第6話「チートスキル‥‥‥??」
その声‥システムボイスは痛みとダメージで朦朧とする意識にでも問題なく響かせていた。
ユニークスキル、「不屈」が発動しました。HPの減少が5%で止まります。
これが‥俺のユニークスキル‥!?
えええええぇぇぇ!!ちょ、弱くね!?
蘇生してくれる仲間いないと一撃死回避もほとんど意味ねぇよ!?
終わった‥と思う死にかけの少年の諦めは、次のシステムボイスによっていい意味で裏切られる。
ユニークスキル「不屈の精神」が発動しました。状態異常「気絶」、「麻痺毒」を無効にします。
遠退きかけていた意識が戻る、体を縛りつける重さも幾分か緩和された。あの赤髪‥ナイフに毒塗ってやがったか‥‥‥。
ユニークスキル「不死王の超再生」が発動しました。HPを30%まで自動回復します。
「自己鑑定」で見ていたHPバーが3割近くまで‥ちょうど3割なのだろう、一瞬にして回復した。首の痛みも大分ひいた。
それより、怒濤のスキルラッシュについていけない‥
ユニークスキル「死力の解放」が発動しました。1分間の間、攻撃力、防御力、魔法力、魔法抵抗力の数値が 100倍になります。
――――――――え???
今なんつった?ん、100倍?
いやわからん、とりあえずステ確認
《人間 名前 ジュン LV 3
ステータス
HP:48/160
MP:32/160
攻撃力:21000
防御力:21000
魔法力:21000
魔法抵抗力:15000
スキル
「剛力LV1」「堅牢LV1」「魔力LV1」「自己鑑定」「ユニークスキル」》
うわぁぁぁぁ!!!?一部ステータスがぶっ壊れてる!?
っていうか痛ててててて‥
体も軽くなった、余裕で動く‥
さて、不良共をどうにかするかね。
ゆっくり立ち上がる、うん、痛い。
「おいおい、こいつ首切られて生きてるぞ」
「不死鳥の羽もってんのか!?こりゃカバンの中身が楽しみだなぁ!!」
ニヤニヤすんなよ‥‥‥
「バカじゃねぇの‥‥‥‥」
「あぁ、また地面に寝かせてやるよ!」
スキンヘッドがこっちに向かってくる、あぁ、どうしよう、とりあえず、足払いかましとくか。
ずばっしゅゅゅん!!
足払いを受けるスキンヘッドはきりもみ状に回転して吹っ飛んだ、えぇ、強すぎかよ‥手加減したぞ‥今‥
何かが落下する音、そして「ぐぁぁ‥足が‥」と呻く声が聞こえてきた、可哀想‥?いやいや、俺殺されかけてるから、殺すなら殺される覚悟ぐらいしとけ。まぁ、殺さんけど。
不良は何が起こったか分からないのか呆然と立ち尽くしている、赤髪は見当たらない。
‥‥‥こいつら、何で動かねぇんだよ‥
‥‥‥もしや、今の俺の動きが見えてないのか??
こいつら、何が起こったかやっと理解したようだ、大分ビビってやがる。
こういうときは、優位を確立するために‥
「おい、てめぇら、調子乗るのも大概にしておけよ‥」
威圧してみる、暗くても分かる、あいつら顔色が死人だ。
それと、今思いついてしまった。この攻撃ステなら、アレができるかもしれない。
俺は足を少し上げ、その場に降り下ろした。
ズドン!!!
爆破の音にも近い音がその場に轟く、降り下ろした足の下にあるものは、足を中心とした、小さなクレーターだった。
「うわぁぁぁぁ!!!」
「ひぃぃぃぃぃ!!!!」
不良が一斉に逃げていく、何人かが許してくれとばかりに逃げ際に荷物投げてきてるし‥
一人の投げた財布から数枚の銅貨と、何か黒い石が地面に落ちた衝撃で外に出てきた。
この石、鑑定魔石‥じゃないだろうか、今日ギルドで鑑定をして対価を貰う仕事をしている人が使っていたやつと同じだ。
どうやって使うんだろう?
おおっ、鑑定できた‥あの不良共俺と強さ変わんねぇじゃねぇかよ‥
逃げていく不良を次々鑑定していく、全員に「殺人者」の称号があり、スキンヘッドには「殺戮者」の称号があった。それらを鑑定しようと思ったら出来なかった。
鑑定魔石の性能なのかな?
別のこと考えてたから分かんなかっただけだけど、首すげぇ痛い。正直動くたびにHP減ってその瞬間回復してる。
回復薬飲むか‥
香水がどんなのかは分からないが香水みたいな入れ物を開けて一気に輝く液体を流し込む。
よし!不味い!!
苦味‥なのだろうか、渋み‥とも違う、えぐみ‥
まず‥
でもかなり体力は回復した。とりあえず、不良だか盗賊だか分からない連中の荷物を回収、いや、そのまま戦利品としても良さそうだが明日冒険者ギルドに持っていってみるか。
「ぐうう‥」
あいたたたた‥そういや100倍は1分間って言ってたな。
スキル詳細が見たいけどそれどころじゃない。
現代っ子の俺は首元の傷から細菌が入らないかすごく心配なのだ。
「た‥ただいま‥」
俺の着ている服が血まみれなのだろう、酒場の片付けをしていたクレアさんとリリが急に顔を青ざめて
「わぁぁぁ!?どうしたの!?ジュン君大丈夫!!!?」
「え‥‥ちょっ、ジュン君‥大丈夫‥!?」
同時に駆け寄って来る二人、
「どうした‥?こっち、来て、座‥れ‥」
「ジュン君どうした!?傷どこ!?」
「ちょっ、あっと、あわわ‥」
リリさんとクレアさんに手を引かれて椅子に座らせられる。
「ちょっと襲われましてですね‥首をちょっと‥きら‥」
「首!?ちょっとリリ!?回復はよ!!」
「分かってる‥お姉ちゃん、はやく服と清潔な布もってくる。」
「あ、えと、はは‥」
「「ジュン君動かないで!!!」」
「治療‥終わった‥けど、傷口開くかもだから、まだ‥動くな。」
「ジュン君ちょっと上脱いでもらっていいかな?」
「え、ちょ、えええぇ?」
「こら、動くから‥傷口開いたでしょ‥」
リリがめっちゃ威圧を込めてこっちを見てくる、おい、可愛いかよ。
っていうかクレアさん、上着脱がすのちょ、やめ‥
「というか‥ジュン君‥」
「今回は生きて帰ってきたから良いものを‥」
嫌な予感がした。
「「夜は外出禁止ね!!!わかった!!?」」
「は、はい‥。」
この後、上半身裸にされ、体を拭かれ、着替えさせられ‥全て彼女らの手によってそれらが行われた。
「「今夜と明日は絶対安静だからね!はい!おやすみ!」」
「はい、あぁ、ありがとうございます‥おやすみなさい‥」
だいぶ疲れたなぁ、っていうか美女二人に囲まれて介抱されるってなかなかラッキーな状況なのでは‥。
それより、出会って2日の人にあれほどよくしてくれるんだ、彼女らがめっちゃいい人なんだろう。
体力はかなり回復したけど、血を流しすぎたみたいだ。だるさが止まらん‥寝よう‥おやすみ‥‥‥
起きたらもう日が高く昇り、惰眠を貪った後の気だるさが襲った。昼かよ‥しんどーい。
体は‥無事だな。リリの治療のおかげでまた助かってしまった。
もう下に降りてもいいけれど、先にスキルの確認をしたい。
《人間 名前 ジュン LV 3
ステータス
HP:160/160
MP:160/160
攻撃力:210
防御力:210
魔法力:210
魔法抵抗力:150
スキル
「剛力LV1」「堅牢LV1」「魔力LV1」「自己鑑定」「ユニークスキル」》
ユニークスキルを更に鑑定する。
《「ユニークスキル(ジュンモデル)」
スキル「不屈」,「不屈の精神」,「不死王の超再生」,「死力の解放」を複合したスキル》
前に鑑定したときと明らかに文言が変わっている。
更に詳しく鑑定する。
《「不屈」
HPが10%以上あり、HPを5%以下にする攻撃を受けたときに発動、HPの減少が5%で止まる。》
《「不屈の精神」
HPが50%以下の時に発動、全ての状態異常を無効にする。》
《「不死王の超再生」
HPが30%未満の時に発動、HPを30%まで急速に回復する。》
《「死力の解放」
HPが5%以下になった場合に発動、1分間の間、攻撃力、防御力、魔法力、魔法抵抗力を100倍にする。》
いや、すごい、すごい‥けど‥HP減ってるときに発動するタイプしかないやん!!?
正直「死力の解放」はチートだ。あのシンさんでさえ2000に届かないステータスを20000を超える事ができてしまう。
それと、「不死王の超再生」もえげつない効果だった。ほぼ一瞬にして体力が回復した。そして「不屈」っていうスキル、これは一撃死を回避するだけかと思ったら、5%で止まってくれる。つまりちょうど「死力の解放」が発動するのだ。そして「不死王の超再生」によってすぐに30%まで回復してしまう。そうすると10%を越えるから「不屈」が発動して死なない‥
ってことは5%で止まって、回復する前に100倍になった防御力を貫通する攻撃をぶっこまないと死なないのか‥‥‥
えええええぇ!!!強!!!
強いよ!!!
でも‥でも‥‥‥だよ‥
あんな思いしたくないよぉぉ!
痛いんだよ!?死にかけるんだよ!?
意気地無し?ビビり??
はぁ知るか!
怖いよ!!死を感じるんだよ!やだやだ!