第十四話 〜里から山へ〜
この作品は東方projectの二次創作作品です
既存キャラとオリキャラとの絡みが多々あります
「君が小さい頃はよく泣く子だったなぁ…私が抱くと悲しそうな顔をしたんだよ」
「なんか…すいません…」
「気にすることは無い。普通の反応さ」
慧音と夕飯を食べながら莉音は過去についての話を聞いている。幼かったとはいえ、慧音にも少し迷惑をかけてしまっていたようだ。他にも両親についても聞いた。莉音のことを大切に想っていた良い親だったらしい。
夕飯を終え、一緒に後片付けを済ませた。
「さて、私は明日の授業の準備をするから後はゆっくり休んでいてくれ」
「ありがとうございます。準備、頑張ってくださいね」
「ふふっ、ありがとう」
莉音は今日泊まる部屋に入った。既に布団は敷かれている。なんとなく布団に横になる。なれない環境に居たからか結構疲れている。そのせいで一気に眠気が襲って、そのまま寝てしまった。
「…ん、莉音…」
慧音の声を聞いて目を覚ます。
「ん…んぅ…?」
「やはり寝ていたか。よほど疲れていたのか」
「ん…はい…」
「まぁ、仕方ないな。だが、風呂には入った方がいいと思うぞ。その服も洗濯しておきたいし…」
「そうですね…そうします…」
眠い目をこすりながら立ち上がる。慧音と一緒に脱衣場に入った。
「あの…慧音さん。一人で入れますよ」
「そうか?風呂場で寝て溺れたりしないか?」
「大丈夫ですよ。もういくらか目も覚めましたし」
「そうか…なら良いか」
そう言って慧音は脱衣場を出る。莉音は服を脱ぎ、風呂場に入る。かけ湯をして湯船に浸かる。お湯の温度はちょうど良い感じだ。だが、それが眠気を誘ってしまう。徐々に眠気が強まってきて、完全に寝落ちしてしまう…その瞬間
「ほら!やっぱりダメじゃないか!!」
「ふぁう!?」
慧音が戸を勢いよく開けながら叫ぶ。莉音は驚き、同時に目を覚ました。
「もう少しで寝るところだっただろ?だから大丈夫かと言ったのに!」
「け、慧音さん!閉めてください!もう目覚めましたから!」
「…本当だろうな」
慧音は疑いの眼差しを向けた。
「本当です。眠くなる前にあがりますから…」
「…ならば信じるよ」
そう言って慧音は戸を閉めた。莉音は湯船から出て頭と体を洗い、短めに湯船に浸かってから風呂場から出た。慧音が用意した寝間着に着替え、部屋に戻った。
布団に入ったらすぐに眠気が襲ってきたので、そのまま寝ることにした。
次の日の朝、雨の音で莉音は目を覚ました。布団の横に畳まれてあった換えの道着袴に着替え、なんとなく昨日夕飯を食べた部屋に行った。部屋の中を除くと、莉音の分の朝食とメモが残されていた。メモには『おはよう莉音。私は寺子屋の授業をしているから、お昼まで部屋でゆっくりしていてくれ。 慧音』
莉音は指示された通り、朝食を済ませたら部屋に戻った。静かな部屋の中では雨の音がよく聞こえる。音から察するにそんなに雨は強くない。なんとなく外を見ながら寺子屋の授業が終わるのを待った。
正午、授業を終えた慧音が戻って来た。
「やぁ莉音。おはよう」
「おはようございます…?」
朝起きてからは初めて会ったから「おはよう」だったのだろう。
「さて。で、これからはどうするんだ?」
「これから…ですか。とりあえず次の目的地に向かう感じですね」
「なるほどなぁ。で、次はどこに行くんだ?」
莉音はリストを確認した。
「次は…妖怪の山、ですね」
「妖怪の山か。あそこは名前の通り妖怪が住む山だ。まぁ、莉音も半分は妖怪だし大丈夫だろう」
「本当ですかね…」
「あぁ、大丈夫だ。きっと」
「きっと…?」
「まぁ、大丈夫だ」
あやふやな言い方だが、慧音の言うことは信じてみることにした。
「では、もう行きますね」
「もう行くのか?もっとゆっくりして行ってもいいんだぞ?」
「いえ、早く行かないと紫さんになんか言われそうな気がして…」
「そうか…とにかく、体には気をつけるんだぞ」
「はい。ありがとうございます」
莉音は慧音の家を後にして、妖怪の山のある方の門に向かって歩き始めた。雨は小雨になっており、傘は必要ないくらいだ。そんな小雨降る里を歩く。雨がまた強くなる前に到着したいと思い、小走りで里を進む。
そんな中、ある人物に出くわした。
「お?莉音じゃん」
「妹紅さん!」
藤原妹紅だ。
「なんだ、里に来ていたのか」
「はい。妹紅さんはどうしてここに?」
「私?私は慧音んとこに遊びに行こうと思ってさ」
「慧音さんと友達なんですか?」
「ああ、そうだ。というか慧音を知ってるの?」
「はい。昨日お世話になりましたから」
「へー。まぁ、子どもの扱いには慣れてそうだし」
「子どもって…」
「子どもじゃないの?」
確かにまだ生きた年月は少ない。ならやはり子どもなんだろうか…
「おっと、立ち話しちゃったね。じゃ、私はこの辺で。頑張ってね〜」
「はい!」
妹紅との立ち話を終え、莉音は再び歩き始めた。
そして門の前に着いた。門を開け、里を出る。ここからでも見える山、あれが妖怪の山だろう。そう思い、山を目指して歩き始めた。
歩き始めてから少しした後
「ねぇ」
「!!」
どこからともなく声をかけられた。莉音は慌てて辺りを見渡したが、誰もいない。
「ねぇってば」
しかし、この声は聞いたことがある声だった。そして頭によぎるのは『いい加減な賢者』という印象を抱くあの人…
「その声…紫さん?」
「ピーンポーン」
空間を裂き紫が現れた。
「お久しぶりです」
「久しぶり。あれから色々あったみたいね」
「はい」
「まぁ、元気そうで何より。でも今日はあなたの現状を知りに来たんじゃないの」
紫は真剣な顔をして莉音を見ている
「あなた…」
「はい…」
「さっき私について愚痴らなかった?」
「え?」
今までのことを思い返してみる。一つ、思い当たる節がある気がした。
『いえ、早く行かないと紫さんになんか言われそうな気がして…』
(まさか…これ…?)
しかしこれを愚痴と言っていいのか、莉音にはわからなかった。
「言わなかった?」
紫は莉音と距離をつめ、目を見つめながら言った。
「い、言ってないです…」
莉音は目を逸らしながら答えた。
「ふーん、ならいいわ」
「あの…まさかこれだけの為に…」
「そう。これを聞くために」
どこか掴めない行動をする紫に莉音はすっかり振り回されている気がしてしまった。
「紫さん、からかってます?」
「えぇ。だっていじりがいがあるし」
「そんな…あまりからかわないでください…」
「えー」
そんな会話をしていると、スキマの向こうから『紫様ー!』と呼ぶ声が聞こえた。
「藍ね。じゃ、私はこれで」
紫はスキマに引っ込んみ、そのスキマも閉じた。莉音は再び歩き始めた。歩きながら、さっきの紫の発言について考えた。なぜいきなり愚痴った等と聞いたのか…
「紫さんのスキマならどこにでも出られるらしいし…だとしたら監視されていた…?」
それなら軽く恐怖心を抱くのだが、そうではないと信じたい。
夕方、雨は止み、夕陽が照らしていた。莉音は無事に山の麓に到着できた。
「よし、ここを登ればいいのかな?」
そして山を登ろうとした時だった、白い影が莉音の前に現れ、大太刀を莉音に向けた。
「何者だ…?」
作者のよっしー兄貴です。東方雷双歴第十四話を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。莉音くんって実は身長150cmなんですよ。ちっちゃくて可愛いですよね。
今回は人里から妖怪の山麓までのお話でした。もこたんと紫が再登場しましたね。紫さんはスキマ使ってちょいちょい観察(?)しています。なので今回の愚痴的な何かも聞かれてしまいました。もこたん再登場は「慧音出すならもこたんも出したいなぁ」って感じで出しました。けねもこはいいぞ。
次回は妖怪の山でのお話になります。天狗や守矢神社の面々と絡ませるつもりです。
そして近々莉音くんが再び特訓することになります…
次回もよろしくお願いします〜




