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百年祭 紅のスコーピオン/狭間の怪人

オリュートスにおける魔女とは、人間種に稀に発生する突然変異種である

唐突に肉体年齢を取らなくなり、長命種の存在になる

女性に発症し、発症者は軒並み高い魔力を持った魔法使いが多く、魔女と呼称される

その異質な存在故に過去には魔女狩りという弾圧をしていた地域や組織も存在していた

妖魔大戦時代においては妖魔達は捕食対象として優先的に魔女を狙い、数千はいた魔女は、現在においてオリュートス全体を見ても数十人程度しかいない

そんな経緯や過去の弾圧の時代を経験した魔女の大半俗世の関わりを絶っており、人類側に友好的てな魔女は指を数える程度である

その数少ない友好的な魔女の中でも魔法教育機関設立に貢献し、カリバーン王国からも信頼されているのが紅の魔女である

かつて愛弟子の焔の魔女であり、十二騎士の一人である爆裂のスコーピオンの師匠として、そして妖魔大戦時代を生き抜いた生き証人の一人でもある


廃墟区、妖魔大戦や大戦後の隣国との戦争の爪痕が未だ癒えない地域が聖王都内にはいくつか存在する

その廃墟区の一つ、激しい炎が放たれていた


「すごいね!おねぇさん!!意外と遊ぶことが出来るんだね!!」


爆裂のスコーピオンの魔装鎧を纏った紅の魔女、もといユーゴから紅のスコーピオンと命名された、スコーピオンは怪人となったハザマを廃墟区まで追い込み、激しい炎の魔法で攻撃を放ちながら、廃墟の上で高速の空戦を繰り広げていた

しかしハザマは、裁定者のライブラと似た時空系の魔法のワームホールで攻撃を避ける。笑いながら、挑発…というよりオモチャで遊んではしゃぐ子供のように


「厄介な奴め…!ライブラのような避け方をして…!」

「へへ…もっと遊ぼうよう!おねぇさん!!」


ハザマは自身の周囲に複数のワームホールを展開し、ビームの一斉射の連射が放たれる

この怪人の手口は兎にも角にも複数のワームホールからは放たれるビームの弾幕を張ることを基本攻撃にしている為にスコーピオンは圧倒的な火炎で相殺していたが、埒が明かないと判断し


術式展開(シーケンス)、フレイムウィップ」


魔装銃から火の鞭を展開し、火の鞭でビーム弾幕を弾きながら怪人に最大全速で向かっていき、間合いに入り


術式展開(シーケンス)!フレイムストーム!」


至近距離からの火炎を怪人にお見舞いする、スコーピオンから放たれる火炎は魔装鎧を溶かす程の威力

しかし手ごたえがなく、背後から複数の鎖のようなものにスコーピオンが拘束される


「あぶないあぶない…全くおねぇさんは過激なんだから」

「いつの間に…!」


ハザマは背後にワームホールで移動し、瞬時に回避かつスコーピオンの動きを鎖の魔法で止める

スコーピオンは力を入れて抵抗はするが、ユキナとは違ってそこまで規格外のパワーではない為に、鎖をちぎるようなことは出来ない


「聖剣のおねぇちゃんみたいに、引きちぎることは出来ないようだねぇ?だよねぇ!おれは聖剣のおねぇちゃんがおかしんだよね!」


ハザマは無防備にスコーピオンに近づき、空中でスキップを踏むような動作をしながら正面に立つ、怪人のハザマは完全にスコーピオンを舐めているのである

実際に優位に立っているのはハザマの方である、空間移動する相手にスコーピオンの攻撃、というより紅の魔女の魔法と技量では相性が悪いのである


「ねえねえおねぇちゃんは僕のオモチャになってくれるかな?かな?なってくれるよね!そうだよね!ね!ね!ね!丁度おもちゃにしていた娘が他の幹部にとられちゃってねぇ…紅のおねぇちゃんなら長くおもちゃになってくれるよね!」


まるで獲物を取ったような感覚、新しい玩具を手に入れた子供のようにはしゃぐ

このハザマが言う”おもちゃ”その意味合いに長年生きており、長年魔法に関わってきた紅の魔女として、その意味が何となく察していた、察してしまっていた


「へぇ?私をどう遊ぶのかしら?子供には私は刺激的だと思うけど?」

「そうだね!!おねぇさんの腕をグリズリーに変えたりとか、脚をトラの脚に変えてみるのもいいかもね!!」


スコーピオンは思った「あ、これ、想像以上にヤバイ奴だ」と

だがスコーピオンはこの話に付き合うことにした


「それは随分と素敵な悪趣味なものね」

「そうだよね!素敵だよね!前の前におもちゃにしていたおにぃちゃんは首を変えただけで死んじゃって、前のおねぇちゃんにお腹におにぃちゃんの頭をつけたら、自分から死んじゃって…おにぃちゃんとおねぇちゃんは仲良しだって聞いたのに…おねぇさんなら魔女だから簡単に死なないでしょ!」

「…随分おもちゃがあるようね?」

「そうだよ!全部博士が連れてきてくれるんだ!余った実験材料だって!僕にくれるんだ!」


ハザマが出した博士というワードにスコーピオンは引っかかる、セルゲイからはある程度はウロボロスについては聞いてはいたが、全容に関してはセルゲイですら把握しきれていない組織

スコーピオンは時間稼ぎと、ウロボロスの情報を少しでも引き出そうとする


「へぇ?その博士はもしかして、ボウヤにその力を与えた人かしら?」

「そうだよおねぇさん!!博士はすごいんだ!!僕たちをすごい力を与えたり、ウロボロスカードを埋め込めば妖魔に出来ちゃうことを発明したすごい人なんだよ!!あ!でもおねぇさんは博士には渡したくないな!博士は魔女を素材にしたいしたいっていつも言っていたからね!だから代わりに魔族のおねぇさん達を上げたんだけどなぁ…そうしたらカメ君がおねぇさんの子供達を引き取ったんだよねぇ…少しは僕にも遊ばせて欲しかったのに”お前は壊すからダメ”だって…本当に酷いよ。僕だって壊したくって壊してるわけじゃないんだよ?壊れるおもちゃが悪いんだ」


スコーピオンは冷静に話を…というより入る間もないほどにハザマが語りまくる。しかしハザマが語る内容は少なくとも気分がいいものではない上に、少なからず考えていたことが現実になっていることに確信を持つ


(やはり、相当数の数の者達がウロボロス達に拉致か誘拐されて、実験材料にされているか?…こんな魔装魔法が当たり前になったオリュートスで…)


「おねぇさんいいよね!!僕のおもちゃになってくれるよね!!」

「…そうね…私の答えは」


スコーピオンはハザマとは別の方向、魔力を感じ取り。時間稼ぎは終わりだと確信し


「くたばれ、悪ガキ」


スコーピオンが返答した瞬間、ハザマは体の背後から何かが貫く。それは1.5m程の長さ、太さ直系50㎝程のニードルが飛んできたのだ

スコーピオンは指をならし


術式展開(シーケンス)!エクスプロージョン!!」


ハザマを刺したニードル…もとい、ミサイルは爆発を起こす。スコーピオンも巻き込まれながらぶっ飛ぶが、それを受け止める耳長の特徴的な可憐な人物


「ご無事ですか?紅様?」


その可憐な女性は空戦飛行バイクにまたがりながら、爆発巻き込まれてボロボロなスコーピオンを受け止めた


「この通り…よくやったわ。エリザ・カリバーン…まさか第二王妃のあなたまで出張るとは」

「私たちと陛下の大事なミーラを傷つけた者相手なら、一発ぐらいかましてやりたいもの…第二王妃としても、そして空挺騎士団団長としてでも」


カリバーン王国第二王妃、ハーフエルフのエリザ・カリバーンはスコーピオンと連携して強烈な一撃を叩き込んだ相手を確認していた、爆煙が晴れて状況を把握する


「やはり…そう簡単にはいかないようですね紅様…しっかり掴まってください!!」


煙の周囲の空間が歪んでいることに気付いたエリザは、バイクをフルスロットルにして、煙を晴らしながら放たれたビーム弾の弾幕を避ける


「まさか…ミサイルで内部から吹っ飛ばした筈よ!?」

「その程度でやられるような相手じゃなかったってことでしょうね」


晴れた煙の中から、半身が吹っ飛んでもハザマは未だ健在であり、相も変わらずにワームホールを開いて弾幕を張る程の魔法を放っていた


「酷いなおねぇさん?いくら回復力があっても、痛いもんは痛んだよ?」


ハザマの半身は徐々に形を戻っていた。エリザとスコーピオンは話を聞いてはいたが、怪人の驚異的な自己再生能力を目の当たりにして、苦々しい表情をする。こちらの想定を上回る回復速度と、破壊力のあるエクスプロージョンに耐えきれるほどの耐久性


「まあ、その辺は織り込んでいたからね…単発でダメなら!」


エリザは合図を送ると、ハザマのあらゆる方向からワイヤーが飛んできて、ハザマを拘束する

複数の空戦バイクに乗った騎士達がハザマの周囲を囲みワイヤーで拘束し、片腕に装着されているミサイルポットをハザマに向けて発射態勢をとる


「…もしかしておねぇさん、僕を嵌めたのかい?」

「…もともと私だけでアンタを倒せるとは思っていないわよ、情けない話、私の愛弟子やユキナやグラン、そしてジェミニアのように私は強くはない。だけど、これだけの爆発系魔法と空挺騎士団の力ならどうかしら?」


ハザマの能力と怪人のスペックを考えた上で、ライブラが作戦を立案し、スコーピオンは誘導、エリザは空挺騎士団を率いて廃墟区で待ち構えていたのだ

確実にハザマを、第三王妃ミーラ・カリバーンに危害を加えた妖魔の力を使う者をここで仕留める為に

明らかに状況はスコーピオン達が優位であった

ハザマは肩を震わせて


「…あははははは!!こんなにおもちゃがくるなんて!!やっと僕のペット達の出番が来たようだね!!」


大笑いしていた。不気味に

時間を与えるのはマズイと判断したエリザは合図を送り


「全騎!撃ち方はじめ!!」


ハザマを拘束しているワイヤーには魔法封じの術式、ハザマが使用するワームホールを用いる魔法を封じる術式を刻印されている、拘束されているハザマは空間移動で逃げることも防御魔法をかけたところで魔装具のミサイルの破壊力には到底及ばない

一斉射されたミサイルはハザマに着弾し、大爆発を起こす。文字通りに跡形もなく消し飛んだのだ


「…最後は大笑いしていたわね…」

「諦めて気が狂ったんですかね、紅様…」


確実に仕留めた…しかしスコーピオンとエリザはどうにも不穏な予感がしていた。そしてその予感は当たる

さらに上空から、ビームの弾幕が空挺騎士団とスコーピオンを襲う


「な!?」


気付いたスコーピオンはすぐさま防御魔法を展開し、自身とエリザを守るが、他の空挺騎士団は避けるもののいればまともに直撃して墜落する者もいた

スコーピオンが見上げる上に、それはいた。先ほど消し飛ばしたはずのハザマが。もっとも、変身が解けていた状態であったが、グリズリーの妖魔獣に抱えられながら飛んでいた


「…いつの間に、身代わりに入れ替わっていたってことね…ライブラだけじゃなく、ジェミニアの手口まで使ってくるとはね」

「ありゃりゃ?おねぁさん気付くの早いよ…どう?僕の自慢のペット!お利口でしょう!僕の身代わりになってくれて」


ハザマがペット呼ばれるモノに、スコーピオンとエリザは不気味さを感じる


(なにあの気色の悪いグリズリー!?それに飛んでいるということは…)


スコーピオンとエリザが戦慄を感じているが、勝算が覆された上に、絶望的な状況は終わらない


「こんなに僕のおもちゃになってくれるのがいるんだ!ここは僕のペットもたまに遊びたいよね!!」


ハザマは魔装銃を構えて、自身の周囲の空間を歪ませ


「おねぁさん達にもあそびたいよね!僕のペット達と!」


数十体のグリズリーの妖魔獣、そしてそれは20m程ある不気味な巨人型の妖魔獣が現れた

スコーピオンとエリザは青ざめる。たださえ怪人状態のハザマ相手にも手も足も出なかった、その上に空戦能力を持った戦力、数の暴力で押してきたのだ


「やっちゃえ」


合図ともに、妖魔獣達は先ほどの弾幕で落ちなかった空挺騎士達に襲い掛かる

空戦能力を持っているバイクであるが、それは十二騎士達の魔装鎧や妖魔のような空戦能力に遠く及ばない

反撃しても、逃げようとしても機動力と加速力で妖魔獣達に追い付かれて一方的に襲われる

スコーピオンとエリザは応戦しようとするが、巨人が二人の前に現れる。その巨体に見合わずに他の妖魔獣同様に素早く、バイクを破壊され


「ぐ!?」「がぁ…!」


スコーピオンとエリザは巨人の右手に握られる形で捕まってしまう。咄嗟にスコーピオンはエリザの方に防御魔法をかけてダメージを軽減させるが、強く握られたことで気を失いかけ、スコーピオンの変身が解除されてしまう


「あははははは!!そこで見てなよおねぁさん達!僕のペットが遊ぶざまを!!」


次々と墜落していく空戦騎士達、墜落した騎士達を妖魔獣達は逃すことなく地上に追撃に向かっていく


「まずい…みんな…逃げて!」


エリザの声は届くことはなく、廃墟区の建物や地面に墜落してうずまっている騎士達に、妖魔獣が襲い掛かろうとした



術式展開(シーケンス)乱れ三日月(みだれみかづき)!!」


三日月形状の数多の斬撃波が妖魔獣達に襲い掛かる

その一撃一撃は、妖魔獣を怯ませ、まともに当たった妖魔獣は爆散して散る


「はあ?」「あの…斬撃は…!」「来たようね…聖剣の勇者!」


ハザマは困惑し、紅の魔女は見覚えのある斬撃波であり、苦しみながらもエリザはニヤける

巨人も何かに気づいた瞬間、一閃の光が走る

紅の魔女とエリザを握っていた右手が両断され、金色の騎士に巨人は殴り飛ばされる、とてつもない威力のパワーのパンチで、廃墟区の建物をなぎ倒しながら叩き落された

切られた右手ごと紅の魔女とエリザは落下していくが、金色の騎士に巨人の右手を小間切れに切り払い、紅の魔女とエリザを二人を抱いて、廃墟区の建物の上に安全に着地する


「ご無事ですか!紅様、エリザ様!」

「…その声、もしかしてユキナ!?あなたなのね!」


月の聖剣、ムーンダイトを片手にレオの魔装鎧を纏いし金色の騎士、ユキナ・グラス


「…どうやら、ミーラはどうになかったようね?聖剣のレオ殿?」

「ユキナでいいですよエリザ様…まさかあなたまで出張っているとは…」

「当たり前でしょ?近衛騎士団長のマリーが出ているなら、空挺騎士団長の私が出ない理由がない。というより、我が陛下と愛すべきミーラを手にかけた不届き者を逃すとでも?」


エリザの返答に、この王国の行方を心配になってきているユキナであった。国のトップが揃いに揃って前線に出たがる武闘派過ぎるのだ


「…どうやら、あまり呑気に話している場合じゃないみたいね」


紅の魔女が正面向くようにユキナに促す

ユキナの目の前には残っている数十体の妖魔獣に、怪人に再度変身したハザマが3人の前に現れる


「これは…まさか聖剣のおねぇちゃんか…へぇ?お母さんを見捨ててここに来たんだね?」

「生憎、母さまは元に戻しさせてもらったよ」

「いけないねぇ?嘘はいけないんだよ聖剣のおねぇちゃん。そんなことできっこない」


ユキナの本当の事を何一つ信じないハザマ。それだけあのウロボロスカードに自信があった


「信じようが信じまいが、どうでもいい…後はお前とそのバケモノ達を全部叩き切れば解決ってことね…簡単な話で助かるや」


ユキナは聖剣、ムーンダイトを構える。魔力を込めると美しい刀身がさらに美しく輝く聖剣を怪人達に向ける


「エリザ様、紅様を任せます。ここは私に任せて」


紅の魔女は慣れない魔装鎧の装着と戦闘ダメージで立つこともままならないでいた


「聖剣のおねぇちゃんが遊んでくれるのかな?でもこの数じゃ、どう見てもおねぇちゃんに勝ち目なんてないよ?」


圧倒的な優位だと思っているハザマに対して、ユキナも自信満々の様子であった


「数が足りないじゃない?私を倒したければその倍を連れてきたらどう?十二騎士が一人、聖剣のレオ!今の私は、負ける気がしない!」


ユキナ・グラス改め、新たな十二騎士、聖剣のレオの初陣である

紅のスコーピオン スペック

パンチ力 2トン

キック力 5トン


最高速度マッハ2


本来の装着者ではない為に、大幅に本来のスペックが落ちている

炎系と爆発系の魔法と術式を組み込まれている為、本来の装着者じゃなくとも同じ系列を得意とする紅の魔女でも簡易詠唱、無詠唱でも魔法行使は可能

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