいい親でした…また出る機会があれば…出るかも?

次回は地霊殿編が終わり、いよいよゴールを目指します。雷双歴もそろそろ大詰め。最後まで平和…というかシリアスにはならないと思います。

そんな雷双歴、次回もよろしくお願いします〜

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ