第30話「試験までに」
しばらく投稿できなくって本当に申し訳ないです!ケータイが壊れたり、いろいろと忙しかったりと‥これからは頑張りますのでよろしくお願いします
王都での三日目
「‥おはよ‥」
部屋を出ると、ちょうど同じタイミングで部屋を出たリリがいた。
いつもの薄桃色の髪に眠そうな目だ。
まだ眠いとばかりに欠伸をする。
かわいい。
朝、起きたときの最初に見る景色が最近はころころ変わっている。
クレアさんの宿屋に始まり、アレスさんの高速馬車、王都の宿屋に、今のユウの家に至る。
ユウの家は三人が言う通りの大きさだった。
急に住むことになった三人が満足に一部屋ずつ割り振られている。
三姉弟が来れるようにって、掃除、大変だったろうな‥‥‥
「やぁ、リリにジュン君、おはよう」
「おはよー、朝から家に人がいるっていいなぁ」
部屋のある2階から下りると、木剣を携えて外に出ようとするユウとシンさんがいた。
一ヶ月ほど前の俺と違い、今の俺は早起きだ。
恐らくテレビやケータイが無くなった影響が大きいと思うのだが、スッキリ目覚めることが多い。
が、剣士二人や宿屋の経営者に早起きで敵うことはなかった。
まぁ、その経営者は今は時間の止まる別空間で寝てるのだが。
‥やめておこう。
急いで支度をし、俺も訓練に参加することにした。
リリは、朝食の準備をすると言っていた。
もしかしたら男三人のテンションについていくのがしんどいのだろうか。
‥いや、リリなら気にしないだろう。
ここは、飯の用意してくれてありがとうだな。
剣の稽古はいつも以上に熱を帯びていた。
シンの明らかな目標ができたからか、ユウが参加したからか、もしくはその両方だろう。
ユウが飛びかかり、それに対応するシンの剣技が光る。
激しく攻守が入れ替り、打ち合う木剣の打撃音が絶え間なく響いた。
すごい戦いだ。だが
俺には分かる。この二人、全然本気ではない。
クロウ戦でのシンさん、対襲撃者戦でのユウを見たから言えることだが、あのときの彼らには鬼気迫るものがあった。
ユウは機動力を活かしたヒットアンドアウェイ、打ち込み、次の瞬間にはシンの間合いの外に脱出する。
対するシンはユウの剣を受け流し、カウンターを放つが、既にユウは剣の届かないギリギリの位置にいる。
が、しかし、シンのカウンターを避けきれず、剣を使ってその攻撃を防いだのだ。
避けるでも、受け流すでもなく、防ぐ。
その一瞬からユウが押され始めた。
このままではまずい、とユウの本気度が引き上げられた。
おそらく命を取り合う勝負を除けばかなり本気といった程度。
もちろんそれにつられてシンの剣も冴え渡る。
最終的に、「強くなったね、シン」というユウの言葉で締めくくられた。
シンさんも「ユウもあのときとは違うな」 と返していたが、『あのとき』とはシンさんたちがユウと出会った数年前のことだ。
その頃は冒険者として活動していたそうだが、果たして俺はその頃のシンさんやユウに勝てるのだろうか‥‥
いや、勝てない気がする。
よし、修行を頑張ろう。
朝の稽古が終わったら朝食だ、リリが準備をしてくれている。
朝稽古組はそれぞれお礼を言ってからいただきます、リリは「‥どういたしまして」と笑っていた。
メニューはガルド市でよく食べたような感じだ。
クレアさんをよく手伝っていたから得意料理といえるのだろう。
「おいしい。クレアさんが作るより美味しかったりして」
「‥いやいや、お姉ちゃんの方がずっと美味しく作れるよ」
一口食べて微笑みをこぼしたユウにリリが謙遜を言うが‥これほんとにおいしい。
「シンさんシンさん、騎士試験まで何かするんですか?」
騎士・Sランク冒険者試験までにはまだ時間がある。
何もしないのはもったいない。
「そうだな。冒険者ギルドの依頼を受けたいと思っている」
「なるほど、ボクわかったよ、レベル上げでしょ?」
「あ、だったら俺も付き合いたいです!」
「あぁ、そう言ってくれるならありがたい」
「‥そういえばユウ、仕事はいいの?」
ユウは王都で護衛の仕事をしている。
俺と初めて会って、敵と戦ったのも、ユウが護衛の仕事をしているときだ。
聞くに団の中でもトップクラスの強さで、編成される護衛団の団長を任される実力らしい。
年下なのにすごいことだ。
「あぁ、いいのいいの、襲撃に遭ったのもあるし、大きい仕事を終えて、休んでてくれーって感じだから」
「‥じゃあ、また昔みたいにパーティーが組めるね」
「そうだね!楽しみ!」
「‥‥‥」
昔のパーティーに俺はいないため、ユウみたいにはしゃぐことができない。
それは仕方のないことだが、三人と一緒に冒険者するのは楽しみだ。
「シンのレベル上げなら、強い魔物と戦うのがいいよね、Bランクか‥いや、Aランクの魔物でも倒せるか」
「ユウ、すまないが私たちのランクは上がっていなくてだな、未だにCなんだ」
「あ、大丈夫、ボクAランクだから」
「 ! 」
俺‥Eランクなんだけど。
「じゃあ、今日はどうしようか」
「‥とりあえず‥どんな依頼があるかだけでも見に行くとか‥?」
「うーん、討伐系は‥ゴブリンなら無双できる!」
「‥‥」
シンさんが黙っている。
ゴブリン発言がそんなに微妙だったのか。
「‥兄さん‥?どうかした?」
「いや‥‥‥‥‥。依頼を受けるのは明日からにしよう」
「ボクはいいけど、シン、なんか用事あった?」
「いや、実はだな‥。
‥‥。初めて来た王都を見て回りたいんだ‥」
何を言いづらそうにしていると思ったら、そういうことだったみたいだ。
そう言うシンの顔は恥ずかしかったのか、ほんの少し赤くなっている。
シンさんは紳士だから、あんまり自分のしたいことは言わない。
自分が作った冒険者で依頼を受けようという流れを壊すのも抵抗があっただろう。
「そうですね~、こっちで生活するから、もっと服が欲しいです」
俺はシンさんの気持ちはわかっているとばかりにフォローをいれた。
「‥賛成」
リリはにこりと笑って同意してくれた。
「もちろんいいけどさ‥」
「??」
「シンって、たまに‥極たまに‥かわいいよね」
シンさんはイケメンだ。
リリだってかわいいし、クレアさんは美人で、ユウも中性的だが美形だ。
俺の隣には、高確率でイケメンの京介がいたから慣れているもので、顔面偏差値への嫉妬などはなかったが。
久しぶりに、イケメンっていいな。と思った。




