百年祭前日7 王妃
「…やはり駄目です…我々が知りうる解除魔法を試しましたが、ミーラ様のウロボロスカードを解除は出来ません…」
第三王妃室、深夜になっても部屋の明かりは消えずに、ベットに横たわるミーラ王妃に数名の宮廷魔法使いが試行錯誤し、ミーラ王妃に埋め込まれたウロボロスカードの解除を試みたものの、何も成果を得られずに百年祭の前日を迎えていた
「我が国の精鋭の魔法使いでも解除が不可能か…」
ミーラはベットから起き上がり、宮廷魔法使い達に確認をする
「私にこれを埋め込んだハザマと名乗る者の言葉を信じるとすれば、今日のいつ私が妖魔になってもおかしくないってことは間違いないかしら?」
「かの者の言葉が本当かどうかは定かではありませんが…ミーラ様に埋め込まれたウロボロスカードは、未知なるモノですが…その禍々しい反応、その可能性は極めて高いかと…」
宮廷魔法使い達の中でも、立場が上の者がミーラの問いに答える。悲観的な回答を
「そう…苦労をかけたわね」
ミーラはベットの近くに棚から何かを取り出し、取り出した物を見た宮廷魔法使い達は驚く
「ミ、ミーラ様!?一体何を!?」
ミーラは棚から取り出した、刃物を自身の首に刃を当てる
「こうなった以上、こうするしかないわね…貴方達は私の為に尽くしたことを理解しています。その上でどうにもならないであれば、私が死ぬ以外に最悪なケースを避ける方法はない」
ミーラの瞳には迷いがなく、宮廷魔法使い達も無理に止めればミーラはすぐに自分で首を切り裂く覚悟があると感じさせれるものであった
「…とは言え、もしかしたら遺体になっても妖魔に変化しないとも言い切れないから…私の遺体を綺麗に燃やし尽くしてくださいね?」
ミーラが刃物に力を入れようとした瞬間、第三王妃の部屋の扉が勢いよく開く。その扉を開けたのは初老の女性であった
「マ、マリナ第一王妃様!?」
宮廷魔法使いの一人が、名を呼んだ初老の女性。カリバーン王国の第一王妃である、マリナ・カリバーンがミーラの部屋に入り込み、ミーラを視界に捉えたマリナは状況を理解し、宮廷魔法使いとミーラが目で追えない速度でミーラの懐に駆け寄り、ミーラの右手に握られていた刃物を取り上げる
「マリナ様…返してもらえませんか?私が死ねば、全てが解決する話です。陛下やユリカならともかく、ただの王妃、死んでもカリバーン王国には損失はありません」
ミーラの言葉に対し、マリナは黙ってミーラの様子を伺い
そして、マリナは刃物を床に投げ捨てて、右手を大きく上げる。平手打ち…平手打ちされると思ったミーラは咄嗟に目をつぶってしまったが
マリナはミーラを強く抱きしめ、頭を撫でる
予想外の行動にミーラは混乱するが、マリナは優しく声をかける
「ミーラ…ダメよ。あなたが死んだら、ユリカも私も悲しいわ。同じ男を愛した者同士…あなたを見捨てるようなことはこの私が許さないわ…だから無理はしないで、慣れないことはしちゃいけないわ…手もこんなに震えて」
マリナはミーラが無理をしていることを見抜いていた、ミーラの不安を取り除く為に抱きしめる。マリナとミーラ、共に国王の妻にして、その関係性はまるで母と娘のようであった
「マリナ様…私は…私は…」
ミーラは思わず涙を浮かべていた。決心していたとは言え、やはり自分で死を選ぶのは怖かったのであったのだ
マリナはミーラが落ち着くまで抱きしめてた。ミーラが落ち着き、マリナは宮廷魔法使い達に問いかける
「…本当にミーラのウロボロスカードを解除は出来ないのね?」
「…はい、我々が尽力を尽くしましたが…不甲斐なさで情けないです…」
「致し方ありません。妖魔に関することはまだまだ判明していないことがあると聞きますし、妖魔に関する資料も失われている…その上に我々の表の世界では知らない、妖魔に関する研究し妖魔の力を応用する方法を開拓した相手なら、既存の魔法が通用しないのも無理もない話…」
マリナは、扉の方で待機していたマリナ直属のメイドを手招きし、近くに呼び出す
「…裁定者のライブラ様に連絡を。もしかしたら、彼なら妖魔の力を解除する術をしているかもしれない」




