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百年祭 レオナルド・ライオス

レオナルド・ライオス

聖王都の亜人族たちが経営する飲食店の店主を勤めている獅子の亜人、店自体は…そこそこ繁盛している隠れた店的な扱いの店である

しかし、レオナルドの本当の素性を隠す姿


「亜人族の王、そして十二騎士の一人である破戒のレオが飲食店で隠居生活していたとはな」

「割と楽しいものだぞカノン、ガハハハ!」


露店の裏で、レオナルドは木箱を椅子にして座りながら豪快に笑う

破戒のレオ。レオナルド・ライオスの本当の素性であり、亜人族をまとめ上げていた亜人族の王。妖魔大戦において、聖剣のゴート達と共に妖魔と戦い十二騎士に一人として名を連なれ、そして亜人族と人類を友好関係を築き上げたとされる貢献者であった


「しかし流石だなカノン…衰えていたオレの魔力を探知したってところだな?」

「まあな…衰えているとしてもオレにとっては覚えのある魔力反応だったからな…こうして表に出ていなければ探すのは困難だっただろうが」


レオナルド自身、そしてカノンの指摘通りに、カノンが知りうるレオナルドの魔力は全盛期に比べて相当に衰えていた

そして、それは容姿にも表れていた。人類種に比べては亜人族は長命種になるが、魔族やエルフ族程の寿命の長さではなく、100年の経過はレオナルドを相応に老させるには十分な時間であった


「オレもすっかりジジイってところだ、カノン。力が衰えたオレには、亜人達の代表は荷が重い…だから、今は孫娘に任せるがな」

「知ってるよ、最近レオナルドの行方をその孫娘さんに聞いたよ…だけど、それだけじゃないなレオナルド?」


カノンは視線は、レオナルドの脚…左足に注視していた。カノンはズボン越しでもレオナルドの左足の違和感に勘づいてた


「…10年前のウロボロスの連中にしてやられたさ」


レオナルドはズボンの左足側の裾をあげて、カノンに自身の左足を見せる…というよりかつて左足があった部位を


「やはり義足か…」


レオナルドの左足は魔装具の義足に置き換わっていた


「カノン、お前さんが聖王都に来たということは、セルゲイから話を聞いているな?」

「あまり時間がなかったから、直接的にはそこまで…セルゲイが残した手記から、おおよそのあらすじはな…セルゲイとレオナルド、ライブラが10年前に壊滅させたウロボロスの前身組織と呼べる戦いもな」


10年前、セルゲイ達はウロボロスの囮組織、捨て駒の組織を壊滅させたがその際にライブラとレオは深手を負わされ、レオに関して言えば左足欠損という重傷であった


「その時に交戦したのが飛蝗…飛蝗の怪人というのがセルゲイの記述にあったが…」

「ああ、正直生きて帰れたのが運が良かったと言える…少し舐めてかかっていたのもあるが、怪人はオレの想像を遥かに超える強さだった…セルゲイの機転がなければライブラの奴も死んでいた」


レオナルドは当時のことを思い出しながら、自身の左足の義足を触る。体を震えながら、その時に刻まれた恐怖を思い出してしまっていた


「…色々と昔話を聞きたいのは山々だが、オレとしてはレオナルド、頼みたいことがある。隠居生活をしていることと、10年前に負傷していることを考慮すれば今のお前は戦う力は無いと判断している…それなら、アンタの魔装鎧を借りたい」


カノンは早々にレオナルドに本題をぶつける。カノンがレオナルドを探していた理由、破戒のレオの魔装鎧の所在、そして言い方は借りたいだが、本音は譲ってもらいたいであった


「…結構前にお前さんが刃のジェミニアとして活動家達を容赦なく退治したという話を聞いた時点は、その時が来たとは思ったがな…ウロボロスが活動を再開したか…」


レオナルドの問いに、カノンは頷く


「ああ、ウロボロスカードを使用して怪人に変身した奴にも遭遇した。倒したものの、そいつと戦ったセルゲイはそれがキッカケで死に追いやられ、怪人に変身した鉄塊を使う魔法使いは魔法省に身柄確保後に、呪の魔法によって死亡している」


鉄塊の怪人こと、鉄塊使いの魔法使いが死んだことは魔法省に確保して数日後の出来事であり、取り調べ中に唐突に呪いの魔法が発動し、鉄塊使いの体が急に燃え始め、消火をする暇もなく鉄塊使いは骨ごと燃やし尽くされたというのを、カノンはメノンから聞いたのだ


「やはり、セルゲイの死はウロボロスの連中が原因だったか…ウロボロスが壊滅するまで生きていそうな感じだったんだが…」

「あくまでも今はカリバーン王国の聖王都で飲食店を営んでいる一般市民のレオナルドでは、そういう情報は耳には入っていないか」

「ああ、セルゲイは病没した…世間一般に知られていることぐらいしか…だが、セルゲイもただでは死んでいないのだろ?お前さんがオレの魔装鎧を求めたのもその関係だろ?」


レオナルドはニヤリと微笑みながら聞き返す


「セルゲイの最後の弟子二人、グラン・グラスとユキナ・グラス…そしてセルゲイが残した様々な資料…妖魔の力を悪用する者がいる以上、再び十二騎士、もしくはそれに準ずる力を持った者たちが必要だ…そして怪人形態で空戦能力を有している以上、同じく空戦能力を有した100年前の魔装鎧が必要だ」

「なるほど…な…」


レオナルドは腕を組みながら少し考えこみ


「一応聞くかが、お前や黄金のサジタリウス、閃光のバルゴスの3人でもどうにか出来そうな気もするんだが?お前たちは3人は十二騎士の中でもトップクラスの強さだ」


レオナルドの言う通り、刃のジェミニア、黄金のサジタリウス、閃光のバルゴスの3人は十二騎士の中で最強各と呼ばれるほどの3人である。だが、カノンは首を横に振る


「いや、相手の素性もわからない上にセルゲイやライブラの目を搔い潜って10年間、聖王都の何処かで密かに力を蓄えていたと考えたら油断が出来ない。手数は多いことに越したことはないし…それに、過去の時代の者達だけで解決するのは個人的に良くないと思う。今を生きる時代の者たちと共に、立ち向かわないといけない」

「相変わらず堅実だな…だが、お前だからこそセルゲイは計画を任せたんだろうな」


レオナルドは100年前から変わらない戦友に、嬉しいニヤける


「…カノン、オレの魔装鎧は手元にはない…というか10年前に大破した」

「…マジか…いやまあ、左足が欠損する程重傷ならな…」


コレまで話を聞いた上に、カノンは最悪の予想はしていた。魔装鎧を装着した状態で、四肢を欠損させる程ダメージは魔装鎧もただでは済まない、それこそアクエリアスの魔装鎧同様に、自己修復が出来ない程に


「だが、アクエリアス…ルーズ・エーデルワイスが魔装鎧を改修した…現在はカリバーン王国の地下、聖剣の座に保管…いや、聖剣を封印する楔として保管されている」

「聖剣の座…楔?…そういうことか!」


カノンがしばらく疑問に思っていたことが、レオナルドの情報で解決した

強い魔力と高い素質のあるユキナに窮地に、聖剣が反応しなかったのか


「ユキナの話からは、暴走させた一件で封印が強固にされたと聞いていたが…レオの魔装鎧でムーンダイトとデインダイトを抑え込んでいるなら納得する。いくら強固にしてもユキナなら封印をぶち破ってしまう筈だからな…カリバーン王国の宮廷魔法使い達を悪く言うつもりはないが…ユキナが強すぎるんだよな」

「その辺はライブラの奴の差し金だ…簡単に聖剣を使わせない為に…そして聖剣の担い手を成長させる為でもある。その程度の封印を解けなくて今の時代の聖剣の担い手として相応しくない…そんなことをライブラの奴が言っていたぞ」

「アイツの聖剣の担い手に対する期待過剰は相変わらずというか…ユーゴの時よりハードル高いな。まあ、それだけユキナの素質を見抜いているということか」


レオナルドの情報により、魔装鎧の一つの在処がわかったカノンであったが、少し憂鬱な気持ちにはなっていた

レオの魔装鎧の保管場所、管轄がカリバーン王国のそれも聖剣を収めている城の地下である


「ということはカリバーン王国そのものに問い合わせしないといけないか…面倒な…でもゴートの魔装鎧を借りるよりはハードルは低いか?」

「そういえば…お前さんが異次元空間からゴート、スコーピオン、クラブの魔装鎧を持ち帰ってきたという話を少し前にライブラの奴から聞いていたが」

「ああ、ゴートの魔装鎧はカリバーン王国に。クラブの魔装鎧は彼女の故郷の修道院に。スコーピオンの魔装鎧は紅の魔女に返した…まさか再び必要になるなんて思っていなかったからな…返さなければよかった…再び借り受けるにも面倒だ」


カノンは頬杖をつきながら、4つの魔装鎧の状況を整理する


「ゴートとレオの魔装鎧を借りるとなると、カリバーン王国相手に交渉しなければならないが…ジェミニアの名を出しても、ルドン帝国との関係とか国際問題に発展する可能性があるし…特にゴートの魔装鎧に関してはライブラの奴がユーゴ以外に身に纏うを許さないだろうし」

「だろうな」


レオナルドは腕を組んでうんうん頷く


「ええい…厄介ファン過ぎるんだよ、ライブラの奴め!」


カノンが悪口言わざる得ない程に、聖剣のゴートことユーゴ・カリバーンに対するライブラの想いは強いのである。もしゴートの魔装鎧を強硬手段で持っていこうものなら、カリバーン王国どころかライブラを相手にしなければならないといけないというのをカノンは容易に想像できてしまったからだ


「生命のクラブの魔装鎧に関しては、仕様が独特過ぎるから彼女以外に扱える者がこの世にいるとは思えん…爆裂のスコーピオンの魔装鎧は師匠である紅様が持ってはいるがな…」

「あの魔女、相当弟子思いだった覚えがあったが…なんかひと悶着あったのか?」

「…スコーピオンの魔装鎧とホムラの戦死したことを伝えに行ったら、殺しにかかって来た」

「…マジか」


聞いたレオナルドが思わず唖然してしまうほど、想像以上の行動を紅の魔女はやっていたのだ


「罵詈雑言の嵐、『お前が見殺しにした!!』とか『お前が死ぬべきだった!!』とかマジで言われた…まあ、事実的にオレが救援が間に合っていれば今も生きていた可能性はあっただろうがな」

「そんで、お前が返り討ちしたって所だな。魔女程度に負けるようなお前じゃないだろ?」


カノンが結果を答える前にレオナルドは答えた。それほどまでにわかりきるほどに、カノンと紅の魔女の実力を知っていた


「最近はやっと仲良く出来てたんがな…最愛の亡き弟子の形見を貸してほしいって言うものなら、また殺し合いになる…別にまた返り討ち出来るが…面倒な」


状況を考えた結果、どちらも穏便な結果にならないことにカノンは頭を悩ませる

頭を悩ませているカノンに耳に、宙高く破裂音がした


「コイツは…花火か?」


花火の音であり、十二騎士の銅像がある広場の方から打ち上げられているようであった


「たぶん、国王陛下の挨拶だろう。百年祭は周辺の小国の関係者、ルドン帝国や砂漠の国、東の大陸の遣いも来ているという話だからな。それに、セルゲイの弔いの言葉も少なからずあるだろう」

「まあ、この規模の大きい…祭り…なら…?…??」


カノン・サイクは魔力感知の能力に関しては誰よりも鋭く、被っている魔装具でもある古臭い帽子も魔力感知能力や範囲を拡大させるものであり、そのほかにリーノ・サイクとも意識が繋げることが出来、演算能力も有している。どの生物にも生きていれば魔力は有しており、僅かでも感づけるほどに優れている

魔力感知の訓練をしてきた習慣故に、花火が打ちあがった方向、多くの人が集まっている広場に無意識に魔力探索をしてしまう…広場を上空から見たようなイメージをして、そして違和感に気付く


(なんだこれ?一部の魔力反応何かを避けている?…というか何かにどかされている?)


カノンは、魔力反応が無い何かがいることに勘付く…そしてこれが何を意味しているか、最悪のケースを想像した

カノンは瞳を閉じ、帽子に意識を集中させる


(リーノ、聞こえるかリーノ)

(勿論聞こえているよ叔父上。レオの魔装鎧の件から話は聞いているよ…叔父上が想像した最悪のケースも…でも叔父上、そんなことある?)

(忘れたか?奴らは用意周到に仕掛けてくる…少々詰めが甘い気がするが…少なくともナナコがあちらに付いているなら、オレの魔力探知能力に対策を施してもおかしくない)

(…だとしてもこれじゃ意味なくない?わざわざ魔力気配を消してるのに、これじゃまるで見つけてくださいって言っているようなものじゃ…)

(十中八九、罠だろな…だけど放っておけない、もし怪人に変身するなら、広場にいる市民だけじゃなく、国王陛下の身も危うい。護衛の騎士じゃ相手にならん)


目をつぶりながら、リーノと意識を繋なげて会話をしているカノンだが、傍から見れば急に目をつぶって何やら集中しているように見える姿にレオナルドは心配する


「カノン?どうした?」


カノンはレオナルドに声をかけられて、リーノとの会話を切り上げる


「…レオナルド、どうやら店仕舞いした方がよさそうだ」

「…騒ぎが起きるか」


カノンの言葉に、レオナルドは察する


「カノン、次はオレの店に来い。歓迎してもてなしてやる」

「嬉しいね、楽しみしてる」


カノンは力いっぱい地面を蹴り上げて、広場の方に向かって跳んでいく

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