第20話「参戦」
5000PV頂きました!またまた小さな一歩ですが頑張っていきます!!
<馬車の護衛隊の隊長視点>
くっ‥これはまずい‥‥‥
切羽詰まり、焦燥感で一杯になりながらも、地を駆け、跳躍し、剣を振るう。
――――敵はスケルトン。
堅牢な骨の魔物だ。
いくら硬いと言っても、せいぜい防御力600程度。剣で振り抜けば簡単に両断に至る。
機動力を見ても、ボクの敵じゃない。
ただ、数が多すぎる。
そして、この戦いの相手は、スケルトンであって、スケルトンではないのだ。
この魔物を召喚した魔法使いがいる。
「――――――ッ」
既にスケルトンを14体も召喚している、かなりのMPを持っている使い手だろう。
姿を現していないところから、単数であるとは考えられる。
その使い手が全く見つからない。
発見することに意識を割くことすら難しい。
既にこちら側はカールが肩を斬られて落ちている。死んではいないが、自分で応急処置をして再び戦えるのは厳しと思う。
これも、術者を見つけるのに気をとられ、スケルトンの相手を片手間にしたボクのミスだ。
これ以上は気を抜けない。
2対6という数の差があるため、余所見などできるわけもない。
ボクと一緒に戦っているジャックだが、能力を全て防御に振ったような男だ。
ジャックの防御を考えて、すぐにやられるというのは考えにくい。
「ジャックさん!前はボクがやるから、後ろを!!」
ギリギリで安定しているとはいえ、ボクが正面から相手できる数は3体まで。
ジャックに1、2体任せるとはいえ、きつい。
でも、絶対に負けるわけにはいかない。
「―――っはあ!」
スケルトンにできた隙―――それにつけこみ、1体のスケルトンから首を奪う。
このまま押しきりたい。
―――――が、すかさず魔方陣が地面に展開、新しい個体が呼び出される。
「―――――ッ‥だめか‥」
魔方陣が光を放っていた時間、それは1番術者を発見しやすいと考えられる時間である。
そんなチャンスさえ、スケルトンの相手をして費える。
本気を出せば、この状況を打開できるかもしれない。
でも、代償が大きい。
深く踏み込もうものなら横か後ろにいるスケルトンの攻撃に晒される。
足を止めて戦おうものならすぐさま包囲される。
スケルトンを撃破したとしても、新手が召喚される。
術者を倒そうとも、位置が割れていない。
では術者を探そうとも、スケルトンはそうさせてはくれない。
多対1を生き残るためのヒット&アウェイで跳び回り、硬い骨に亀裂を入れていく。
C級の魔物であるスケルトンでも、あと何体ストックがあるか分からない。
こちらは消耗が激しい。反対側の3人にジャックは特に酷いだろう。
現にボクも少しずつ息が切れてきた。
――――圧倒的不利
ジリジリと戦況が悪くなる。
状況は、詰みに近かった。
そして、「助けにきた。こいつら全員倒すぞ。」というセリフとともに現れた男。
少し、格好いいとは思った。
確かに、助けてくれるのはありがたい。
しかし、この人はスケルトンを相手にできるほど強くないことが一目でわかってしまった。
こんな人を戦わせたら、すぐまたカールみたいに地面にひれ伏すだけだ。死ぬかもしれない。
そんな考えとは対称的に、男は剣を構えた。
一人くらいだったら‥逃がすことはできる。
「馬鹿っ!一般人がこんなとこ―――」
「――――あの‥木のとこ」
「――――――――――――」
ボクのその男への避難命令は、男の言葉で上書きされる。それが一瞬何を意味しているのかを、理解することができなかった。
「ふんっ!!」
男がポケットから小石を取り出し、大きく振りかぶって投石。
投げられた石は狙いは真っ直ぐに、木の下へと―――
「痛っ!‥‥え‥なん‥で‥?」
短く反応があり、敵が、姿を現した。
黒いローブにフードを被った女だ。
「――――――――――――」
間髪入れずに地を蹴り、飛び上がる。
残りの魔力はここで使う。
魔闘術は解禁だ。
体内の魔力を全身に巡らせ、身体能力を強化した。
先程の全力の踏み込みなら、術者までの距離など一瞬で埋まる。
女は右手を前に出し、魔法による迎撃を見せる。
「―――――――っ!えっ!?」
女は魔法を使おうとしたが、そこに飛来してきたのは魔法の弾丸だ。それは魔法を使う右手に綺麗に着弾。
手傷を負わせながら、魔法の構築を無効化した。
「はぁっ!!」
そして本命の攻撃であるボクの斬撃。女はすんでのところで身を引き、首がはねられるのを回避。
しかし、とっさに頭を庇おうとした左手を、手首から落とした。
大丈夫。いける。
<ジュン視点>
「よしっ!当たった」
作戦は、概ね成功だ。
なるべくスピーディーに術者の位置を少年に伝え、投石で詳しい場所を示す。
なんと投石は術者に当たっただけでなく、その結果姿を可視化出来るようになるというラッキーな偶然も起こった。
少年は間髪いれず踏み込みを入れた。
めちゃくちゃ速かった。
多分クロウとか、そのレベル。
あれ?クロウって世界最悪なんじゃなかったっけ?
援護がギリギリで間に合って良かった。
限界を超えた高速詠唱だったため、酷い出来の魔弾だったが、一瞬だけ怯ませることができた。
結論として、女の手が飛んだのも見えたし、負けることは無さそうだ。
さて―――――
眼前には、多数の敵。
俺はこれから、彼が戻るまで、彼の代わりとしてこの馬車を守らねばならない。
剣を構え直し、状況を確認。
スケルトンは6体、しかし各個体にけっこうダメージが入っていたりとする。
後ろには‥多分参戦は厳しいであろう怪我人と、大きめの盾が特徴的なオッサン。
「きついなぁ‥‥」
ジュン自体に、この馬車を守る義理など実際どこにもない。
ましてや命を危ない状況におく必要などさらさらない。
でも、ジュンは動いたのだ。
後から考えれば、あのまま見なかった事にしていたら、後味が悪い。
とか、助けられる力があるのに助けないのは良くない。
という理由が思い浮かんだ。
そうだ。
俺は死にかけるという条件付きでステータス2万超えの強さになれる。
あの痛みはもう味わいたくないが、相当な強敵でない限り俺は負けないのだ。
目標は、ユニークスキルを使わないこと。
貰い物の力じゃなく、自分の力で道を切り開こう。




