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百年祭前日3 グランの魔装と魔法

隠れ家は生活は、ユキナとグランは勿論のこと、カノンとメノンも一緒に生活をしている

それぞれの部屋があるほどの大きさであり、ダイニングキッチンと浴槽にシャワーの設備も完備している他に、カノンやグランの魔法研究、魔装具のメンテナンスが出来る設備も整っている

ここまで来ると魔法使いの秘密基地である


「…今のオレの使っている魔装具はこんな感じですかね」


この隠れ家の大半の家事全般を行うメノンが作った夕食を食べ終わったグランとカノンは、研究室に籠り、グランの使用している魔装具の整理、精査を行っていた


「魔装銃2丁に、別の術式のメモリーが入っているシリンダーが2つ…カードが数枚に、機動力補助のブーツ…まあ一見はベター、魔法使いの戦闘装備の基本を押さえているなグラン」

「現代魔法使いは、魔装銃のシリンダーに挿入しているメモリー次第で扱う魔法は多種多様、多岐に渡りますから、魔力によるエネルギー弾の発射、防御魔法、錬成魔法、変化魔法、魔力変換…汎用性の高さと発動速度も素早い。魔法を行使するとなれば、行き着く装備は似たり寄ったりにはなりますねカノン先生」


グランは自身の魔装銃の一つを机の上に分解し、シリンダー内部のメモリー6本を、術式を刻印するタイプライターにセットしている


「グラン、お前さんが扱える魔法は、通常のビーム弾に風、炎、雷、氷といった属性弾。拘束魔法、変化魔法による銃身を刃、魔装銃そのものを盾に変化…戦闘用途に扱える類はその辺りか?」

「そんなところですね…それ以外は生活に便利に使える魔法、後は見よう見真似で、セルゲイ先生の魔法を幾つか…トルネードバスターとか、パイルバンカーとかも」


カノンは口に出さないようにしているが、グランは現代魔法使いの中でも手数はとてつもなく多く、使いこなそうとしている


(オレたちの時代でも、現代の魔法使いでもここまで多彩に魔法を行使するのは珍しいタイプだ。大体は一つの属性や系統の魔法を主軸にするものなんだがな…それに鉄塊使いの魔法を、見て応用して防御魔法に転用する機転、そして見て分析する才能も高い…魔力だけの魔法使いの素質の人間ではない、それに収まらない)


羨ましい

同じ魔法使いとして、グランを高く評価し、可能性を感じさせるものがあると思っているものの、同時に嫉妬心もグランに対してカノンは持っている


(恵まれた魔力の体質、魔法を行使する才能、そしてまだまだ伸びしろがある才覚…オレが欲しいと望んでいるものを、グランは持っている…)


だが、カノンはそれは決して言葉に出すことなく、表情にも出さないようにしていた

決して言葉に出すことはなく、表情に出さないように


「戦闘用途の魔法に対しては充分か…使いどころ次第って所だな、対怪人相手ならもう少し使うモノを考えれば、何とかやり合えるだろう」

「そう…なんですか?」


グランは疑問に思いながら返答をする。例の鉄塊の怪人のことを思い浮かべていたからだ


「鉄塊の怪人の時は、カノン先生がいなければどうにもならなかったような?カノン先生の風の刃の魔法こそ、どんな状況にも対応出来るのでは?」

「物体相手なら如何なる物を斬れる自信はあるが、風の刃も対策されたら封殺される可能性があるからな。魔力を帯びた防御手段相手には分が悪いんだよ」

「あー…そういえば」


鉄塊の怪人…というより、怪人の姿の前の魔法防壁と鉄の壁の組み合わせにはカノンの風の刃はなかなか突破できなかったことをグランは思い出す


「あの時は最終的に、ジパンの魔法を使わざる得なかったからな…いいかグラン。如何なる魔法も、対策をされると脆い。だからこそ、使える魔法の手札は多いことに越したことはない。そこから応用する力も加われば、無数の手段になる…まあ、圧倒的な力でねじ伏せられるなら、それに越したことがないんだがな」

「最後のは言ってしまったら、元も子もないんですが?」


ここでグランはふと思いつく


「カノン先生のジパンとか、東の大陸の魔法を教えてもらうことって出来ないんですか?常軌を逸した魔法操作能力を要求する風の刃は到底真似できるようなものじゃないんですが、そっちなら…」

「あー…そっちに興味を持ったか…」


グランの思いつきに対して、カノンは渋い顔をする


「何か不都合が?」


カノンが正体を伏せていた時は、ユキナやグランのやる気を出させる為に「オレを倒せたら、教えてやる」という方針だった

状況が変わったとはいえ、そう簡単に教えてもらえなかとグランは思い始めるが、カノンの渋い顔をした理由は全く別の物だった


「…そうだな、グラン。今から言うことを理解出来るか?」


カノンは軽く咳払いをし


『このジパンの言葉、わかるか?』


カノンの発する言葉に、グランは首を傾けて困惑する。何一つ、カノンの喋った言語を理解出来なかったのだ


「…つまり、ジパンや東の大陸の魔法を行使するなら、あっちの古い言語を喋れないといけないんだよな…」

「そんなことあるんですか?」

「そう思うのも仕方ない。現代魔法では習うような分野じゃないからな」


現代のオリュートスにおいて、カリバーン王国、ルドン帝国が昔から使われている言語が、共有言語となっており、東の大陸、砂の大陸の国々も同様の共有言語が使用されている


「ちと歴史の話になるが、オレの祖父母の代からだったかな、東の大陸が妖魔の出現で壊滅的な被害を受け、東の大陸の人々の大半が昔から交流のあったルドン帝国に逃げてきたのは」

「それなら多少は知ってますが…確かその際に、ルドン帝国の人々と意思疎通する為に、こちらの言語を習得したんでしたっけ?」

「当時としては仕方ないだろうが…結果的に東の大陸に関する当時の言語がほとんど失われて、言語関連で残された資料からでも未だ解読しきれていないぐらいだ」


グランはここまで聞いても首を傾げて疑問に思っていたが、一つの答えに思いつく


「…魔法の行使の基本は、その魔法がどういう原理かつ詠唱も理解している必要がある…元々の東の大陸の魔法も、失われた言語での詠唱を理解しなければならない…ということですか?」

「ご名答。オレが使っている東の大陸の魔法を行使するとなると、一から東の大陸の古い言語を覚える必要がある」

「でも、翻訳の魔法って確かありましたよね?それを行使しても、解読出来ないんですか?」


グランが咄嗟に答えが出なかった理由として、翻訳する魔法の存在を知っていた故であった


「これが東の大陸の言語をこちらの共有言語に翻訳しようとしても、変な文章になる。東の大陸の中でもジパンの言語がとんでもなく難しくてな…一つの言葉で複数の意味があるとか、地域ごとにニュアンスが異なるとか…そんなレベルの難解さ故に、妖魔大戦終結した現在でも解読不可能な文章が多い」


ここまで聞かされて、グランもやっと納得いく様子であった。魔法使いでも、全ての魔法に精通している訳でもないのだ


「そもそも、東の大陸自体には魔法という概念では無かったらしいからな」

「そうなんですか?」

「仙術とか霊術とか…そんな類の名称だったらしいが…根底的には超常現象の奇跡を起こすという意味合いの解釈で、東の大陸の魔法って言っているだけなんだよな…実際の所は教えたいのは山々なんだが、とてもじゃないが時間がかかり過ぎる」


カノンは指で数えながら、実際に習得にまでにかかる時間をざっくりと計算していた

最低限の日常会話言語で数か月、魔法行使までに半年、実戦に使うとなると3年近く…ということ辺りまでカノンは計算はしていた


「話を戻すか。もし、実戦で現状の手札が足りないと思ったら、相手の魔法も参考にするのも手だぞ?グラン、お前があの時に鉄塊の怪人の真似をしたようにな」


鉄塊の怪人が、味方ごと無数の鉄塊で屋敷を倒壊、下敷きにさせた際に、グランはユキナと協力して鉄塊の怪人が使っていた魔力変換による鉄の壁の魔法を即座に構築し、自身とユキナ、セルゲイを守り切ったことである


「あの時は…ホントに無我夢中というか…それしか防げる手段が思いつかなったというか…」

「だとしても、お前は鉄塊の怪人が使っていた魔法を人を傷つける手段ではなく、人を守る手段として応用した…グラン、お前は自分が言ったことを体現しているんだよ」

「自分が言ったこと?」


どのことかと、グランは思い当たる節、自覚が無かった。だが、その言葉がカノンには強く響いた言葉


「グラン、お前が鉄塊の怪人相手に言った…啖呵を切った言葉だ。魔装具はセルゲイの善意の思いで作られた物…って意味合いでいいかな?」

「ああ…あの時の…本当に鉄塊の怪人の主張には心底頭に来たというか、アイツの言い分だけは絶対に許さないって感情が出てしまって、咄嗟に出てしまったというか…」


だが、グランはこの時のことを思い出してその時の抱いた思いに疑問に持ち始める。自分で啖呵を切った言葉の筈なのに


「…なんでオレ、これほどまで怒ったんだろ?いやまあ、魔装具を悪用されるのは許されないとは言え…」

「…何であれ、お前は力を正しく守る力として使うセンスがあるんだ。だから、そんなお前こそにコイツを託しておこうと思ってな」


カノンはカードを取り出し、グランに渡す。グランはそのカードの細かく刻まれている詠唱内容でどのような魔法を解読する


「…分身系の魔法?ミラージュフォー…とは違うし、魔装鎧?の詠唱内容にも似ているような…」


カノンはグランがどう解読するか、ニヤニヤしながら眺めて答えを待つ

そしてグランは気付いて、驚く


「これ、アクエリアスの魔装鎧を一時的な分身として使役する召喚魔法!?」

「ご明察だ。アクエリアスの魔装鎧の破片を媒体にして、分身魔法の原理で一時的に使役出来る。ミラージュフォーより、耐久性と操作性も上がっている筈だ。どうせ魔装鎧として使えないしな」

「…いやまあ、確かにその通りですが…ミラージュフォーもそうですけど、これって魔装鎧纏っていること前提なんじゃ?」

「この数日、散々ジェミニアの魔装鎧の使い方を練習しまくっているだろ?お前なら使いこなせるさ…ダメでも持っておけ、必ず必要になる場面が来る」

刻印タイプライター

魔装具の術式を刻印する為の魔装具であり、魔装具のメンテナンスの必需品

作中ではタイプライターという名称であるが、形状はノートパソコンに近い

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