第26話「あの人」
投稿が遅れて申し訳ない!
16日、細かいミスを直しました。
ある人―――その存在については、リリとシンさんが言及したものだ。
それについて尋ねてみたが、二人とも笑顔のままはぐらかすだけで、教えてはくれなかった。
いったい誰なんだろう?
そういえば、三姉弟の出身は孤児院らしい。
これを聞いたときは驚愕したものだが、この世界では別に珍しいことではないらしい。
クレアが10歳のときに孤児院を出て、その六年後にシンとリリが一緒に孤児院を出た。
それからしばらく冒険者として活動し、その後宿屋を経営するようになったらしい。
つまり、そのある人とは二人の両親や親戚の事ではない。
‥‥‥となると誰だ‥?
生き別れの兄弟とか‥ないか。
考えてもわからんか。
朝が来た。
昨日一日休んだせいか、ものすごくスッキリ起きることができた。
が、しかしリリとシンさんは既に起きて活動を始めていた。
シンさんは何やら紙を見ながら魔剣を創造するスキルを使って魔剣を製作していた。なんだか頼もしい。
リリは寝癖を直していた。
かわいい。
二人とも、宿屋での生活が染み付いているらしく、朝から何かしら行動を起こさないと落ち着かないらしい。
土曜日曜はお昼前まで寝ていた俺とは大違いだ。
朝食の前に毎日シンさんは剣の稽古をしている。
俺とリリは馬車での長旅で体が鈍っているだろう、ということで、一緒に参加することにした。
と言っても、俺は二日前に死にかける程のガチ戦闘やったんだけどね。
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いち!に!さん!
数が発せられる毎に剣が振り下ろされる。
素振りだ。
宿屋の庭では、俺たちを含めてもけっこうな人が体を動かしている。
見た感じ冒険者の人だ。
使えるスペースが大きいので皆お互いをあまり気にすることなく素振りだの手合わせだの体操だのをしている。
「よんじゅいち!‥‥よんじゅに!」
素振りは実はやったことがあまりないので、シンさんとは別次元のカッコ悪さなのだが、それ以前に剣速が違いすぎる気がする。
シンさんが剣を振るとヒュン!という音がするのだが、俺が振るとブーンという音がする。
ステータスはレベルアップで上がったからか、シンさんの凄さがよく分かる。
因みにリリは魔刃という魔法を使って素振りをしている。
まぁ、言うなら魔盾の刃物バージョンだろうか。
魔力の操作で軽く動くものだから最強じゃね?と思ったが、魔盾と比べて耐久力がないらしい。
まぁ、魔法も万能ではないってことか。
「ジュン君、見ない間に随分太刀筋が良くなったように見えるな」
「ありがとうございます」
「剣は実力が上がるほど技術の重要性が高くなる。それも、簡単にステータスの差をひっくり返す程にだ。」
そういうもんかね。
「技術が高い者は、ステータスを存分に活かすことが可能だ。例えば、攻撃力1000を超えていれば、『魔斬り』という技ができる」
「リリ、魔弾を頼めるか?」
リリが「うん」と返事をし、二人は距離をとる。
シンは素振りに使った木剣を置き、腰から愛用の魔剣を引き抜く。
リリの手から魔力の弾丸が形成されて放たれた。
それは一直線にシンに向かって飛翔し―――
「はっ」
シンの剣によって真っ二つに切断された。
かっけぇ。
「ん、久びさだけど準備はいい?」
「へ?」
俺からは間抜けな声が出たが、シンさんはちゃんと返事をしている。
これで終わりではなかったみたいだ。
リリが魔弾を生成、いや、魔弾だけではない。水弾や風弾も混ざっている。
次の瞬間、高速の千本ノックの様な形式の『魔斬り』を見た。
なんだか、俺はこのレベルに‥
やめておこう、シンさんは強かった。
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「えーっと、西区の第四地区‥‥」
ガルド市よりも整備され、もはや地球のどこかなんじゃないか、と思えるような王都の街道を歩く。
道の真ん中では馬車が通るため、端を通行している。なんだか日本を思い出す。
人は右、車は左って常識にもう一ヶ月近く離れるのか。
「王都って大きいですね」
「あぁ、国内最大だからな。ガルド市も大きいが、こっちは建物が大きい」
「西区だから、このまましばらく‥直進」
これから向かうのは、ある人のところだ。
俺は全く知らないのだが、二人は楽しそうだ。
手紙には、いつでも遊びに来てください、と書いてある。
大きい家を買ったそうだ。
家ってお高いんでしょう?もしかしてけっこうな大人だったりするんじゃないのだろうか。
差出人は‥ユウ?
なんだか頭の中に黒い髪の綺麗な女性が思い浮かんだ。同時に黒い髪のイケメンも思い浮かんだ。
たった二文字で黒髪という特徴が予想されてしまうとは、イメージというのはすごいな。
まぁ、黒髪の美形は勝手なイメージだが。
「ん?これ‥なに?」
ふと、リリが目にとめたのは、地面に掘ってある、小さな溝だ。いや、浅いというだけで、溝は一直線に走っており、どこまで続いているのかと、目で追いかけても、途中で見えなくなった。
「これは、区の分かれ目にある溝らしいんだが、そうだな‥すまない、考えてもわからないみたいだ」
「そうっすか」
電線でも通ってるのかな?それはないけど。
「ん、ここかな」
「あぁ、住所は合っている。聞いた通り、大きいな」
たどり着いたのは、家だ。
一般的な住宅と言えよう。しかし、確かに他の家と比べるとやや大きい。
二世帯住宅‥よりかは大きいくらい‥かな?
「いるかな?」
「いなかったら、また来よう」
「ジュン君にも、紹介‥しなくちゃ‥ね」
どうやらここの住民があの人らしい。
一人だと思ったのだが、複数人かもしれない。
昔、冒険者のときのパーティメンバーとかだろうか?
だと、思ってたんだけどなぁ。
「ああぁー!!あのときの!!」
ドアを開け、「リリ!シン!」とその顔を喜びで満たし、視線を俺に移した瞬間、その人は叫んだ。
リリもほとんどかわらない身長。
髪の色は灰色で、長めの髪がとても中性的だ。
しかし左目の部分には伸びた髪がかかっており、その下にある瞼は閉じられている。
間違いない。
あのときの、護衛の少年だ。
「あ、え‥あのときの‥」
やばい言葉が出てこねぇ。
どうしよう。そういえばこの人、俺のユニークスキル見てるんだった‥。
「んえ‥?知り合い‥‥?」
その頃、シンとリリの頭上には、「?」が大量に浮かんでいた。
その家のリビング、そこに全員で席に着いたのはいいのだが、席にたどり着くまで、少年は十数秒毎にチラチラとこちらを見ている。
気になってるんだろう。
そりゃ、気になるわな。
「リリにシン、ようこそ我が家へ、クレアさんはどうしたのか‥っていうか―――
なんで柱の人がここにいるの?」
ちょっと待てよ。
こいつ、いきなり爆弾ぶっこんできやがった‥‥‥!!




