表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

2.1


ノブは今日までに自信満々に見つけたぜ、とか来てくれるみたいだぜ、とか、散々安心させるようなことを言ってたのに……っ!


「あんた……っ!幽霊連れてきてどうすんのよ!!」

「ノブ!期限は延ばしてやるから、先に除霊に行ってこい!」


ついにノブが変な霊に取り憑かれてしまった……。

ヤスと頭を抱えそうになると、不思議そうな顔をして突っ立っているノブの後ろで、扉が開く。


「っと、お客さんの邪魔になるだろ、ノブこっち来い」

「そうよ、通行の邪魔よ……、!」


一瞬で目を奪われてしまった。

扉を開けたのは、真っ白なツルツル肌、額にかかる綺麗なブルーブラックの髪、切れ長の目に、高い鼻梁、薄い唇……。

こんな飲んだくればっかり集まるような場所には場違いな、端正な顔立ちの男が一人。

しかも、大きな真っ黒の楽器ケースを背負っている。

まさか、このイケメンが──……?


「こんばんは、よく分かりませんけど、この人からここへ連れてこられました。ダイです」

「事情は説明しただろー!」

「まぁそうですけど。……それより、ベース持ってきたんですけど、どうしたらいいんですか」


どことなくアンニュイな雰囲気を纏うダイくんは、目を伏せただけでも色っぽく、パッと見て明るい系だったシンジ、ヤス、ノブと比べると、グループの色がガラリと変わるんじゃないかと思わせるような存在感だ。

彼は、居酒屋の扉の前に立っているだけでも絵になる。


「……あ、それなら外でやるわよ」

「外でやるのか!?」


いけない。つい、見とれていた訳じゃないけど、ボーッとしてしまっていた。

ヤスが驚いて大きな声を出したが、同時に机の上に運ばれてきた唐揚げをすぐに口に放り込み、不服そうな表情を浮かべる。


「お前はどうしてそう、いつも突拍子もない事を……」

「ここでする訳にもいかないしね。ダイくんは外でも構わない?」

「別に構いませんけど」

「じゃあオッケーね。移動するわよ」

「ちょっと待ってくれ、俺まだ唐揚げ……」


一刻も早くダイくんの腕前を確認したくて、時間短縮にと唐揚げをひとつ盗む。

それを見ていたヤスは何も咎めて来なかったが、間を置かずにノブが甘えたように、ヤスへ擦り寄る。


「ヤスさん俺にも1個くださいよ」

「あぁいいよ……」

「ありがとうございますっ!」


満面の笑みで唐揚げを頬張るノブは、ヤスにとっては弟に近い存在なので、ヤスはノブには甘い。

全部無くなってしまったところで、私は自分で頼んでいたもののお金を払い、唐揚げ代を払うヤスを置いていく勢いで外へ飛び出した。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ