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第1話 坂井健人の人間性
坂井健人は今年、高校3年生になる。
ごく普通…とは言い難い高校生である。
というのも、所謂霊感がある人間なのだ。
小さいころから幽霊や妖怪の類を良く見てきたが、そういう存在は霊感の無い人に対してなぜ影響がないのかというと、認識が繋がった存在としか影響を持たないのである。
つまり、目が合う人間を襲うのである。
だから坂井健人は幽霊や妖怪と目が合わさない様に生きてきた。
しかし、そんな生き方も一生はできなかった。
ある悪霊と目が合い、憑り付かれ、『自殺』未遂を行った。
その結果、さらに心霊関係に繋がりが深まった。
そうして形成された坂井健人の人間性は当然のごとく…人間不信だった。
両親は他界し、親戚も居らず
当たり前だが、友人も居らず、教師からの印象も薄く、
町内会にも参加せず、生徒会にも属さず、部活にも所属せず
しかし、けっして嫌われている訳でもなく、優秀である訳でも劣等な訳でもなく
ただただ、そこに居る存在
そんな人間である