第2話「こ、これはかの有名な‥!!」
ここから怒濤の設定公開ラッシュなのですが、どのくらいのペースで設定の話を出せばいいかさっぱりです。
―――やっぱりこれって‥‥。
《人間 名前 ジュン LV 1
ステータス
HP:150/150
MP:150/150
攻撃力:150
防御力:150
魔法力:150
魔法抵抗力:150
スキル
「自己鑑定」「ユニークスキル」》
俺の頭に浮かんだこれは‥間違いない、
RPGゲームでほぼ100%と言っていいほど登場する、
かの有名な‥ステータスだろう。
「おぉぉ‥‥」
思わず感嘆の声を漏らす、あのステータスが、自分の能力を表示していると思うと、夢が叶ったような、いや、一言で表せる、テンション上がる。
俺の中でなんだかわくわくが止まらない!!
とりあえずご飯食べてから考えよう!
と思いつつ、ステータスに憧れた少年は、ゆっくり味わうはずの最後の地球食を早食いするのであった。
さて、頭の中でステータス画面を開く。さっきの声はしなかった。多分、初回限定なのだろう。
仮にあの声、システムボイスとしておくか。
それより、俺のステータスだが‥‥。
今までの人生の経験から悟った、
間違いない、全て平均値だろう。
魔法なんてない世界で暮らしてきたのに魔法系統含む全ての能力が150って!!
まぁまぁ、きっと大事なのはスキルだ。
えーっと、なになに?
《「自己鑑定」
自分のステータス及び、スキル、スキルの詳細などを確認することができる。》
なるほどなるほど。
さっきのはこれが発動したわけか、自分の能力が分かる、地味だけど、自分を知るのは大事だって言うしね。
次はおまちかねのユニークスキルの詳細を見よう!!
チートスキルの予感だわ、もしくは考え方によっては最強‥‥みたいな!!やっぱりどう使うかが大事なのよスキルってのは!
そんじゃーー開封!!
《「ユニークスキル(ジュンモデル)」
個人に様々な理由で授けられる特殊なスキル、詳細は初回発動後に確認可能。》
おい!!焦らしかよ!!
分からないとか、回りくどいのやめてくれる!?
チートは!?初回発動いつだよ‥。
1つ前の表示に戻る。
よく見たらしたの方に見落としていた表記があった。
《称号
「異界からの来訪者」》
―――そっか。理解してたつもりだったけど、ほんとにここ、地球じゃないんだな。
父さんと母さん、京介に紫に日和‥‥もう会えないのか‥。
称号を、更に鑑定してみる。
《「異界からの来訪者」
異なる世界から転移してきた者に与えられる称号。スキルなしでは、この世界で生き抜くのが厳しいため、この称号を持っている者には、スキル「自己鑑定」と、「ユニークスキル」がそれぞれ支給される。また、この称号は、同じ称号を持つもの以外の鑑定結果からは除外される。》
お、おぉ~!!
このスキルの支給よ!!こんな配慮があるなんて優しすぎるぞ運営!!
まぁ、運営の有無は置いといて、今はユニークスキルを発動させるのが最優先な気がする。
今では強盗にでも襲われたら多分終わりだからな。
といいつつもお金をどうするか、泊まるところをどうするか、という問題の方が明らかに優先度が高い。
俺のユニークスキルがなんなのかが気になって仕方がない。
俺はいつでも平均的だからもしかしたらステータス強化とかだったら凹むなぁ‥‥。
とりあえず、スキルを求めて町に潜ってみよう。
あくまでお金と宿を探すんだけれどね。
この街は、なかなか大きい。人も多く、商店街のようなところにはとても活気がある。
中世ヨーロッパ風のレンガや木でできた住居が異世界感を匂わせる、道路も結構舗装されていて、歩きやすい。
「‥‥うふふふ、ひひっ‥‥。」
いかんいかん、ユニークスキルを発動して異世界で無双する自分を想像するとニヤケが止まらん‥‥。
だってこれ、あれだろ?ライトなノベルとかで最近流行の異世界ファンタジーでしょ?やっぱ転移者、転生者にはチートスキルは定番よ。
魔王を倒したり、アホな貴族をこらしめたりとか、
ハーレムを作ったりとか‥‥。
いや、1番最後のはない!!周りに女性がたくさんいるとかならまだ全然歓迎だけど、結婚するなら相手は生涯一人とじゃないとなんかイヤだな。
まずハーレムとか男としてどうなんだろうって話よ。
だから俺はー!ハーレムは絶対にしません!
街の中でも、一際活気のある商店街に来た。まぁ、お昼前に1回来てるんだがな。
っていうか、建物がでかい。
4階くらいは余裕でありそうなお店や家が並んでいる、こんなに建物がでかいのはこの辺だけだ。
一人の女性が4階の窓から身をのり出して、何か飾り付けをしている。
なんだろう‥‥旗かな?
いや‥旗だな。
万国旗の様にいくつも連なる旗だが、もちろん日章旗などあるわけない。‥あっ、あれイタリアに似てるな。
女性はあの高さが恐くないのだろうか?
なかなか危険な高さだ。
気を付けて頂きたい。
――――――!!!!
俺は見てしまった。女性が4階の窓から落ちる、その瞬間を。
――――――やばい。
一気に走り出す。
もちろん、落下する女性を助けるためだ。
「いけ‥るか‥」
周囲の人から悲鳴があがる。
くっ、間に合え‥‥
高さはざっと、11メートル~12メートル
落下する地点までは大体‥長くて2秒!
全力で走ればぎりぎり間に合う!
周囲の悲鳴の中に、1つ、お姉ちゃん!!という声があった。
姉が落下した窓から身をのり出して青い顔をしている美少女だ。
女性を捕捉していたら彼女が視界に入った。
こんなときにって感じだけど、かわいい。
活力をありがとう!!
女性が残り3メートル程まで落下したところで、落下予想地点に、手が届くくらいまでに到達することができた。
間に合った!いける!!
――間に合ったと思ったらこれよ。
あの女、失礼、女性が体勢を立て直そうと体を捻って回転させたのだ。
回転させて、投げ出された足が俺の頬に当たる。
「ぐふっ‥‥っ。」
「ひぇぇ???」
俺も女性も完全に体勢を崩す。
痛い、蹴られた。視界が揺れる。
揺れた視界の先でふと、さっきの美少女が再び視界に入る。
「くっ‥‥そぉぉぉ!!」
無理矢理体を動かし、女性に手を伸ばす。
届いた!!しかし、バランスを崩す。
ものすごい音がした。痛てて、下敷きにされたわ。
やべぇ、頭は避けたけど、腕や胴がすげぇ痛い。
あと、体が動かない。重い。
「ちょっとあなた!!?大丈夫!?」
「お姉ちゃん!!!!」
「お、おい、怪我はないか!?」
そんな一気に喋らなくても‥。
あっ、ステータスを見たらHPが48も減ってる、痛いけど、48ってどのくらいのダメージなのかわかんねぇなぁ‥‥。
とか考えながら、三浦准―――改めジュンは、意識を手放した。