小話より 紅の騎士団団長と子守のミーナ
以前、拍手小話として掲載していた会話です。
下げてからずっと放置していて、このまま破棄するのももったいないので、少し手直しして1つに纏めました。
本編の裏でこそこそ頑張っていたロウファの動き。
~15話のあと~
「お疲れさまで!・・・す?」
「・・・また遅刻ですか」
「あ、ジェイド。
ごめん、また遅刻」
「そんなじゃらじゃらピアスつけてるからですよ」
「それは関係ねぇもん」
「ご苦労、ロウファ」
「あ、はい。ちょっと道に迷って遅くなりました」
「気にするな、余もそういう時が多々ある」
「サボリ魔と遅刻魔が仲良くしないで下さい」
「あれ、子守の試験だったんじゃないの?」
「それが・・・」
「ああレイラ、お前はリオンを寝かしつけてくるといい」
「・・・はい。
リオン、皆さんにお休みなさいして?」
「あれ、シュバリエルガも来てないの?」
「いえ。
いろいろあって・・・どうやら蒼鬼殿の逆鱗に触れたようです」
「・・・ほんとに?ディディアさん」
「ええ。あれは確実に、明日の朝議で恨み言をぶつけてくるでしょう」
「なに、誰か親父さんの悪口でも言った?」
「いや、それがどうも、よく分からん。
余が知る限りは、あいつは自分から女に関わる奴ではないんだが・・・」
「とりあえず、明日謝りますか。
マツダさん、随分怯えていたようですし・・・」
「その前に、彼女が子守で良いの?
わたくしは子どもに好かれる、良い人柄を見ましたけれど。
・・・たぶんレイラさんも、同じように感じていたはずです」
「そうだな、身を挺してリオンを庇ったからなぁ。
あれでは甘いが、護衛の騎士もつくことだし、良いだろう」
「そうですね、私もマツダさんで問題ないかと・・・。
では、明日きっと私の執務室へ来るでしょうし、一言お詫びをしておきます。
その上で、彼女に子守の依頼をしてみますね」
「・・・えー、オレも子守女のことチェックしたかったのになー・・・」
「自力でなんとかしなさい。紅の団長でしょう」
「うぇぇ・・・ヴィエッタ、協力してよ。
副団長でしょ、暇でしょ」
「お断りします。
副団長を舐めないで下さい。腹立たしい」
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~27話 病院で休んでいる間~
「バードさーん!」
「・・・ロウファ」
「お疲れさまです。
オレ、子守になったっていう渡り人を探してるんですよねー」
「あぁ、ミーナ殿のことか」
「ミーナっていうんですか?」
「・・・・・知らなかったのか?」
「えっと、いつも通りタイミングが合わなくて。あはは・・・」
「はぁ・・・。
君の、その遅刻グセは直さないと将来困るだろうに」
「う・・・わかってますよぉ。
これでもいろいろ忙しいんです」
「ああ。
紅の団長としては、よくやっていると言えるな」
「うぉっ!
バードさんに褒められたー!」
「ああ煩い私は仕事に戻るぞ。」
「あぁ待って待って!
ミーナって子守に会わせて下さいよ」
「・・・・そう言われてもな・・・・・」
「バードさん、子守と一緒に仕事してるって、ヴィエッタに聞きましたよ?」
「いや、そうなんだが」
「歯切れ悪いっすねー」
「・・・・今日は体調不良で、補佐官殿が病院に連れて行ったところだ」
「・・・・まじっすか」
「ああ。
しかし君は本当に、タイミングの悪い奴だな」
「せっかく時間作ってきたのに・・・・」
「まぁ、この辺りをうろつけば、いつかは出会えるとは思うが・・・・」
「わっかりました!
この辺りを巡回してみます!
お疲れさまでーす!」
「・・・おい、ロ・・・」
「それじゃ、ちょっと諜報しに行ってきまーす!」
「あの子は・・・・・。
あれじゃほとんど付き纏いと変わらない・・・・・」
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~45話 気を失っている間に~
「お疲れさまでーす」
「あら、ロウファ」
「チェルニー様!
今日もお綺麗ですねー」
「わざとらしさもそこまでくると、本当に嬉しいわありがとう」
「あ、怒らないでー!
チェルニー様に聞きたいことが・・・!」
「・・・もしかしてあなた、また遅刻したのね」
「あぁえっと、すんません・・・!」
「部下を困らせるのも大概になさい」
「すんませんすんません」
「気持ちがこもってなくてよ。
そろそろ減給も視野に入れるよう、ジェイドに進言しようかしら・・・」
「・・・ひぃぃ・・・それだけは・・・!」
「・・・まぁいいでしょう。
ごめんなさいね、あなた、からかうと面白いんだもの。
・・・それで、何か困ったことでも?」
「・・・困ったというか、探してる人がいて」
「・・・今日は、キナ臭い話はしたくないのだけれど・・・」
「ああ、違います違います。
仕事の話じゃないです。子守のミーナって人、会えないかなって」
「・・・あら。
少し前に、リオン君と王宮に戻ったと思うけれど」
「えぇ、またすれ違い?!」
「バードさーん!」
「・・・ロウファ」
「・・・っと・・・リオン君も一緒だったんですね」
「ああ。待ちくたびれて、寝てしまったが」
「この雨じゃあ、まだ出れませんもんね」
「・・・で、夜会で何か問題でも起きたか?」
「いや、オレ、子守に会おうと思って探してるとこなんですよ」
「・・・まだ探してたのか・・・。
今までに会えなかったのなら、諦めたらどうだ」
「いやぁ、実は廊下でちょくちょく声かけてるんだけど、まだ名乗ってなくて」
「・・・君は本当に、話をややこしくするな」
「ともかくです。
オレは子守を探してるんです。
・・・てっきり一緒かと思ったんですけど・・・」
「いや、一緒だったんだが、今は嵐のおさまるまで人探しを・・・」
「ふぅん・・・そっか。
じゃあ、ここに居れば、合流するんですよね?」
「そうだな、そうなるだろうな」
「・・・バードさん」
「シュバリエルガ、戻ったか」
「なんだ、ロウファもいたのか」
「・・・うん、あ!子守!」
「しっ・・・リオン皇子が起きる。
ミーナ殿は・・・、どうした、シュバリエルガ」
「いや・・・詳しく話している時間がないので、説明はあとで・・・。
とりあえず、バードさんはリオンを連れて王宮へ戻っていてもらえますか」
「・・・・・わかった。
ミーナ殿は、大丈夫なのか?」
「ええ、今のところは・・・」
「なーなー、こいつ、光ってるよな」
「触るな汚い」
「うわ、何その独占欲」
「煩い触るなと言っただろ」
「2人とも!」
『・・・・・はい』
「とにかく俺は、ミナが落ち着いてから王宮に戻ります。
このまま戻っては、何かと人目につく。
・・・ロウファ、このことは他言するなよ」
「うん、まぁ、いいけど・・・。
ぴっかぴかで綺麗だな、これ」
「・・・やめろ。
そんなもんじゃない」




