夢でも良いから
おそばせながら、ハロウィンストーリーです。
そういや明日は、ハロウィンだなぁ~。
二人っきりのハロウィンパーティーでもしようかなぁ(他の男に亜耶の可愛い姿なんか見せたくないし)。
準備は、俺が全て揃えて亜耶にも仮装して貰おう。
亜耶には、何を来てもらおうかなぁ~。
猫…それともバニーは、俺が耐えられなくなりそうだから、やっぱ、魔女だよな。
ん、似合う(想像しただけなんだけどな)。
よし、明日のサプライズは決まった。
仕事を済ませ、仮装用の衣装の準備も整って、俺は亜耶が待つ家に帰った。
玄関を開ければ。
「お帰りなさ~い」
って、元気な声で亜耶が出迎えてくれる。
う~ん、可愛い。
その勢いのまま抱きついてくる亜耶を俺は抱き締める。
う~ん、今日も癒される。
この抱き心地、めちゃ良いんだよな~、もろ俺好み。
って、今日はもっと可愛くなってもらおうじゃないか。
俺は、少しだけ亜耶との距離をとって、紙袋を見せ。
「亜耶、これに着替えて欲しい」
そう言うと怪訝そうな顔をして。
「変なのじゃない?」
って聞いてきた。
「全然変なのじゃないから」
そう言いながら、亜耶の顔を伺う。
「……わかった」
渋々了承してくれた。
亜耶が紙袋を手にして、自分の部屋に入ってくのを見届けてから俺は、リビングに行き簡単にパーティー様に飾り付け、料理(市販の物)もテーブルに並べた。
こんなものだろう。
本当は、手作りのを食べさせたかったんだが、仕事が推したのもあって、断念した。
俺は、自分の部屋に行きドラキュラの衣装を身に付け、リビングのソファーに座り亜耶が来るのを待った。
「遥さん」
か細い声で俺を呼ぶ声が聞こえて、振り返れば黒のミニのワンピースにマントを羽織、小さい黒色の尖り帽子をちょこんと頭にのせた亜耶が、恥ずかしそうに入り口で立っていた。
うおー。
思っていた以上に似合ってる。
言葉を忘れて、見ている俺に。
「あんまり見ないで……」
と、更にか細い声が聞こえてきて。
「ゴメン。物凄く可愛いから、見いっちゃった」
俺がそう言葉にしたら、顔を赤くして。
「…恥ずかしいから」
って、亜耶が呟いた。
俺は、そっと亜耶の隣に行き。
「トリックオアトリート。お菓子をくれないといたずらしちゃうぞ」
と耳元で囁いてみた。
すると驚いた顔をして俺を見てくる。
そしてオロオロしだして。
「お菓子、準備……してない」
って、困ったような顔をして言う。
あーもう、なんでこんなに可愛いんだろう。
「悪戯、するの?」
亜耶が、不安そうな顔で俺を見上げてくる。
この顔を写メりたい。そして、待受にしたい。
「どうしようかなぁ……亜耶が、俺の言うことを聞いてくれたらしないよ」
そう言えば、さっきと変わって明るい顔になる。
「私に出来ることなら…」
と返ってきた。
「その言葉に二言はないな」
俺は、確認するように聞けば、亜耶が頷いた。
やった、これで言えるぜ。
「じゃあ、亜耶からキスして」
俺がそう言えば、狼狽えだした。
「亜耶?」
俺が名前を呼べば。
「あ、う……」
顔を赤くさせて俯く亜耶。
「亜耶、悪戯しても良いの?」
聞けば、嫌々と首を降る。
観念したように。
「遥さん。少し屈んで」
恥ずかしそうに言う亜耶。
俺は、亜耶が言うように腰を屈める。
亜耶が、俺の首に両腕を回して、ゆっくりと近付いてくる亜耶の顔。
後、数センチ……。
「遥さん、遥さん。こんなところで寝たら、風邪引くよ」
体を揺すられて、瞼をあげればそこは普段と変わりのリビングで、お風呂上がりの亜耶が心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。
「亜耶からのキスは?」
俺がそう言うと。
「へっ……。何、寝ぼけてるの?そんな事するわけないでしょ」
って、顔を赤くしながら俺を睨んでくる。
ちょっと待て、今までのってもしかして夢?
イヤ、夢でも良いから亜耶からのキスしてもらいたかったなぁ。
「ほら、遥さんもお風呂入ってください」
亜耶の言葉に俺は、風呂場に向かったのだった。