第十九話 〜お寺と霊廟と〜
この作品は東方projectの二次創作作品です
既存キャラとオリキャラとの絡みが多々あります
「ここだ…」
妖怪の山から戻ってきた莉音。人里近くの命蓮寺という寺に到着した。とりあえず門をくぐってみる。
「おはよーございまーす!!」
「ぴっ!?」
突然横から大声で挨拶された。見ると一人の少女が箒を持って立っていた。
「あ、あの…」
「命蓮寺へようこそー!!」
「あ…はい…。あの、ここは…」
「ここは人間も妖怪も受け入れてますよー!!」
「あ、あぁ…」
あまりの元気の良さに圧倒されてしまった。
「おーい響子。お客さん困ってるぞ」
「え?」
青い頭巾を被った少女が寺の方から声をかけた。そしてこちらに歩いてきた。
「お客さんは私が対応するから、響子はお掃除してて」
「わかりましたー!」
「さ、君はこっちへ」
「は、はい」
莉音は少女の後ろをついて歩いた。
「ごめんね。響子は元気な子なんだけど…元気すぎてさ」
「いえ、大丈夫ですよ」
「ははっ、優しい子だね。ところで、今日はなんの用事で来たんだい?」
「はい。実は…」
莉音はここへ来た経緯を話した。
「はぁ…なら姐さんに会わせた方がいいかなぁ」
「?」
「ま、このままついてきて」
「はい」
莉音はそのままついて行った。そして客間に通された。
「ここで待ってて。今姐さんを呼んでくるから」
「はい」
そう言って少女は部屋を出た。しばらくすると、少し派手な髪色の女性が入ってきた。
「こんにちは」
「こんにちは…」
「一輪から話は聞きましたよ。私はここの住職の聖白蓮です。あなたは?」
「駆雷莉音、雷獣と人間のハーフです」
「半人半妖さんでしたか。それで…」
「はい…」
「まぁ、紫さんが絡むなら何かあるんでしょう。最後まで頑張ってみてはいかがですか?」
「はい。そのつもりです」
「その途中、何か困ったことがあればいつでも来ていいですからね。アドバイスしますよ」
「ありがとうございます」
聖は柔らかな笑みを浮かべた。
「そう言えば、ここにいる方々も妖怪がいるんですか?」
「いるというか…ほぼ妖怪です。あなたが門のところで会った娘、幽谷響子は山彦で、あなたを案内した雲井一輪、彼女は入道を扱う妖怪…入道使いです」
「そうだったんですね」
「みんな個性的な子達ですよ。機会があれば挨拶してみてください」
「わかりました」
遠くから「姐さーん」と呼ぶ声がした。一輪が聖を呼んでいるようだ。
「すみませんちょっと席を外しますね。あ、別に帰っても構いませんからね」
「はい」
聖は部屋を出た。部屋を抜ける秋の風が心地いい。ふと、寺のみんなに挨拶しようと思い、部屋を出た時…
ガサッ…
「?」
茂みの中で何かが動いた。莉音は好奇心から中に何がいるか見てみたいと思い、下駄を取ってきて茂みの中を覗いた。すると…
「…」
烏帽子を被った少女が茂みの中で座っていた。
「あの…」
「えっ!?」
少女は驚いた様子でこちらを見た。
「な、なんじゃお主!」
「え…えーっと、ここに立ち寄ったただの半人半妖です」
「では、寺の者では無いのだな」
「はい」
「む…ならよいか…。いいか、我がここにいることは寺の者に言うではn…」
近くから足音がする。
「まずい!」
少女は莉音の腕を引っ張り、茂みに引きずり込んだ。
「わ…何!?」
「喋るなぁ!」
少女は莉音の口を手で塞いだ。
「あれ?お客さん帰っちゃった?」
一輪だ。持っているお盆にはお茶が乗っている。
「帰っちゃったなら仕方ないか〜…」
一輪はそのまま部屋を出た。
「なんだ…一輪か」
少女は莉音の口から手を離した。
「な、何を…」
「いや、ちょいとな。何、もう大丈夫じゃ。お主に特別用があった訳でも無いしな」
少女が莉音を茂みから出そうとした時
「あっ!物部!!と…聖が言っていたお客さん?」
「なっ!?お主、水蜜か…」
水兵のような格好をした少女、水蜜がこちらに気づいた。
「また来て…ここに何の用だ?」
「お主に関係はない!」
「本当か?いや、それより…その子に何をする気だ?」
「別に何もしないが…」
「本当か…?」
「本当」
「あんたのことだから『太子様を信仰させる』って言うかと思ったよ」
「…そっか。その手があったか」
「あ!?今の無し!!」
「お主、少し手荒いことをするが、許せよ」
「え?」
何をするか聞く隙も与えず少女は莉音に思いっきり腹パンをした。
「っあ…」
「すまない…」
あまりの強さに意識が飛んだ。少女は気絶した莉音を担いで立ち上がる。
「ちょっ…何してんの!?」
「霊廟に連れていくだけだ。太子様を信仰させる」
「だからって気絶させなくたって…」
「仕方ないであろう…」
「えぇ…そもそもあんたそんな力強かったっけ?」
「ちょっと術を使ったのだ」
「…」
「…では」
少女は水蜜に背を向けた。
「あっ!待て!」
「今回は我らが信仰を得るからな!炎符『太乙真炎』!!」
少女の詠唱の後、一気に炎が広がり視界を遮った。炎が消える頃には少女は既にいなくなっていた。
「あー…聖に怒られないよね…大丈夫だよね?」
_______________
「う…ん…?」
莉音が目を覚ますと、知らない部屋で布団に寝かされていた。起き上がろうとしたが、腹に痛みが走って起き上がれない。
「いっ…」
どうしようかと思った時
「まったく…布都はまた迷惑を…」
一人の少女が何かブツブツ言いながら部屋に入ってきた。下半身が亡霊のような感じになっている少女だ
「あ、あの…」
「ん?あ、起きていたのか。悪いな、うちの布都が迷惑かけてさ」
「い、いえ…」
「お腹の痛みは大丈夫か?」
「いえ…まだ痛みます…」
「あいつ…」
少女は莉音の腹に手を添え、力を集中した。
「ほら、もう大丈夫だ」
「え?」
「私の術で治したよ。治療系はあまり得意じゃないが、なんとかな」
起き上がってみたが、痛みはない。
「あ、ありがとうございます」
「いいんだよ。と、まだ挨拶していなかったな。私は蘇我屠自古。色々あってな、亡霊やってるんだ」
「はぁ…」
「そっちは?」
「あ、はい。駆雷莉音です。雷獣と人間のハーフです」
「へー半人半妖ってことか」
「はい」
「だからこの程度で済んだ…か。よし」
屠自古は部屋の入り口の方へ行き
「布都ーーー!!来ーーーーーい!!」
と叫んだ。返事は無かった。
「チッ…逃げたか?」
「あの…さっきから呼んでる人って誰なんですか?」
「なんだ。あいつ挨拶もしない攫って来たのか」
屠自古は呆れた顔をした。
「私が呼んでる物部布都はお前をここ、神霊廟に連れてきた奴だ。さっき叱ったから反省はしたと思ったんだが…」
そんな話をしていると、壁の方から声が聞こえた。
「あらあら蘇我様、ご立腹ですか?」
見ると、青髪の女性が壁に開いた穴から身を出していた。
「え…!?」
「青娥、いきなり壁抜けで来るな。お客さんビックリするだろ」
「あら、可愛いお客さんね。お名前は?」
「く、駆雷莉音…です」
「莉音ちゃんね。私は霍青娥。壁抜けができる立派な仙人様ですよ〜」
「騙されるな。邪仙だ。悪い仙人だ」
「蘇我様、そこまで言わなくても…」
莉音は青娥と屠自古のやり取りを聞いていた。少し仲良さそう…そんな感じはした。
「で?何の用なんだ?」
「えぇ。物部様を捕まえましたよ」
「感謝する。夕飯はお前のリクエストに応えるよ」
「ありがとうございます。では、芳香〜」
「おー!」
「離せー!!」
向こう側から二人の少女が姿を現した。
「あっ!その人!」
「お、おぉお主か。頼む!助けてはくれないk…」
「テメェ!!この子に危害加えておいて助け求めるとかふざけてるのかァ!!!!」
「ひっ…」
「こっち来いやぁ!!」
屠自古は布都の首根っこを掴み引っ張った。
「さっき聞いた話だと挨拶も無しに攫ったそうだが…本当か?」
「や…だって…」
「あ!?なんだって!?」
「う…」
「…莉音ちゃんは別の部屋に行こっか」
「…はい」
青娥と莉音は壁の穴を潜り別の部屋に移動した。まだ屠自古の怒鳴り声が聞こえる。正直今の状況が把握できてない莉音はただ黙っているしかできなかった。
作者のよっしー兄貴です。東方雷双歴第十九話を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。命蓮寺と神霊廟でのお話でした。
私実は神霊廟のキャラが好きで、布都ちゃんが東方projectでの最推しなんですよね。そんな押しが出る神霊廟編が次回から始まる訳ですが、テンション上がって他の話より少し長くなる可能性があります。ご了承ください…
そんなわけで次回は神霊廟でのお話になります。個性的な面々が集う神霊廟に連れてこられた莉音。ここでもなにかすることになるのか…
次回もよろしくお願いします〜




