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第18話:価値観の違い

 さて、いい加減働いて収入を得ないと。

 佐藤さんと二人そろって、あっちの俺に寄生状態。

 これは、良くない。

 俺の心の平穏の為にも。

 自分とは言え、借りをつくりっぱというのは。

 

「とりあえず、佐藤さんに求人案内渡してみたよ。さりげなく、いま正社員募集してるんですよ! 週休2日で、8時から5時で食事休憩1時間、残業は応相談でね」


 かなりホワイトな条件にしているらしい。

 佐藤さんの案だ。

 直接勧誘するのは流石にとなったので、社員募集しているってのと案内を入れるだけならそこまで難しくもないしおかしくもないだろうと。

 しばらく、キョトンとされたらしい。

 そして……


「店長さん、変わったんですか?」


 と言われたとか。


「あの、ダ……ダイエットやでぇ」


 と震える声で答えるのが精いっぱいだったとか。

 それって、激務だと思われないかな。

 そのタイミングで、就職のお誘いとか。

 いや、前向きに考えよう。


 条件は土日休み、祝日は希望時のみ。

 8時から17時までの、休憩1時間実働8時間。

 残業は応相談。

 お金を稼ぎたいときは、希望に合わせて19時まで。

 基本給8万円+時給1200円

 賞与は年2回支給。

 基本給3ヵ月分と、査定に応じて。


 給与面はかなり良いと思うけど、怪しいと思うほどの高給でもない。

 なんでそんなにホワイトな条件なのかって?

 実質、向こうの俺が休むためだけの人員だから。

 そして、佐藤さんだから。

 あと、かなり儲かっているかららしい。

 職務内容も普通のことしか書いていないが。

 採用したあとで、能力のことを話してカウンター専属にするらしい。

 

 向こうの俺も落ち着いたら、色々とこのスペックを楽しめるかもしれない。

 それよりも、こっちの俺と佐藤さんが無職ってのがな。

 佐藤さんには俺のところに永久就職という手もあるが、そっちの勧誘は俺には無理だ。

 うん、養子にならないか?

 とかってのも、流石におかしいし……

 立ってもないフラグを、コンクリで固めて地中深くに埋め込むようなもんだ。

 まあ、俺はこの森で避難している騎士団相手に、金貨を稼いではいるが。


 もしかしたら、こっちの生き物をあっちに送れ……るのかな?

 物は移動が出来るけど、ランスロット君は無理だったし。

 手に持って移動できるものって限定条件があったり。

 だったら、虫とかは。


 できなかった。

 植物は行けたけど、生き物は無理。

 こっちで捕まえるのがあれだったらか、あっちの俺に適当に虫を捕まえてもらってバックヤードに置いてもらった。

 でそれを持って店内に。

 うん、ケースは通り抜けたけど虫が引っかかって途中で止まった。

 死骸は運べた。

 色々と条件はあるけど、ある意味で幸運だ。


 変な雑菌とかをあっちに持ち込むことも、無いと思いたい。 

 こっちの珍しい植物を送ったり、何か珍しいものがあったらそれを渡して売って現金化してもらおう。

 入手手段がまだないけど。


 コンビニの中にあるもので、お金が稼げないかなと。

 

 数日間悩んだけど、何も思いつかなかったので迷子ども相手に荒稼ぎ。

 出稼ぎともいうが。

 会うたびに、ランスロット君がくたびれてるのが不憫で。

 野生動物って、本当に長期間保護しちゃダメなんだなって改めて自覚。


「モリイ様、お待ちしておりました」

「いやいや、本当にね……帰る気あるの?」

「帰る気はあるのですが、帰る手段が」


 エドガーさんも、なんかね。

 表情から焦りとかが消えてる。

 それもそうか。


 彼らの野営地が、割と快適な状態になってるからね。

 森を30m四方で切り開いた。

 半分以上は俺が。

 斧とか渡して、自分達でやらせたけど。

 遅い。


 俺が一振りで伐れる木相手に、何度も打ち込んでようやく切れるレベル。

 仕方ないから人数にものを言わせて、草を抜かせまくった。

 でもって、ほぼ更地になったところをひたすら叩いてならす。

 工事現場にあるドコドコと地面を叩く機械があったら良かったけど、そんなもん個人で持ってるわけもなし。

 本格的に森を開拓する気になったら買おう。

 買ってもらおうじゃなくて、買おう。

 買えるくらいに、収入を。

 目標が出来た。

 ちょっと、おかしいけど。


 更地になったところに、色々と置いていった。

 桶と簡易濾過セット。

 ああ、これはこういう専用キットでセットで売られてたやつ。

 西急ハンズにあった。

 雨水をためてもいいし、泥水も飲めるくらいにまで綺麗になる。

 殺菌力もお高めの。


 それを各テントに。


 水は川というほどではないが、水が流れているところが近くにあるらしい。

 近いといっても、ちょっと行ってくるには危険が。

 ベープのお陰で、それは解決したらしい。

 ただ湧水がチョロチョロと流れてる感じなので、泥が混じって飲みにくかったらしい。

 いや、煮沸して布を使った浄水とか……

 危ないかな?


 一緒に変なものまで蒸発したり。

 

 食料は金貨1枚で全員の食料1日分。

 ちなみに、この金貨1枚がどのくらいの価値かというと。

 こっちの世界だと、宿の個室が銀貨5枚で夕食と朝食付きで一泊できるらしい。

 そして、銀貨10枚で板状の大銀貨と呼ばれるもの。

 さらに大銀貨10枚で金貨1枚と。

 感覚的に8万から10万円くらいの価値がありそうだ。

 

 お嬢様は意外とそういった方向では、太っ腹だった。

 取り合えず10枚で10日分。

 残念ながら日本じゃさほど価値がないので、これはあっちの俺に渡さずにこっちで買い物をすることがあったら高く売れそうなものを買って渡すことで話がついた。


 なので実質は、食料の前借。

まあ、コンビニ弁当や総菜の廃棄をと思ったけど。 

 あんまり、廃棄が出ないんだよな。 

 繁盛してるから。

 スイーツ類は出るけど、弁当はほぼ完売らしい。

 残念。

 微妙な総菜やスイーツ、カット野菜は廃棄があるので無償で貰える。


 そうか、ほぼ廃棄が出ないのか。

羨ましい。

 

 まあ良いや。

 取り合えず、食事を届けよう。

 グラム70円の鶏胸肉とか激安食材を買って、メインのおかずのみこっちで俺が料理を……あっ、佐藤さんがやってくれるらしい。

 パンは、食パンでいいよね?

 6枚切りで200円切るし。

 

「美味しい……パンって柔らかいんだ」

「まあ、うちで食べるパンより上等じゃない」

「変わったパンだな」


 思った以上に食パンが高評価だった。

 複雑。

 一般人にとって柔らかいパンは、年に一度大きなお祭りで出る砂糖の衣掛けの乗ってパンくらいだとか。

 勿論、ただじゃないらしいが。

 それなりのぜいたく品らしいが、年に一度ならと。

 

 パンのみの甘みで、それを超える品らしい。

 流石、超熟成を売りにしたパンだ。

 さて、ここからは商売の時間だ。

 コンビニから、持ってきたもの。

 それは替えの下着や、髭剃りなどなど。

 せっかくお風呂があるのに、また汚れた服を着るのはいやだろうからね。


 流石に一般兵は金貨を持っていなかったが、こんなところじゃ金なんかもってても意味無いだろう。

 全財産と引き換えに……

 えっ?

 こんな精巧な刺繍がされた下着を買おうと思ったら、金貨1枚でも怪しい?

 いや、プリントだけど?

 あー、プリントの技術がこの世界には無いのか。

 魔方陣の転写ですかと言われたが、別にそんな儀式的な意味合いはないし。

 普通に英語でありきたりな言葉が書いてあったり、幾何学的な模様だったり。

 女性用の下着やタイツはシンプルなものだし。

 ブラはスポーツブラ。

 素材が?

 

 ……あー、490円の下着や肌着にそこまでの評価をされても。

 あっちの俺に白のシンプルな肌着を買ってきてもらう。

 

 純白の肌着。

 化学繊維の物凄く安いやつ。

 3枚セットで980円とか。

 あっ、これも高級品ですか……


 いきなり、躓いた。



次回は現実世界の閑話の予定です。

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