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百年祭前日1 新たな日常

カリバーン王国首都、聖王都の郊外の人気のない森

森の中を高速で飛び回り、森の木の間を高速で抜けていく魔装鎧の纏った者の姿。ジェミニアの魔装鎧である

上手く飛び回っているが


「く!?制御が間に合わな…」


高速の動きに制御が追い付かず、そのままの勢いで木に激突し、バランスを崩し、他の木々にぶつかりながら落下していき、地面に叩きつけられるて、大の字で無様なジェミニアの魔装鎧を纏った者。そのまま変身が解除され、纏っていた者の姿が露わになる


「うわー…もう、見慣れて光景だけど…大丈夫?グラン君?」


大の字で倒れているグランに、メノンは優しく声をかける


「…なんとか」


大の字で倒れながらグランは答える。自分の不甲斐なさを実感しながら。メノンは手を貸すことはせずに、グランが自分で立ち上がるのを待ち、グランは深呼吸して、気持ちを落ち着かせて、ゆっくり起き上がる


「これで何日目だっけ?叔父様がこの森の中を、ジェミニアの魔装鎧で全開で動き回れって、修行の課題を出したの」

「…かれこれ2週間です」


セルゲイ・ローレルの死後から一か月、師匠がいなくなったユキナとグランの面倒を、正式にカノンが引き受けることになった。とは言え、師弟関係としてではなく、魔法使いとして先輩として、十二騎士として先輩としての役目として、新たな十二騎士の候補として、カノンはユキナとグランを鍛えている


「まさか…ここまで魔装鎧によって違いがあるなんて…アクエリアスの魔装鎧を使いこなしていたと思っていたのに…」

(そもそも叔父様専用に、滅茶苦茶ピーキーな仕様にされているから、まともに使いこなせないことを知った上てやらせているのは黙っておこう)


落胆するグランに、メノンは真相を知りつつも、黙っていた


「しかし、メノンさんもよくも毎日にオレたちに…というか、オレに付き合ってくれてますね?魔法省の職員と言えば、魔法使いの中でもエリートに分類されていると聞いていますが?本当なら、そんな暇がないんじゃ?」


メノンは、カノンに頼まれてから連日でグランの修行の手伝い…というより、グランが怪我などで動けなくなってしまった場合の万が一に備えているのである

魔法省に務めるのは、魔法使いの進路としても難関な部類の為に、エリートであろうメノンが、連日来ることに、グランが不思議に思うのも無理もないである


「一応、魔法省の職員として、魔法省大臣から直々に十二騎士を手助けをしろという命令が出ているからね。その辺は全然に気にしなくてもいいし、こっちとしてはデスクワークから解放されて、その上に叔父様の手助けができるなら、これほど有難いことないぐらいにはね」

「魔法省大臣からの?そういえば、カノン先生、魔法省大臣には素性と事情は話したんでしたっけ」

「元々素性を知っていた私は、少し咎められたけどねぇ」


サイク家で素性を知り得たとは言え、まさか魔法省の職員に過ぎないメノンがカノンが刃のジェミニアであることを知っていたのは、魔法省大臣としては面白くなかったことを、メノンは思い出す


「それに…うちの将来のお婿様を大事にしないとだし?」

「…お婿?え?誰の?」


お婿様というワードに、ピンとこないグランに対して、メノンはお前は何を言っているんだという表情で返す


「ほら?グラン君、うちのご当主様。リーノのお気に入りでしょ?というか、リーノがグラン君を婿にするって言ってるけど?あれ?聞いてない?」

「初耳です!?リーノって…あの時の!!」


グランは、サイク図書館での会話を思い出す。リーノの好意のある言い方は、恋愛感情とかそういうものじゃないと思っていたのだが。メノンの言い方だと、そういうことであることを理解し始めて、以前のことを思い出しながら、グランは赤面する


「興味を持つことがあっても、うちの当主様がここまで好意を持った相手って叔父様以来で、サイク家全員が驚いたし、当主様にロックオンされた以上、グラン君は確実に攻略されるだろうなって…君の意思とか関係なく」

「意思関係なく!?」

「リーノって、狙った獲物は絶対に逃がさないし、自分のモノにするだろし、絶対に自分に振り向かせる…意思関係ないといより、彼女色に染められるじゃないかな?リーナは、そういう時は色仕掛けとか躊躇しないと思うしなぁ」

「い、色仕掛け…」


グランは顔をさらに赤くする。数日の付き合いながらも、メノンはグランが異性に対しての好意には鈍いが、魔法使いだからこそ、想像力自体は高い。だからこそ、いかがわしい会話の耐性が低いということをわかってきており、からかうの楽しくなっている

そんなアホな雑談をしていると、森のから離れた位置から、凄まじい轟音が二人の耳に届く


「…これ、ユキナちゃんが叔父様にやられた感じかな?」

「なんというか、日に日に過激になっているような…まあ、ユキナなら大丈夫そうだけど」

「ユキナちゃん、女の子だよね?」

「いえ、身体能力と体は頑丈なバケモノです」


心配するメノンに対して、長い付き合いのグランは、即答で女の子対して使わない評価を吐く


「休憩中だったか?グラン、メノン?」

「叔父様」「カノン先生」


森の中のいたグランとメノンを見つけ出したカノン。カノンはお姫様抱っこで、グルグル目で気絶しているボロボロのユキナを抱えていた


「うわぁ…今日も容赦なく叩きのめしたって感じですね、叔父様」

「ユキナは叩いて伸びるタイプだ。この程度で潰れないさ。それに、オレが容赦なく叩きのめさざる得ない程度には成長してるさ」

「カノン先生は、ユキナの扱い方をよくわかっているというべきか」


グランとユキナは、それぞれ全く違う内容の修行を行っている

グランはジェミニアの魔装鎧での空戦機動の練習

ユキナはひたすらカノンと手合わせ…というの超えた、ユキナが、もはやカノンを殺す勢いでやり合っている


「ユキナが素に戻ってるどころか、ここまで感情を露わに向けて剣を向けた相手ては初めてじゃないかな?それだけカノン先生がユキナを挑発したというべきか」

「むしろ殺意を芽生えさせて受け入れるぐらいじゃないと、ユキナは伸びん…それに、ナナコの件もある。体を動かして、殺意を向けさせていた方が気が紛れるだろ?」


ユキナはナナコが自分達を嵌めたことや、セルゲイを間接的に死に追いやった事実を知り、少し荒れている状態なのだ。


(とは言え、ユキナはこういう精神状態でもこちらの手の内に対応できている…流石、ユーゴの末裔と言うべきか…)


カノンは思わずニヤけている。当人たち自覚はしていないが、ユキナとグランが想像以上に成長をしていることに


「一旦拠点に戻るか。このお姫様もしばらく起きなさそうだし、お姫様をベットに置きたい」


聖王都郊外の滅多に人が寄りつかない森

十二騎士の一人、刃のジェミニアの素性を隠す為

ユキナとグランの修行の場として

正体が未だ不明なウロボロスに備えて

そしてカノンが新しく居住として作った隠れ家を中心とした活動拠点、カノン達の新たな日常を始めて数週間経っていた

ユキナの本当の母親、ミーラ王妃の身に起きたことを未だに知らないまま…妖魔の力を悪用する者達の暗躍が進んでいた

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