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プロローグ
知っている。
僕は、世界を救わなければならない。
突然召喚されてしまった僕だけど、この世界にも大切な仲間が居るから。
知っている。
私は、世界を救わなければならない。
何もかもが分からないままだけど、託された剣の重みを知っているから。
知っている。
俺は、世界を救わなければならない。
受け継いだこの力が、残された唯一の希望だと知っているから。
知っている。
ワタシは、世界を救わなければならない。
たとえ機械の身体であろうと、偽物の心であろうと、託された使命があるから。
知っている。
俺様は、世界を救わなければならない。
正直世界なんてどうでもいいが、勝手にどうこうしようなんてのが気に入らねえから。
知っている。
知っている。
知っている。
知っている。
俺は、僕は、私は、儂は、俺様は、あたしは。
世界を、救わなければならない。
だというのに、この足は前に進まない。
だというのに、この手は先に届かない。
消えていく。
俺が/僕が/私が/あたしが/消えていく。
世界が、消えていく。
救わなければならないのに。
どうして、救えない?