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こう見えて異世界最強です  作者: オリガミ
第二章 王都編
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第32話「強き者たち」

1週間サボって申し訳ないです、忙しい(言い訳)

 以前、こんな質問をしたことがある。


『強くなるためには、どうしたらいいんですかね?』


 ふと、強くなりたいと思い、つい口に出してしまった。

 それは食事の席でのことだった。

 三人も軽くその話題を受け取ってくれた。


「ジュン君は今でも充分に強い。

 これからも強くなるだろうし、悩むことはないよ」


 シンさんは俺にそう言った。

 やはり、クロウと渡り合ったシンに、護衛団の団長のユウ、無属性魔法のスペシャリストのリリがいるこの中で、自分だけ弱いのが気になっていると思われたのだろう。

 まぁ‥気にしていないわけではないが。


「で、でもさ、ジュンはユニークスキルがあるじゃん、あんなの誰も勝てないと思うけど」


「‥ジュン君? ‥大ケガはだめだよ」


「分かってるよ、大丈夫」


 リリに釘を刺されたが、元よりそのつもりだ。

 あのスキルはHPが5%以下にならないと発動しない。

 5%となれば、大ケガどころではない。

 致命傷だ。普通なら出血で死んでしまう。


 文字通り死ぬほど痛いし、自分で首を掻っ切るのも頭がおかしくなりそうになる。

 基本的には、使わない。


 でも、リリやシンさん、ユウがピンチになったら使うのは決定事項だ。

 柱でも何でもこいやーって感じだ。


 しかし‥、


「早く強くなる方法とかないんですか?」


 言った瞬間、これは失言だったと気付いた。

 努力を重ねて、ゆっくり強くなった人に失礼だと。


「早く‥か」


 そう言ったのはシンさんだ。


「実を言うと私は、この数日―――十日にも満たない時間で、大幅に強くなった」


「え?どうやって?」


「ここに来てから、『魔闘術』を身に付けたんだ。もう使いこなせるように―――」


「えっ!使えないって言ってたじゃん!!」


 シンの言葉をユウが遮った。

 何か言いたそうな顔だが、むうう、と唸りながらひっこめている。


「まぁ、魔力の扱いに長けたジュン君なら、習得できないこともないだろう」



 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※


 と、いうことで、

 王都の外れまでやってきましたー。

 ガルド市、カコ市ときて、王都に進出しましたねー。


 この場所は、いつも通り街の中心から外側に向かって歩いたときに出る場所なのだが、なんせ王都は大きかった。

 ここを見つけるのにかなり時間がかかってしまった。




 さて、そもそも『魔闘術』とは、

 魔力を体に巡らせて身体能力を向上させる術らしい。

 ユウは既に習得しているが、騎士でも二人に一人の割合でしか使えない高等技術だという。


 身体能力、もしくは魔力のコントロールに長けていないと使えない。

 故に魔剣を作り続けてきたシンさんは容易に習得した。

 信じられないくらいのスピードらしい。


 俺の魔法の習得速度はリリ師匠のお墨付きだ。

 それで、『魔闘術』も無理ではないだろう、と。



 今から俺が練習する場所は、けっこう岩が残っている。

 ガルド市に似ているな。

 少し見渡すと、そこには道が走り、馬車が往来している。


 よし‥

 まずは、魔力をコントロールする感覚。

 これは、魔法の詠唱をするときに手に魔力が集められる感覚をトレースしよう。

 体全体に巡らせて身体能力を強化する‥‥。


 イメージはスーパーサ⚪️ヤ人。

 魔法の感覚を全身に‥‥‥


 はぁ!


「おっ、これ、できたんじゃね?」


 俺の体がさっきよりも少しだけ軽くなった気がする。

 それに、体を絶えず魔力が巡っている。

 維持するのは難しくないが、この状態になるのためには確かに魔力をコントロールする力は必須だ。


 ステータスを確認。

 攻撃力、防御力のステータスが50程度上がっている。

 なるほど、できたぞ、『魔闘術』。


「おお、おおおお!」


 剣がいつもより速い!

 右、左、横、返して、袈裟斬り。

 なるべく無駄のない動きを目指し、剣を振るう。

 最後はかっこよく全力の一撃で締めくくる。


「―――せいっ!」


 真上から真下へと、思い切り振り下ろした瞬間、

 真正面に剣閃が飛んだ。


 スバン!という快音とともにジュンの前方に衝撃が走る。


「お、おぉぅ」


 気づけば、体を巡っていた力の感覚がない。

 今ので集中が切れたか?

 いや、恐らく、飛ばしたのは魔力だ。

『魔闘術』で体を巡っていた魔力が放出された的な。



「いい『魔力撃』じゃネェかよ」


 ほえ?


「『魔闘術』は、覚えて半年か、一年ンってとこか?」


 後ろから‥いや、背後から声がしたしたので、振り向くと、一人の男が立っていた。

 二メートル近い身長に服の上からでもわかる筋肉、そして荒々しく乱した髪。

 口には獣人特有のものだろうか、大きな犬歯を覗かせている。


「え、いや‥。‥‥‥?

 一年も何も、覚えたの今日ってか、さっきなんだけど‥」


 はぁ?という顔をされた。

 仕方なくね?普通にできちゃったんだし。


「そういえば、さっき何て言ってました?『魔力撃』?」


「そうか、なるほど‥なるほど‥」


 背後にガーンという効果音を浮かべつつ、男はがっくりと肩を落とした。

 そして、バッ!とこちらに向き、


「お前!いいカオしてるな!」


「え‥え!?」


 いきなり顔をずいっと近づけられ、そう言われた。

 顔は普通ですよ、あなたの方がイケメンですよ。


「よし!俺の弟子になれ!」


 名案だ、とばかりに男はキメ顔を作る。


「え、ちょっ‥遠慮しときます」


 先程からの謎のテンションで一方的に話が進められている。それも、弟子になれと言うのだ。

 別段いらいらするようなことはないが、弟子になるのは都合も悪いし何よりこの人はまだ知らない人なのだ。


「あー、そーだよなぁ」


 男は再びがくりと肩を落とす。


「だってよォ、お前ぜッてー天才だろ。

 どうせすぐ強くなりやがって、騎士にでもなってよォ、

 そのうち英雄とか呼ばれンだろ?

 だったらオレの弟子ってことにしちまえばなぁ‥」


「よくわからん理屈だけど、天才って言われたのは嬉しかったぜ、ありがとよ」


 まぁ俺は普通の人間だからな。

 異世界転移アドバンテージだ、ははは。


「それと、さっきのあれ、何ていうんですか?」


 さっきから気になっていたことだ。

 えーと、何だっけ、『魔力撃』?


「はぁ、ほんとに知らネェんだなぁ、ありゃ『魔力撃』だ。

 名前の由来とかは、知らネェ。体ン中の魔力が放出されてんだよ、アレはな。」


 なるほど、まぁ予想でだいたい合ってるのか。


「そんで、お前『魔闘術』はどんなもんだ?それも初めてなのか?」


「あぁ、試したら、できた」


「チッ、天才かよ、くそ」


 なんだか褒められるのは気分がいい。


「やっぱり、オレの弟子に――」


「ならないよ。って、そんなに弟子が欲しいの?」


 俺がそう言うと、男はあぁ~という声をあげ、


「いや、いるんだけどよォ、最近バカみてェに強くなるわ、なんか言葉遣いッが変になってよォ。

『私は師匠と互角に戦えるよう努力しますので、お手合わせお願いします』なんて言ってくンだよ、気持ち悪ィ」


 強くなったから親離れする要領で師匠離れした、みたいな話か。

 まぁ、このおっさんのテンションなら弟子もそんなに窮屈ではないだろうし、意外と教えるの上手とかは考えられる話だ。


 まぁ、弟子になる気はないけど。


「あとよ、さっきの『魔闘術』は40点だ。体動かすためにこっちに来たんだ、手本見せてやるよ」


 男――改め、おっさんは立ち上がると、構えてぐっと、体に力を込める。

 視線の先にあるのは、おっさんの身長、2メートルほどの岩だ。


「見てろよッ!」


 おっさんが拳を出そうと予備動作に入った瞬間、身体中にビリリと電流が走る感覚がした。

 自分よりも明らかに強いものに圧倒される感覚――


 その男の正拳突きに、その岩は音を立てて崩壊した。


「すっげぇ‥」


 おっさんはニヤリ、と笑い。


「じゃあ、弟子には」


「ならないって」


 こうして、名前も明かさぬまま、俺とおっさんは出会った。

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