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OVAの聖騎士様~終わりから始まる英雄譚~  作者: 天野ハザマ
3章:竜殺譚は遥か遠く
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決戦、竜神官グラート2

「グラート! てめえが何企んでたか知らねえが、数揃えてどうにかなるってんなら……!」


 ヴォードの背中に、ドラゴンの翼が生える。

 腕が、身体が……そして頭が。メキメキと音を立てながら人型のドラゴンのものへと変化していく。

 そして、その全てが変化した瞬間……ヴォードは飛ぶ。


「大間違いだああ!」


 ドラゴンブレス。そう呼ばれる炎の吐息がヴォードから放たれ大地を焼く。

 その炎に何体の怪物が焼かれるが、その数は少ない。

 明らかに炎に耐性がある。そう気付いたヴォードは舌打ちするが、怪物達から放たれた炎や氷、風といった攻撃を回避していく。


「特殊能力持ちか……!」

「これだけの数を揃えるのは苦労したぞヴォード! 巨体、かつお前を撃ち落とせる能力持ち……! いつまで躱せる!?」


 そう、怪物達はそのほとんどが見上げるような巨体だ。

 常人では、ほとんど抗しきれまい。だが、グラートは忘れている。

 敵は、ヴォードだけではないということを。

 人知を超えた力を持つ英雄は、もう一人いるということを。


伝説解放(オープン)。『巨獣機ヴァルガード』・ティタンシステム」


 アルフレッドの剣が、全身を鎧のように強固な甲羅に覆われた亀のような怪物の足を切り裂く。


「ギ、ギアアアアア!?」


 ぐらりと体勢を崩した亀の怪物の上をアルフレッドは駆け上り、その顔に正面から剣の一撃を加える。


「コノ……ッ!」

「人間ガア!」


 アルフレッドに気付いた周囲の怪物達が亀の化物ごと焼き尽くさんと炎を放つが、その瞬間にはアルフレッドは亀の化物を足場に跳んでいる。


伝説解放(オープン)! 『精霊機甲エレスティア』・風霊鎧装!!」


  続けてアルフレッドの身体を覆ったのは、風。アルフレッドの纏う鎧を全身を覆う緑を基調とした全身鎧へと変化させていく。

 人型の甲虫にも似たその姿は、不思議とこの場にマッチしていて……アルフレッドは風を纏い高速で空を舞う。


―ウインドセイバー―


 アルフレッドの鎧からアルフレッドではない声が響き、怪物達へと無数の風の刃を発射する。


「ガアアア!」

「グア!」


 自分達の放つ技に勝るとも劣らぬ攻撃を受け、怪物達は混乱する。


 アレはなんだ。人を超えた自分達を軽々と超えようとする、アレは何なのか。


―フレイムストーム―


 再び響く声と共に、空舞うアルフレッドから炎の竜巻が放たれる。

 それは運悪くその正面に居た怪物の頭部を一撃で消し飛ばし、グラートへと迫る。


「ぬう……! ふうううううむ!」


 だがグラートはそれを腕の一部をドラゴンのそれへと変化させると、炎の竜巻を正面から切り裂く。


「おのれ……! その姿、虫か!? たかが虫が竜族に逆らうと、は……」

「メギドォォォ……」

「し、しまった!」


 アルフレッドが暴れる隙をついて接近してきていたヴォードに気付いたグラートが、慌てたように上空を見上げる。

 そこには炎の魔力を集中させているヴォードの姿があり……すでに、必殺技を放つ寸前であった。


「ブラスタアアアアアアアアアア!!」

「ぬ、おおおおおおおおおおおお!!」


 高密度の炎の魔力を込めた熱線が放たれ、その中にグラートの姿が呑み込まれていく。


「や、やったの!?」

「……分かりません」


 思わず歓声をあげそうになるヒルダとは逆に、シェーラは冷静だ。

 今の技は、あの雷を放つ怪物をも葬ったヴォードの技。

 普通で考えれば死んでいる。だが……怪物達は何も気にしないかのようにアルフレッドへと攻撃を加えている。

 ヴォードよりもそちらが問題であるというかのように。それが不気味でたまらなくて。


「ぐあっ!?」


 ヴォードのメギドブラスターが溶かした大地と煙の中から光線が放たれ、ヴォードを掠めた。


「チッ……外したか」

「テメエ……耐えたってのか、メギドブラスターを……!」

「同じだと思うなと言ったぞ、ヴォード……!」


 大穴の中から、竜麟を纏う人型の何かが這い出てくる。

 他の怪物達と比べると遥かに小さく、しかしヴォードと同程度の大きさ。

 その背中に翼は無く、筋骨隆々としたその姿はドラゴンというよりは……恐竜をも連想させるだろう。

 もっとも、ヒルダ達からしてみれば翼の無いドラゴンにしか見えない。


「今の私はあの時よりも遥かに強い! ヴォード、お前よりもだ!」


 言うと同時に、グラードの頭の角から光線が放たれる。


「どうだかな! 多少頑丈になったみてえだが……!」


 地上と天空での応酬を余所に、アルフレッドと怪物達の戦いも続いている。

 完全にアルフレッドを足止めするつもりの怪物達のその動きに、アルフレッドは僅かな違和感を覚える。

 仲間の消耗を気にしない割には、全力でアルフレッドをどうにかしようという気も見受けられない。

 逃がさなければそれでいいというかのような違和感。

 だが、足止めしたとして何があるというのか。

 時間をかければかけるほどグラートの手の内は割れ、怪物達は減っていくばかりだというのに。


 もし、それでもいいと考えているならば……。

 その可能性に思い至った時、アルフレッドは魔力を一気に削ってでも戦況を変化させる事を決めた。


伝説解放オープン……『魔星伝レヴィウス』・星斬剣!」

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