第十三話 〜人間が住む里〜
この作品は東方projectの二次創作作品です
既存キャラとオリキャラとの絡みが多々あります
「…ここだ」
大きな門の前、雷獣と人間のハーフの駆雷莉音は気持ちを整えていた。目の前の門をくぐれば、その先は人間の里。少し前まで拒絶していた人間が沢山住む場所…目の前にして大きな緊張が襲ってくる。
「大丈夫…人間は怖くない…大丈夫…」
自分に言い聞かせ、いざ門をくぐろうとした時だ。
「あのー…何してるんですか?」
「わあぁっ!!?」
後ろから声をかけられた。驚いて振り返ると、頭に小さな鈴を付けた同じくらいの背の少女が立っていた。
「こんなところで何してるんですか?」
「え…いや…里に入ろうと…」
たじろぐ莉音を見て、少女は何かを察したような表情をした。
「じゃあ、入りましょうか。半人半妖さん」
「えっ!?」
いきなり種族を当てられた。まだ自分については全く話していないのに。
「な、なんで僕が半人半妖だって…?」
「詳しい話は私のうちでしますから。ついてきてください」
莉音は言われた通り、少女の後ろをつきながら里に入る。中は人間で賑わっている。パニックにはならなかったが、ガチガチに緊張してしまった。
「あの…大丈夫ですか?」
「ハイ…ダイジョウブ…デス」
「うーん…大丈夫じゃない気が…」
しかし、その緊張もだんだん解けて、周りの環境に慣れることができた。少女の家に着く頃には大分緊張も解れていた。
「ここです」
「貸本屋…?」
「はい。貸本屋鈴奈庵、ここが私の家です」
少女は「ただいま〜」と言い、中に入る。莉音も「お邪魔します」と言い、あとに続いた。中には沢山の本がある。
「ここで待っててください。お茶を持ってきますね」
「ありがとうございます」
莉音は言われた通り、進められたソファに座った。ふとテーブルを見ると、本が一冊乗っている。読んでみたが、謎の文字で書かれているため、全く読めなかった。
「その本が気になりますか?」
少女は二人分のお茶を持って戻ってきた。
「これ…なんて書いてあるのかわからないんです。文字…というか記号で書かれていて」
「ですよね。普通は読めませんよ」
「普通は…?」
まるで特別な方法を使えば読めるような言い方だ。
「私なら読めるんです。あらゆり文字を読む力…それをみにつけているんですよ」
意外な答えが帰ってきた。里に住んでいるなら普通の人間なんだろうが、こんな力を持っているとは思わなかった。
「そんな力が…さっき僕の種族も見破りましたし、あなたは一体…」
「そう言えば自己紹介がまだでしたね。私は本居小鈴、ここ鈴奈庵で店番をしているんです。あなたは?」
「僕は駆雷莉音、雷獣と人間のハーフです」
「雷獣…雷獣って伝説の妖怪の!?」
「多分…そうかと…」
「えぇー!すごい!伝説の妖怪と人間の間に生まれただなんて!!」
「そ、そんなに…」
小鈴は興味津々な様子だ。
「しかし、なんでさっき半人半妖ってわかったんですか?」
「あぁ、私妖怪見破れる目を持っているので」
「そんな目を…」
「前にあるトラブルに巻き込まれてからですね。今はとても便利だと思っていますよ」
「はは…なんか、前向きなんですね」
「前向き…なんですかね?でも、楽しく毎日を過ごしてますよ!たまに妖怪も来ますし」
たまに妖怪も来る、つまり昔とあまり変わってはいないようだ。なら、里の人間の妖怪に対する印象も永遠亭で読んだ書記と同じく友好的なのだろうか…それを詳しく知るには里に詳しい人に聞くのが一番だと考えた。
「小鈴さん、この里について詳しい人ってどこに居ますか?」
「里に詳しい人…慧音さんかなぁ…慧音さんなら寺子屋に居ますよ」
「慧音さん…ですか」
「はい。寺子屋はここから近いですし、見ればすぐわかりますよ」
「わかりました。ありがとうございます」
莉音は小鈴に挨拶をして鈴奈庵を出る。外は日が沈みかかっていた。莉音は少し早足で寺子屋に向かった。鈴奈庵から歩いて少しの場所、『寺子屋』と書かれた小さな看板のある建物を見つけた。莉音は戸を叩く。すると、中から青い服を着た女性が現れた。
「君は…ここの生徒ではないな…誰だい?」
莉音はお辞儀して挨拶をする。
「はじめまして。半人半妖の駆雷莉音です。この里について聞きたくて訪ねました」
「はじめまして。私は上白沢慧音。この寺子屋で先生をしているんだ」
お互いに自己紹介をする。
「さ、とりあえず中に入ってくれ。詳しい話は中でしよう」
慧音と莉音は寺子屋の中に入り、奥の居住スペースの居間に入った。
「しかし大きくなったな、莉音」
「え?」
「君がまだ小さい頃だな…一度会ったことがあるんだ」
「じゃあ、お父さんやお母さんのことも…」
「勿論知っている。穏やかで優しい夫婦だったよ」
驚きだった。自分が幼い頃(今も見た目は幼いが)に慧音と会っていたこと、更に慧音が両親について知っていたことに。しかし、それは昔の事のはず。だとしたら慧音の見た目と年齢が合わない気がした。
「そんな昔のことを知っているなんて…慧音さんって…」
「あぁ、私はワーハクタクという妖怪との半人半妖なんだよ。普段は人間の姿をしているが、満月の夜は白澤の姿になるんだよ。半人半妖という点なら莉音と同じだな」
「だから昔のことも知っているんですね」
「そうだ。しかしなんか、女の子っぽくなったなぁ」
ここでも言われてしまった。しかし、慧音は莉音が男というのは知っているようだ。
「色んなところでそれ言われました…」
「色んなところで?どういう意味だ?」
「実は…」
莉音は慧音に今までのことを話した。
「なるほどなぁ。里に来る前にもいろんな場所に行ったんだな。で、女の子に間違われてきたと…」
「はい…」
「まぁ、なんだ…大丈夫、女の子っぽい男の子もいるさ。あまり深く悩むことではない」
フォローになっているようでなってないような気がするが、つっこまなかった。
「そう言えば、今夜はどうするんだ?」
「それは…どこに泊まるか、ということですか?」
「そうだ。なんならうちに泊めてもいいぞ?」
「では、お言葉に甘えます…」
「では決まりだな。じゃあ、これから夕飯の支度をするから、終わるまで待っていてくれ」
「ありがとうございます」
慧音は夕飯の支度のために部屋を出た。自分が過去に会っていた人、そして両親についても知っている。そんな慧音に色々聞きたくなってきた。今聞きに行くのは邪魔してしまうと思い、夕飯の時に聞くことにした。
どうも、作者のよっしー兄貴です。東方雷双歴第十三話を最後まで読んでいただき、ありがとうございます。かなり報告が遅れましたが、実はこの作品の主人公、駆雷莉音くんを描いてもらったんですよ。嬉しみが半端なかったです。
今回から人里でのお話に入りました。小鈴、慧音との絡みがありましたね。ちなみに、小鈴が人妖を判別できるのは鈴奈庵最終話のやつからです。うろ覚えですが、そんな力を貰った気が…
ちなみに阿求についてですが、本編では接触はないかなぁって感じです。番外編的なやつで再び人里に来た時に会うようにします。
次回も人里でのお話です。もしかしたら人里を出発するまでいくかも…
ちょっと前にお世話になったあの方が再登場します。そして莉音くんが変な印象を抱いているあの方も…
次回もよろしくお願いします〜




