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盲目少女  作者: 三宮祐吏
補足
5/7

episode-05

 女は見た目に反して強い女だった。

 力がと言う事じゃない。シンが強い女だ。

 いままでオハナバタケに住んでいる女しか会ったことない様な俺にとっては、女はとても新鮮だった。


***


 アイツは人のやることに口を出すことはしない。危ないからやめろとか言わない代わりに、帰ってきたときに笑顔で迎えてくれる。

 良い女だ。

 ヤクザだと言われても全然ひるむ事が無い。


 あまりにも面白いんで、アイツの事を壊してみたいと思うのは当然だ。

 だから、恨んでいる兄をだしにしてみた。

 彼女はあっさりとつれた。


***


 そして兄を釣るのも簡単だった。

 どこからか知らないが拳銃を手に入れて、撃ってきた。

 たまたまだか知らないがいい具合に心臓に当たる。一瞬衝撃で意識が飛んだ。しかし死ぬことはない。防弾チョッキを着ているのだから。狙うなら頭 を狙えってンだ。

 俺がわざわざ身につけておいたものをすべて持って行き、俺らの家に転がり込んだようだ。

 後は一週間、痣になってしまった胸を癒して待つだけ。

 アイツがどんな風に壊れるのか、それだけが楽しみだった。


***


 くだらないやり取りをして、兄を始末した後、俺はアイツを見る。

 その目は、俺らと同じ、人を殺すことになんにも違和感がないという目だ。

 そして俺は悟る。

 コイツはとっくに壊れていやがったのだと!

 まさしく俺らとなんの変りもないのだと!

「これで満足か」

 いやらしい笑いで彼女を見た。しかし、その顔は不満そうだ。

「んだ? 自分で引きたかったのか?」

「なんか」

「あ?」

「肩の荷が下りたような気がする」

 コイツは自覚が無いのだろう。ふつうはこの血の臭さにまいるはずだ。

「そーかい」

「今日はどこに寝る?」

「おい。おめぇそれはないだろ」

「? あ、兄を始末してくれてありがとう」

「ちげぇよ」

「生かしておいて、臓器だけ取り出す方が良かったの?」

「引っ越さなきゃいけねぇだろ!」

こんなのが一週間も居た家に住みたくなんかない。家は聖域だ。

「血はシャンプーで落ちるよ」

 何を勘違いしたのだろう。

 コイツは笑顔でそういった。


 ああ。コイツはどこまで壊れるのだろうか――?


 今日はソファで寝ようか。なんて素っ頓狂なことを言っている女を見て、もっとこいつを壊したいを言う欲望が渦巻いた。

 きっとこれからも女は楽しませてくれるだろう――。

完結です。読んでくださった方、お気にいり登録してくださった方、ありがとうございました。

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