4/5
第三話 趣味は写真
「ただいま」
「お帰り、良太。始業式はどうだった?」
「別に。何もないよ」
「そう……夕飯はどうするの?」
「後で食べる」
母親と必要以上の事を話さないで自分の部屋に行く。
俺は今、部活を終えて帰宅した。その足で自分の部屋に行き、通学鞄と部活道具を放り投げてカメラバッグを手に取る。
俺の趣味は写真を撮ることだ。特に風景写真を撮ることに嵌っている。元々父親が買ってきたカメラをこっそり使ったことが始めだった。
しかし、その趣味を皆に知られるのは嫌だ。理由は写真を撮るのが趣味なんて馬鹿にされそうだからだ。
これは俺だけの秘密。そう思うとスリルを感じる。
いつもは、家族と車で遠くに行くときにだけ撮っていたが、この頃は夜の街を歩いて写真を撮るのが楽しみだ。
「カメラよし、レンズよし、時間よし。行ってきます」
「あんまり遅くなるんじゃないわよ」
「分かってるって」
バタン、と短く音を立てて玄関のドアが閉まる。
時刻は七時。一時間ぐらいなら余裕がある。
(適当に歩き回るか)
いつも街を歩き回って気に入った風景を写真に収める、それが今の楽しみだ。




