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第四話 意外な出会い

 カシャ


 静まり返った夜の街にカメラのシャッター音だけが響く。


「お、これも良いな」


 パシャパシャッ


 今日は晴天だったせいか、いつもより空気が澄んでて街が綺麗に見える。


 ……だから俺は浮かれてしまったんだ。



 いつもより結構歩いたせいもあってか、見慣れない所に来てしまったのが分かる。


「しまったな……」


 この歳になって迷子になったのかよ、と思いながらも携帯を家に置いてきてしまった俺にはどうする事も出来ない。


(とりあえず歩こう)


 まずは落ち着いて明るいところに出よう。だが、冷静になろうと努める俺とは正反対にどんどん街の明かりは消えていく。


「ここ何処だよ……」


 声を出して落ち着きを持とうとするも、それが無性に焦りを生んだ。


(誰かに聞こう)

 

 この際、恥を忍んで誰かに聞いて家に帰るのが手っ取り早いと考えた俺は、人を探しながら街を目指すことにした。


 時刻は七時四十三分。

さっきから人を探してるのに全く見つからない。むしろ、明かりすら段々見えなくなっている。


(あーあ、今日は外に出なければよかった)


 今更後悔をしながらも、歩く。やがて外灯の明かりは消え、ちらほらと家の明かりだけがある。街の面影も完全に見失った。


 十分ほど歩いた時、ようやく人の影が見えた。それに向って走り出す。


「すみませーん、道を訪ねたいんですけど……え?」


 階段を駆け上り、人影に近づくにつれて暗闇でもうっすら分かる顔。


「あれ……平並?」


「誰?」


「え……あ、高倉良太。同じクラスの」


 学校に居る平並ではなく、普通の、賑やかなグループに居そうな雰囲気を持つ平並だった。


「高倉? ああ、男子の委員長か。で、何の用?」


「え? あ、街に続く道を教えて欲しいんだけど」

「迷子? ダサッ」


「………」


 いつもの平並とは性格も雰囲気も言葉遣いも違う。そんな様子に俺は戸惑う。


「せっかくだから、街の近くまで行ってあげるよ」


「え、いいの?」


「良いも悪いも、口で説明しても分からないでしょう。此処まで迷い込んでまっすぐ街まで迷わないで帰れる訳ないんだから」


「……じゃ、じゃあお願いします」


 平並の言った事は棘があるが、最もな答えなので何も言えない。


「先に階段降りててよ。片付けるから」


「片付けって……これ、望遠鏡?」


「これが望遠鏡以外の何かに見えるの?」


「てことは天体観測?」


「だから何? 悪いの?」


「いや、別に悪くないけど……驚いた、以外だ」


「君だって写真、撮ってるんでしょう? 体育会系がやることじゃないじゃん」


「………」


 だから嫌なんだ。趣味が写真を撮ること、と言っても俺には似合わないから。


「狭いんだからさっさと降りてよ」


「分かった」


 皮肉に思いながらも、俺は素直に平並に従った。





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