あまのじゃくな日傘
夏の盛りは過ぎたというのに、まだまだ暑い。
じりじりと焦げつくような日差しに、吹き出す汗。
真夏日の連続更新は止まらない。
買い物の途中。
デパートで涼みながら店を見て回っていると、日傘がセールに出ていた。
暑さは続いているが、日傘のシーズンももう終わりか。
買う気があるわけでもないのに、安くなっていると、つい見てしまう。
手には日傘をぶら下げているというのに。
並べられた日傘は、どれもありきたりで、今持っているものと、あまり変わり映えしない。
晴雨兼用?そうね、ゲリラ豪雨に見舞われた時に役立つかも。
でも、デザインがいまいち好みじゃないなぁ。
これも、これも。
売れ残りなんて、こんなものかしら?
いくつか手に取っては戻し、を繰り返していると、1本の日傘が目についた。
生成りの白い日傘。
縁に上品なレースがあしらわれている。
木製の華奢な持ち手。
洒落ている。
あら、いいじゃない、これ。
さりげなく、値札を見る。
うん、お値段も手頃だわ。
手に取って、広げてみた。
ふんわりとしたデザインで、クラシカルな雰囲気を醸し出している。
白いワンピースに身を包んだ大正美人がさしていたら、絵になりそうな風合い。
これにしよう。
ちょっと見るだけのつもりが、気づけばレジで会計をしていた。
まぁ、掘り出し物だったし。いいわよね。
自分に言い訳をしながら外に出ると、まだ強い日差しが照りつけている。
ちょうどいいわ。この日傘をさしてみましょう。
いそいそと日傘を開く・・・いや、開こうとした。
だが、開かない。
さっきは簡単に開いたのに。
どこか引っかかっているのかしら?
つぶさに見てみるが、どこも何ともなっていない。
しかし、一向に日傘は開こうとしない。
仕方なく、持ってきた日傘をさして、家路についた。
帰宅して、一番最初にしたことは、買った日傘を開くこと。
もし開かなければ、ただの銭失いだ。
ドキドキしながら日傘を開く。
・・・難なく日傘は開いた。
良かった、壊れたんじゃなかったのね。
鏡の前で、開いた日傘をさしかけて、ちょっとポーズなんかをとってみたりする。
やっぱり、いいわ。この日傘。
翌日も、良い天気、というには日差しが眩しすぎる日だった。
買ったばかりの日傘を使いたくて、少しばかりお洒落をして外へ出た。
ウキウキしながら日傘を開く・・・いや、開こうとした。
だが、開かない。
どこをどうしても、一向に日傘は開こうとしない。
どうして?昨日は、ちゃんと開いたのに。
一旦部屋に戻って、ちょっとイライラしながら日傘を開こうと試みた。
・・・難なく日傘は開いた。
「何よ、もう。ちゃんと開くじゃないっ」
思わず声に出して文句を言うと、
「だって、私だって日焼けしたくないんだもの」
と、日傘が澄ましたように、口答えをした。




