新たな彼女?
今回は、義之目線です。
あれから、悠磨に幾度となく連絡を取り合った。
そして、今日久し振りに会うことになった。
っても、俺が無理矢理に誘い出したんだが……。
来てくれるかは、ちょっと不安だったが……。
待ち合わせの場所には、俺の他に彼女の姫、順一と斉藤が居るだけで、悠磨の姿は未だなかった。
「亜耶と悠磨くん遅くない?」
姫がそう言い出した。
まぁ、普段の二人なら俺たちよりも先に来ているはずだが。
亜耶ちゃんが来ないことは、俺と順一しか知らない。
二人が、別れたことは彼女には伝えてないのだから。
「そうだね。二人が、約束の時間に遅れることなんて、無いのに…」
斉藤までも、不思議そうな顔で姫の言葉に頷く。
そこに。
turrrr……。
俺の携帯が鳴る。ディスプレイには、悠磨の文字が浮かぶ。
「もしもし……」
間髪入れず、そう言えば。
『もしもし、義之。悪い、少し遅れるから、近くのファミレスで落ち合おう』
との言葉が届く。
「わかった。先に入ってるな」
俺は、そう答えて携帯を切った。
「悠磨くんなっだって?」
姫が聞いてきた。
「少し遅れるから、近くのファミレスで待っててくれってさ」
俺は、言われた通りに伝え、そのまま移動した。
ファミレスに入って、窓際の席を陣取って座る。
「それにしても、どうしたんだろうね」
「そうだね。遅刻するのって、珍しいよね」
彼女達の言葉を聞きながら。
「悠磨達の事、何時言う?」
隣に座ってる順一に小声で話す。
「そうだなぁ。でも、今日来たらわかることだろ?」
と、あっけらかんと答えられて、俺もそれもそうだなと思った。
暫くして、窓の外を見れば悠磨が通った。
その横に女の子の姿が……。
あれ?
新しい彼女か?
そう思いながら、二人が中に入ってきたのを見て、手を挙げれば、他の三人も気づきそっちを見る。
「悪い。遅くなった」
悠磨が、ゆっくりと近付く。
姫が、斉藤が驚いた顔をして悠磨の隣に居る彼女を見る。
まぁ、俺と順一も驚いては居るんだが、亜耶ちゃんじゃないのは知ってたし……。
「クラスメイトの小林泉だ」
悠磨が、彼女を紹介する。
「悠磨くんのクラスメイトの小林泉です。亜耶とも友達です」
って、彼女…泉ちゃんが言う。
「悠磨くん。亜耶ちゃんは?」
姫が、悠磨に聞く。
それ、聞いちゃうのか…。
でも、聞かないとわからないもんな。
「亜耶とは、別れたよ。それに、亜耶には、オレ以外の想い人がいたからな」
ちょっとだけ、悲しげな顔をして、直ぐに真顔で話す悠磨。
いたたまれない。
だが、今の言葉に俺は愕然とする。
あの亜耶ちゃんに悠磨以外に想い人って。
「…言いにくいんだけど、亜耶、結婚したから…」
彼女が、そう言葉にして。
「「「「え~~」」」」
一斉に声が出たのは、致し方ないことだと思う。
って言うか、いつの間に。
「泉。それ言ったらダメなヤツ」
悠磨が、彼女に注意する。
「え、だって。うちの学校じゃ衆知の事実じゃんか」
詫びること無く言う彼女に。
「だからって、亜耶の許可無く友達に言うのは、良くない」
悠磨が、それとなく諌める。
「ゴメン…。そうだよね。私、有頂天になってた。悠磨くんの友達に紹介してくれるって言葉に受かれてた」
彼女が、肩を落としてそう言う。
そっか。
彼女は、悠磨の事好きなんだ。
だから、浮かれて言わなくてもいい事を言うんだ。
「そう。もうするなよ。亜耶が一番嫌うやり方だからな」
悠磨、お前まだ亜耶ちゃんの事……。
「ねぇ、悠磨くんさっきの本当?」
斉藤が悠磨に聞く。
はぁー。
小さなため息を吐いて。
「あぁ。本当だ。ただ、亜耶からの連絡が来るまで、連絡しないでくれ。オレから聞いたとも言うなよ」
肯定し、釘を指した。
それを聞いて、二人は頷いた。
「さて、今日はどうするんだ?このまま解散するのか?」
淳一の言葉に。
「ゲーセン行こ」
と姫が、言い出しそれに同意して、店を出た。
まぁ、今は只のクラスメイトみたいだが、そのうちこの関係も変わっていくんだろうな。
悠磨が、彼女を気にかけるようになれば……な。