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百年祭 飛蝗の怪人VS刃のジェミニア

「…このアホな爆発魔法…ホムラの仕業か?」


数十キロ離れている廃墟区の上空の爆音と魔力反応で目を覚ますライブラ


「魔王様!お目覚めになりましたか…」


ライブラが目に映るのは、セバスチャンが自身を介抱し、倒れているグランには大勢のライブラの配下が手当てを行っていた


「…オレはどのぐらい寝ていた?セバスチャン」

「30分は寝ていません、ダメージについてはご自身と魔装鎧の力で治癒されております」

「そうか…やれやれ、慣れない市街地戦するものではないな…とんだ手痛い目にあったものだ」


ライブラは自身の体の状況を確認し、セバスチャンの言う通りにダメージに関しては回復していた


「セバスチャン、状況は?」

「はい。廃墟区にて空間移動の魔法を行使する怪人、狭間の怪人は爆裂のスコーピオン、聖剣を得たユキナ・グラス…聖剣のレオが撃破。蜘蛛の怪人もご覧通りに元通りに…」


セバスチャンが指を刺す方向に、配下達が串焼き屋の女将を治療を行っていた


「命に別状はないようです、魔王様」

「そうか…」


ライブラは安堵する、命を救えたこと、グランとユーゴの期待に応えられたことに


「ジェミニアの奴はどうした?」

「それが…」


ライブラの質問に、セバスチャンは少し苦い顔をしながら答える


「ジェミニア様は近衛騎士団と共に飛蝗の怪人と交戦してました」

「なんだと!?奴が現れたというのか!?」

「通信の映像からも確認しましたが…間違いありません…10年前に魔王様達の前に現れた例の怪人です」


10年前、裁定者のライブラと破戒のレオは飛蝗の怪人に完膚なきまで叩きのめされた相手であり、その脅威をその身で理解をしている


「交戦をしていたということは…まさかやられたのか!?確かに魔装鎧の無い状態ではいかに奴でも…」

「いえ…そうではなくて…」


セバスチャンは言いづらそうであったが、事実を答えることにする。例え自分の主のプライドを傷つける結果になっても


「撃破に成功したようで…ついでに鹵獲に成功したそうです。近衛騎士団も負傷者はいますが、死者は無しです」

「…」


ライブラは言葉を失う。自分が10年に手こずった敵を魔装鎧無しで倒したことが信じられなかったのだ


「…今すぐ奴の所にいく。ここは任せるぞセバスチャン」


ライブラは立ち上がり、意識を集中させる。短距離のワームホールによる空間移動なら瞬時に出来るが、数十キロも離れているとなるとそうもいかず


術式展開(シーケンス)、ワームホール」


ワームホールで王城の庭園に繋げ、空間移動を行う。ライブラが見る庭園も王城も、見る影もないほどにボロボロになっており、庭園は激戦であったことがわかる程にボロボロで数人の騎士達がうずくまっており、王城に関しては半壊していた


「これは酷いものだな…」


辺りを見渡していたライブラに、声をかける者がいた。馴れ馴れしく、しかしライブラにとっては懐かしい声


「こいつは…やっと会えたなライブラ」


ライブラが声の方向を向くと、城壁にもたれながら座っており、見るかに疲労困憊気味のカノンの姿が見えたのだ。ライブラからした100年以上振り会う戦友の姿は、昔とさほど変わりなく


「らしくもなく随分な姿じゃないか、ジェミニア」

「言うなよ…魔装鎧無しでコイツの相手は骨が折れたぞ…」


カノンが指を刺す方向には、数本の剣と錬成魔法で作られた石の槍で串刺しなって、いくつかの札を貼られて沈黙している飛蝗の怪人のなれの果てという言葉が似合う姿があった


「本当にこのバケモノを倒したのか…なんて奴だ」

「オレだけの力じゃないさ、近衛騎士団達とマリー王妃が無ければもっと手こずっていたさ。空戦を封じて、ありとあらゆる搦め手を使いまくってやっとだ…10年前にお前たちが手痛い目に遭った理由がよくわかったよ…お前との相性、最悪じゃねーかこの怪人」


他の近衛騎士団達もそれそれが手当てしており、マリー王妃も変身を解除して、壁にもたれてながら手当てを受けていた


「よくも死者を出さなかったものだ…というよりこの怪人がお前の方に差し向けられたのが幸いだったな…このバケモノと互角にやり合えるとすれば、ジェミニア、お前ぐらいだ」

「かもな…それより他の様子はどうなっている?さっきのアホな爆発魔法はホムラの仕業だと思ったが…」


ここでいち早くカノンは勘付いた、というより警戒を怠らずにいた故に気付いたのだ

異常な魔力の反応に気付き即座に立ち上がって杖を展開し


「全員!!姿勢を低くしろ!!術式展開(シーケンス)!ウインドウォール!!」


カノンは風の防壁魔法を、飛蝗の怪人を囲むように展開した次の瞬間、まるで爆発するような勢いでその防壁は破壊されると何かが上空に上がる


「ちぃ、そう簡単には行かないか!飛蝗の怪人!」


カノンは舌打ちをうちながら上空を見ると、先程まで動か無くなっていた飛蝗の怪人が上空を飛んでこちらを見渡していた。それだけじゃなく


「なんだ!?あのバケモノ…姿が変わっている!?」


ライブラの言う通り、飛蝗の怪人は先ほどの姿とは異なる姿…怪人というより、まるで魔装鎧を纏ったような姿であった

飛蝗の怪人は、拳を振り上げた。それに気づいたカノンとライブラは、お互いに意思疎通もなく、だがお互いを信頼し


「「合体術式展開(コンバインシーケンス)!ダブルウォール!!」」


風属性と次元属性の二つの防壁魔法を合体させた防壁をカノンとライブラは展開し、飛蝗の怪人の攻撃に備える

飛蝗の怪人が拳から、魔力と風を合わせたエネルギー弾を連続で放たれてきた。その威力は二つの防壁を以ても防いでも振動が伝わってくる程であり


「長くは持たんぞ!?ジェミニア!」

「わかっている…!マズイ…魔装鎧無しでの空戦はキツイぞ…」


手元に魔装鎧がないカノンは、あの怪人相手に空戦をやるのは自殺行為であることはわかっている。だからといって、ライブラに飛蝗の怪人をやらせるのは良くないとことはわかっている

防壁も長く持たない、どうするかと悩んでいたが


『叔父上、これを』


カノンの背後から、ジェミニアのベルトを装着させられた。後ろを向くとトンガリ帽子を被った式神アクエリアスが後ろにいたのだ


「リーノか!お前いつの間に?」

『こっそりライブラ様の後を付けたんですよ、叔父上が気付かない程って…余程余裕が無い相手ってことですか?』

「ああ、タイミングで来た!リーノ、帽子も寄越せ…どうやら、この騒ぎのフィナーレを飾るのは、オレらしいな…キャストアップ!」〈キャストアップ〉


カノンは防壁を魔法を展開させながら魔装鎧を起動させ、リーノは帽子をカノンに被せたことで式神アクエリアスのコントロールは失われ、消滅する


「ジェミニア!変身と同時に防壁を解除する!お前なら奴の間合いに一気にいけるな?」

「当たり前だ、最速の十二騎士の異名は伊達じゃないってことを思い出させてやる…変身!!」〈シーケンス〉


防壁を解除されると、飛蝗の怪人が放たれるエネルギー弾が地上に向かっていくが、上昇しながらエネルギー弾を両断し


術式展開(シーケンス)!ウインドストライク!!」


飛び蹴りのウインドストライクをジェミニアは飛蝗の怪人に叩き込んだ


「…反応して防御しやがったか…!」


飛蝗の怪人はジェミニアの攻撃に反応して、魔力を込めた両腕にでウインドストライクを受け止めていたのだ

飛蝗の怪人はすぐさま反撃にうつり、魔力を込めた拳のラッシュを繰り出し、ジェミニアは杖と風の剣の二刀流で常人には到底捉えれないスピードでお互いに打ち合い、半壊したカリバーン城を舞台に飛び回りながら超高速の空戦を行っていた


『噓でしょ…叔父上…刃のジェミニア相手にここまで高速の近接戦でやり合うなんてことある?』

「正直オレも驚いてる…この時代でここまでやり合う相手に会うのは初めてだ…オレと同じ反応速度に、機動力も互角かもしれん…それに…やつのエネルギー弾、魔力と風を圧縮したものを高速で打ち出す原理のようだが…波動弾って言った所か、こいつも厄介でな」


飛蝗の怪人が放たれる波動弾を最小限の動きで避けるが、外れた波動弾が城の壁に着弾すると大穴が開くほどの威力であった


「あの波動弾、まるで大砲って言ったところか…威力的には爆破魔法のエクスプロージョン、妖魔のプラズマレーザー以上の威力なんだよ」

『…一時とは言え、よく叔父上達押さえ込んだわね…なるほど、それでライブラと相性が悪いってことね』


ジェミニアは近接戦を仕掛けながらも、飛蝗の怪人の死角から風の刃を展開させて射出していたが、飛蝗の怪人はすぐさまに反応し回し蹴りなどで風の刃を相殺していたのだ


「ライブラのワームシュートでも、この反応速度と視野の広さで無効化されるだろうよ…道理で10年前にライブラであろう魔王が負ける訳だよ」


波動弾と風の刃が飛び交い打ち消しあい、ジェミニアの杖と風の剣だけじゃなく脚による蹴りで、飛蝗の怪人の拳と脚に纏った波動の格闘攻撃を打ち合う

お互いに互角の反応速度と機動力、力では飛蝗の怪人が上ではあるが、ジェミニアは技量で近接戦は拮抗していた

しかしその拮抗した瞬間が終わる時は来る、飛蝗の怪人はジェミニアの攻撃を読んだのか、攻撃した杖を掴む


(こちらの攻撃を読まれたのか!?というか学習したのか!手の内を見せすぎたか!)


杖を掴まれたジェミニアは一瞬の隙を作り、飛蝗の怪人は波動を込めた左拳をジェミニアの腹部に叩き込んだ。攻撃を受けたジェミニアはぶっ飛ばされて、王城の壁に叩きつけられて、壁を破壊しながら城の反対側までふっ飛ばされた

無口で言葉は発することはない飛蝗の怪人は、左肘の違和感が気付く。左肘に風の剣が突き刺さっていたのだ

ジェミニアは攻撃を受ける寸前で飛蝗の怪人の死角から風の剣を展開させて、飛蝗の怪人の左肘に突き刺したことで威力が減衰していた。本来だったらジェミニアの魔装鎧ごと貫いていた筈だったのだ、飛蝗の怪人の波動の拳は威力であれば

ジェミニアの魔法操作技術の器用さ発生速度、反応速度だから出来た芸当であった

飛蝗の怪人は城の反対側にぶっ飛ばされたジェミニアを追撃する

飛蝗の怪人が追った先にはジェミニアが待ち構えており、杖で身構えていた。飛蝗の怪人はそのままの勢いで全力の波動の右拳を、ジェミニアは手で迎撃を試みる

飛蝗の怪人の方が速かった、ジェミニアの腹部を魔装鎧ごと貫通する。だが血や内臓が飛び散ることはない、何故なら


術式展開(シーケンス)式神爆破(エクスプロージョン)!!」


ジェミニアの姿の式神は零距離で飛蝗の怪人を巻き込む形で爆発する。飛蝗の怪人の反応は速く、咄嗟に式神から腕を引き抜き防壁を張る。しかし、爆破に気をとられたことで背後はがら空きであり、何処からか指を鳴らす音がした瞬間、飛蝗の怪人の背中に複数の風の剣が突き刺さり、反応的に振り向いた

既にジェミニアは飛蝗の怪人の間合いに入っていた、極限まで魔力と気配を遮断し、式神の爆発でジェミニア接近を感知できなかった。ジェミニアは飛蝗の怪人に城の反対側にぶっ飛ばされた際に、式神を展開、城の影に潜んでいたのだ、この攻撃の瞬間を作るために

飛蝗の怪人の両腕で防御の態勢をとり、ジェミニアは両手に発生した2本の風の剣を飛蝗の怪人の両腕に突き刺して一時的に飛蝗の怪人の両腕を潰し


「ここで決めさせてもらう…!」〈マキシマムチャージ〉


マキシマムチャージしながら、ジェミニアは飛蝗の怪人の両腕を蹴り上げてガードを解き、ほんの一瞬だが完全に無防備な姿になる飛蝗の怪人。ジェミニアはそれを狙っていた、ほんの一瞬だけでもジェミニアにとっては十分であった


術式展開(シーケンス)!ウインドアクセル!」〈シーケンス〉


ジェミニア以外の周囲の動きが止まる、正確にはジェミニアが超加速によって速く動いているだけであり、ジェミニアにとっては全てが止まって見える


〈マキシマムチャージ〉「さて、お前の弱点はどこかなのかはわからんが、思い当たる箇所に叩き込んでやる。術式展開(シーケンス)、トルネードスマッシュ!」〈シーケンス〉


ジェミニアは飛蝗の怪人の頭部に回し蹴りのトルネードスマッシュを叩き込む


〈マキシマムチャージ〉「術式展開(シーケンス)、ウインドインパクト」〈シーケンス〉


立て続けに発勁によるウインドインパクトを、飛蝗の怪人の心臓部に叩き込む

最後に飛蝗の怪人のベルト部分をダメ押しと言わんばかりに、ジェミニアは風の剣を刺す


「タイムアウトだ」


ジェミニアの体感時間は10秒ほど、その間に必殺技を2連発叩き込んだ。ウインドアクセルは解かれた

飛蝗の怪人からしたら、いきなり、訳も分からずにほぼ同時に頭部と心臓部に強烈な一撃を叩き込まれ、その受けた反動で飛蝗の怪人はとんでもない速度で王城の上空から聖王都郊外の地上に叩き落された、木々と森をなぎ倒す轟音を轟かせながら

ジェミニアはすぐに追撃し、落下地点付近に近づくが


「…リーノ、オレからは奴の魔力の気配が察知出来ないんだが、お前はどうだ?」

『同じく…どうやら逃げられたようね、あれだけのダメージを受けながら、どうやって…』

「オレたちの探知範囲外に仲間がいたか、これ以上の戦闘はマズイと判断して撤退したって所かもな…取り逃がしたが、撃退出来たぐらいで上々かもしれん…深追いするにも、こちらの態勢が整っていない」


ジェミニアと飛蝗の怪人の対決は、飛蝗の怪人を撃退したことで幕を引いたのであった

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