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百年祭決着編 「これより処刑を始める」

「…ここ…は?」


意識が戻ったグランは、見慣れた天井を見て何処かを把握する


「隠れ家の…オレの部屋か」


グランは気分が随分スッキリした感じがあり、自身の魔力神経に魔力を通し、自分自身の状態を確認する


「魔力神経はどうやら無事…というより回復したのか?」

「そりゃそうでしょ?私がずっと傍に寝てあなたの魔力神経を修復させていたんだから」


グランは右隣から声がして驚き、声の主の方向を見る


「おはよう、寝坊助さん」


それは裸でグランを抱き枕のように添い寝していた、リーノの姿がいた

グランは声変わりしている10代の男子とは思えない悲鳴を上げながら、飛び起きる


「リリリリ!?リーノ・サイク!?なんで!?というかなんで裸!!?」

「なんでって…体を密着させないと魔力神経を修復させられないでしょ?私の魔力を繋げながら焼き切れた魔力神経を繋げていたのよ、全く…お可愛いことで」


意地悪そうに笑うリーノの視線に気付いたグラン、自身も裸であることに気付き大事な所を隠す

一瞬の隙をついて、リーノはグランを再びベットに押し倒し、グランに馬乗りするリーノ


「ちょちょリーノ!?力強い!?」


グランは平均男子より小柄であるが、それよりも小柄なリーノの想定以上の力強さに驚く。というよりグランを上回っていた


「そんな恥ずかしからずとも…昨日も楽しんだんじゃない?」

「何の話!?オレが気を失っている間にナニやったんだ!?」


抵抗しようとするグランを取り押さえているリーノは、それはそれは意地悪く、そして楽しそうな顔をしてグランの顔をまじまじと見る


「顔つきは可愛い寄りで、背丈も叔父上よりは低いけど…私、可愛いタイプも全然アリなのよね」


リーノは顔をグランに近づけながら、まじまじと見つめてくる。お互いの唇がくっつきそうなぐらいに。グランは困惑、混乱しており「あ、いい匂いがする」というらしくない感想が頭によぎっていた


「イチャイチャ仲良くすることを邪魔したくないけど…そろそろ気付いてくれない?」


部屋のドアに近くに腕を組んでユキナは立っていた


「ユキナぁ!?!?」「あら?おはよう、ユキナ」

「おはようリーノ…うちの兄が可愛いから押し倒したくなるのはわからなくないですけど…カノン先生が呼んでいるのでそろそろ…」

「あら?…叔父上なら起きる時間、修復にかかる時間を逆算するのは簡単だけど…」


リーノはユキナの視線がこちらの向いてることに気付く


「あら?私に見惚れちゃったかしら?ユキナ?」

「いや…すごく綺麗な体だなぁって思って…グランの裸を見ても別にナニも思わないけど…リーノさんは何と言うか、美しい芸術作品のような魅力を感じるというか」

「そう言われると嬉しいわね…それになかなかどうして…私の本質を突いてるじゃない」

「と言うと?」

「私、リーノ・サイクはホムンクルスなのよ」


その後、リーノとグランは着替え、ユキナと共に隠れ家の1階に降りる


「お、目覚めたかグラン。それにリーノもありがとう。ルドン帝国からわざわざ来て早々にグランの魔力神経の修復を頼んで」

「構わないよ、叔父上。こっちとしても色々楽しめたし、仕込めたからね」

「助かるよリーノ…さて、これから処刑を始める」


グランとユキナの目の前に映ったのは、ゴートの魔装鎧の姿のユーゴ・カリバーンが錬成魔法で作られたであろうギロチン台に拘束されている姿であった

カノンはギロチン台の上部に繋がっている紐を掴んだまま、ユーゴの頭に足をかけていた


「「なんか物騒なことになってる!?」」


その姿を見たグランとユキナは、ユーゴの無様な姿に驚いて、ハモってしまうのであった


『グラン!助けてくれぇ!!お前からもこいつに弁明してくれぇ!!』


グランに助けを求めるユーゴに対して、唐突の展開に呆然としてグランは何も答えられず、カノンは冷ややかな目でユーゴを見る


「お前に弁明は必要ないだろ、さまよう鎧野郎。お前はここで処する。弁護人なんぞつかせるものか」

『いや人権!!!オレには弁護士を付ける権利がある!!』

「いや、死んだ奴に権利は無いだろ?」

『辛辣ぅ!?』


必死なユーゴに対して、カノンは容赦なく、冷酷に告げる


「大魔法使いから託された大切な、それは大切な弟子の一人を無茶して殺しかけた奴なんざオレが許すと思ったか?魔力神経を焼き切れていたんだぞ?」

『それは悪かった!!」


この訳の分からない状況に、グランは耳打ちしながら


「ユキナ、何が起きてるんだこれ?」

「さっきね。ユーゴ様がこの隠れ家に来たんだけどね…『よう!久しぶり!』って感じで馴れ馴れしく隠れ家に入ったや否や、カノン先生がボコボコに叩きのめしたって感じ…さっき言った通り、グランに無茶させたことに相当怒っていたみたいだけど…ユーゴ様をボコボコに制圧してから、アンタとリーノを起こしに行ってくれって言われて…まさかこんなことになっているとは…」


ユキナに事情を確認したものの、理解が追い付いていない様子のグランであった


「叔父上、そろそろバカ騒ぎは…ユキナとグランが混乱してるから」

「そうだな、それでは処刑を始める」

『ちょ!?おま!?』


カノンがユーゴの頭か足を離し、紐から手を放すとギロチン台の上部からギロチン刃…ではなく、鉄球がユーゴの頭に落ちてくる


『ぎゃぁぁぁぁぁ!!!』


隠れ家に、さまよう鎧の断末魔が響き、森にいた鳥たちが驚いて飛び立っていた



「さて、馬鹿が静かになった所で改まって状況を説明しようか」

「は、はい…」「ええ…」「叔父上、説明よろしく」


4人は、ギロチン台で気絶しているユーゴをそのままにし、テーブルに座って茶を出しながらカノンは現在の状況をグランとユキナに説明を始めようとしていた

グランとユキナは困惑し、リーノは好き勝手にお茶とお菓子を頬張りながらカノンに説明を任せる


「ユキナは知っている情報もあると思うが、グランには改めて順を追って説明する…お前が気を失ってから4日間のカリバーン王国の情勢からだ」

「4日…」


グランは前もってドーマによって4日経過していることは、知らされていたがカノンの話を遮ると思い、ここでは聞き手に回ることにした


「まず、カリバーン王国、国王ユーダ・カリバーンから正式にウロボロスの存在とウロボロスカードの存在、怪人と妖魔の脅威が再び訪れたことが国民に発表された。国王が暗殺未遂に現れた蜘蛛の怪人とオレとの広場での戦いが公になったし、現場の兵士達に口止めしきれない、隠しきれないと判断した故だな」

「カノン先生、確かそれって悪手だったんですよね?」

「そうだなグラン、いずれは公になる可能性はあったから避けられない事案だったが…ウロボロスの怪人と刃のジェミニアが戦ったのを見られたのは本当に良くない、あの場にいたのは市民だけじゃないのが余計に…な」


広場では大勢の市民どころか、各国の政治の関係者が来賓として招かれていた


「あの場での怪人は通常の魔装鎧を纏った騎士達を圧倒していたばかりか、刃のジェミニアとそれなりにやり合えていた、刃のジェミニアが取り逃がしたという事実を知られてしまった…禁止されている空戦能力を有する魔装鎧と、互角の空戦能力を有する怪人の力を欲する者、利用とする者が多くなる可能性が高くなったということでもある」

「もし怪人の力が国同士の戦争に使われれば、過去の戦争の再現になり得る…」


グランが言う過去の戦争、妖魔大戦終結後に起きたオリュートスの知的生命体同士の国同士に起きた戦争は、空戦能力を有する魔装鎧の存在のせいで地獄の数年間と呼ばれるほどの泥沼の戦争になった歴史であり、グランとユキナは授業等で習い、カノンは資料からこの戦争の存在を知った


「この泥沼の戦争のせいで、ライブラ達が空戦能力を持つ魔装鎧、それに関する製造方法を破壊した経緯がある…十二騎士以外で、各国が空戦能力を持つ方法は、カリバーン王国なら空挺騎士団の空戦飛行バイク、通称”エアライダ”ぐらいだが…魔装鎧と怪人に比べたら、機動力も戦闘能力も劣るからなエアライダ…」

「…もし、何処かの国が戦争を起こす為にウロボロスカードを欲し、ウロボロスの連中が提供、もしくは売り出したりしたら…」


グランは最悪な予想を立てるが


「それだけじゃなく、今は大人しくしている活動家や犯罪者集団にウロボロスカードが出回るような事態にもなれば最悪だ…」


カノンはそれ以上に最悪な想像を叩き出す。どちらにせよ、悲観的な想像であった


「だが、悪い話だけじゃないというのもある。もし奴らが本気だったらとっくにウロボロスカードがそういう悪しき輩に蔓延している筈だ…というかオレならそうする…だけでもそういう訳でもない、少なくともセルゲイが確認しているだけでも10年前には奴らはウロボロスカードを作り出す技術を確立していたのにも関わらずだ」


カノンの疑問に対して、グランとユキナは少し考え込み、最初にグランが口を開く


「…単純に製法が難しくて量産出来ない…もしかして、ウロボロスカードで怪人や妖魔になるには何か条件がある?」

「そういえば、母さまが妖魔になった際、ハザマってやつの制御が離れると暴れ出していた…」

「グランが交戦した蜘蛛の怪人…いや、蜘蛛の妖魔もマグスという男が操っていたんだろ?存外奴らも自律制御しきれていない可能性はあるな…もしくは適格や適性が何かしらあるのか…その辺は魔法省と関係者が調べているがな…現物のウロボロスカードは発見できなかったが、妖魔化したミーラ王妃や串焼き屋の店主の体を調べて、何か発見してくれればいいし、何も発見できないならそれはそれでいい」


カノンとしては魔法省の調査に対しては、さほど期待はしていない。というよりはあまり深入りして欲しくないという本音もある。妖魔の関する力を調べるのは、かなりリスクがあるからである


「そして悪くない話…いや、いい話はあるな。ウロボロスと怪人の存在を公にしたのと、新たな聖剣の担い手、聖剣のレオが誕生したこと、聖剣のゴートの後継者が現れたことを発表したんだよ、国王ユーダ・カリバーンは…新たな聖剣の勇者と、英雄のユーゴ・カリバーンの意思を継いだ勇者が新たに十二騎士として」

「宣伝したということですか?」

「すげぇ堂々とな…聖剣のレオのデケェ写真が広場に飾られていたからな?」


カノンは聖王都で発行されている新聞の一面をグランに見せる、その新聞の写真には広場で演説している国王ユーダ、その隣にはライブラとジェミニア、そしてその背後に高さ10m以上あるであろう、聖剣のレオがムーンダイトを持っている写真が飾られていた

ユキナは少し顔を赤らめながら、その新聞から目を逸らす


「カノン先生もこの演説の場にいたんですか?」

「ああ、新たな十二騎士を民衆に認めさせるには、カリバーン王国とルドン帝国のトップ、そして現時点で現役の十二騎士であり、民衆にも支持のある裁定者のライブラ、そして国王ユーダの暗殺を防ぎ、活動家の大規模テロ行為を未然に防いだ刃のジェミニア。これらが認めた以上、民衆も、各国も認めざる得ないということになる…いやー凄かったぞ?国王の聖剣のレオのベタ褒めの演説は」

「ああもう!!カノン先生もその話はやめて!!こっちも物凄く恥ずかしいんだから!!」


ユキナは新聞をぐちゃぐちゃにして、カノンのその時の話を遮る。ユキナが照れるほどのことを、あの家族に溺愛している国王ユーダは言ったのであろうとグランは察する


「そんな訳で、新たな十二騎士の存在、そしてやはりカリバーン王国の聖剣に対する信仰は強いな。かなり盛り上がったし、国民感情もウロボロスに屈しないという意識が向いている状態でもあるし、カリバーン王国内でも政治的に対立気味だった一派も味方につけたんだよ…正直、カリバーン王国の現国王の政治手腕を少し舐めていたよ…大したもんだよ。そしてルドン帝国の皇帝からも、オレ達サイク家に勅命が下った」


カノンは懐から二つの封筒を取り出す。その封筒の封蝋の模様はルドン帝国の皇帝の手紙であることを証明するモノであった


「要約すると、”サイク家のカノン・サイク、リーノ・サイクはカリバーン王国と十二騎士に協力し、ウロボロス打倒に協力しろ”という命令。そしてもう一つが、十二騎士としてお願い。”十二騎士、刃のジェミニア、図書館のアリエスにウロボロス打倒を”ということだ」

「…図書館の」「アリエス?」


グランとユキナは聞きなれないワードに引っかかった、聞いたことが無い十二騎士の名前を


「そうね、叔父上とライブラがグランとユキナを十二騎士として正式に認めた以上、こちらも素性を明かるべきね」


お茶とお菓子を食べながら話を聞いていたリーノが口を開き、咳ばらいをし、改めて自己紹介をする


「私が星読みのアリエスの後継者、十二騎士が一人”図書館のアリエス”」

「はい!?」「…ああ、道理で」


リーノ素性に驚くユキナに、色々と納得するグラン


「まあ、そういうことだ。ルドン帝国側の人間も、皇帝陛下直々に動いていいという許可を貰ったから、堂々と活動できるようになった訳だし、リーノがここに来たのも皇帝陛下の命令と、グランを早期に回復させる必要があったからな…少し急ぎの事態が発生したからな」

「急ぎの事態ですか?」

「そう言っても、明日まで猶予はあるがなグラン。色々と聞きたいことはあるだろ?ユキナもグランも」


グランとユキナは二人して、頷く


・魔装鎧に魂と意思が宿っている、聖剣のゴートと爆裂のスコーピオンのこと

・ウロボロスの幹部のこと

・この場にいないメノンのこと


「ざっくりと言えばことのあたりか?ユーゴとホムラに関しては、この急ぎの事態と関係があるから、お前らにも説明は必要だな」

「あれ?叔父上?そのことを話してもいいのかしら?ライブラから硬く口止めされているんじゃ?」

「そのライブラから話していいて言われたからな、この状態を説明にするには語らなければなるまい。十二騎士が一人、生命のクラブの禁術でありある意味の秘術”生命波動”を」

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