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事態は動き出す

聖王都内は一般居住区、上流階級の居住区、魔法省や魔法学校などの魔法に関する研究機関、そしてカリバーン国王が住まうお城…そして100年前の妖魔大戦時に復興しないまま放置された廃墟区

その廃墟区から、カノンは悪ガキ二人を自分の宿屋に連行してきた


「さて…色々聞こうか?グラン?ユキナ?…それにナナコさん?」


グランとユキナは頭にたんこぶを作りながら、ナナコも気まずそうに正座させられている

グランとユキナを倒した後に、カノンはナナコを即座に見つけ出し、連れてきた


「えーと…カノン先生?いつから私たちがアクリエアスの魔装鎧を装着者って気付いたんですか?」

「この状況で質問してくるとは、いい度胸してるなユキナ?まあいい。結構、割とすぐに…ユキナ、以前に広場で過激派活動家達を退治してただろ?その時の現場にオレも居たんだよ。その後にお前さんと剣を交えた時に確信はしたがな…そこから調べるのも、推測も難しくなかったぞ?」


カノンはグランから没収した、アクリエアスの魔装鎧の術式が書かれているカードを二人に見せびらかすように見せる


「大方、セルゲイ・ローレルから持ってきたって所か?十二騎士の魔装鎧を持っているとしたら年代にも彼だろうし、そして町中に設置してある監視魔石もセルゲイ・ローレルが仕込んだものをお前らが使って、正義の味方ごっこをしていた…そんな所か?」

「…マジかよ…大体間違っていない」


カノンの推測大方あっていることに、呆れと感心をしてしまい、思わず正直に答えてしまっていたグラン


「そんで?セルゲイ・ローレルが十二騎士の一人、極光のアクリエアスということは、以前から知っていたのか?」


カノンはカマをかけた。二人がどう返答するか

(もし、セルゲイが十二騎士を名乗っていたら…)


「セルゲイ先生は、私達が弟子になった時に、こういうことをしているって話はしましたが…セルゲイ先生は十二騎士ではないと言っていました」

「…ほう?そうなのかユキナ?」

「セルゲイ先生は、かなり昔、今の聖王都がまだ復興する前の時代に十二騎士の一人、極光のアクリエアスから譲り受けたと言っていました。まだまだ混乱が起きるであろうから、それを鎮める為の力として与えられたと」

「お前たちもそうだが、セルゲイ・ローレルも十二騎士を名乗ったことは無いのか?」

「ええ、そうです。私達も十二騎士どころか、極光のアクリエアスを名乗ったことはないです」


ユキナから語られる話は、全面的には信用する訳ではないが、カノンの心の中では少し安堵はしていた。最悪、セルゲイ・ローレルを始末する可能性が減ったことに


「そもそも、十二騎士を騙るのは重罪ですからね。その辺はこの聖王都に住まう者なら誰も知ることですし…」

「揚げ足を取られないように、せめて名乗ることはせずに、そして無言で貫いていたって所か。グラン?」


グランは静かに頷く。自分たちがしていることには自覚はあるようではある

十二騎士を騙る、十二騎士を名乗っての悪事を犯すとなれば、極刑にされる

世界を救った救世主、英雄たる十二騎士を侮辱するのは、王族や皇族に対する不敬罪と同意義であり、地域よってはそれより重罪になる程


「とは言え、姿を騙っていたとは言え、やっていたことは悪事ではなく、人助けや一方的に暴力を振るわれる人々を助ける為にその力を行使した…そもそも、お前さんらの師匠、セルゲイ・ローレルも同じことをしていたから、オレとしてはどうこう言うつもりはない」


カノンの返答は、グランとユキナ、そしてナナコにとっては思いもしないモノで呆気にとられる

もっと怒られて、二度とやるなとかの説教は覚悟し、アクリエアスとして活動は出来なくなるのではないかと三人とも思っていたからである


「ただ、こんな夜な夜な未成年が出歩くこと、それを幇助したこと。それを事前にオレに話を通さなかったことは面倒を見ることを任された一人の大人として、建前上説教するけどな?」

「怒るところそこですかカノン様?そこまで信頼関係を築けなかったカノン様にも責任があるのでは?」


ナナコの指摘の言葉に、カノンの心に少し突き刺さる


「むぅ…それを言われるとな、やっぱり人の弟子にどうこう言いづらい所もあるからな」

「そうでしょうか?カノン様はどこかしら、あまり人と深く接したがらないように思います。グラン様とユキナ様の模擬戦相手の際も、決して本気を出す訳はなく、決して手の内を見せたがらない。そんな相手を信頼するのは難しいかと」


ナナコの容姿は、20代ぐらいであるものの魔族という長寿の種族である故に少なくともカノンよりも年齢はかなり上であり、相応に人を見る目はある

ナナコの言う指摘はごもっともというのは、カノンとしてはごもっともとだと思ってはいる


「だから、今回は実力行使で正体を暴いた訳だがな。丁度、特定出来る手段を得たタイミングだったしな」

「そういえば…カノン先生は、どうやって私たちの位置と行動を特定したんですか?追跡させないようにかなり気を遣っていたはずなのに…」

「それは、お前さん達の監視魔石を利用させてもらった」


カノンが三人見せた魔石は、自分達が知っている監視魔石とは少し異なる形状をしていた


「広場に設置していた監視魔石の一つを拝借してもらって、逆探知出来るように改造させてもらった」

「…良く見つけましたねカノン様…私達にもいくつ設置してあるのか、どこに正確に配置されているかはわからないように上手く隠されている筈なのに…」


ナナコの言う通り、監視魔石を見つけるのは、国内最高峰の魔法使い集団とされる、宮廷魔法使いでも見つけるのが困難である程、巧妙に隠されている

とは言え、カノンにとってはさほど難しくなかった様子で


「探知は得意だからな、そして元より魔力が低いオレがお前さん達の気付かれずに追いかけるのは難しくない」

「一方的に魔力の反応を探知、相手の魔力を探知出来ないように魔力を自在にコントロール出来る…そして、魔装鎧を纏った状態の相手を圧倒する…しかもこっちが全く知らない魔法まで使ってくる…カノン先生、なんであんなに強いんですか?」

「グラン、それを知りたければオレを一度でも膝をつかせろ。最初にそう教えた筈だ」


それは、カノンが本格的にグランとユキナの修行相手になった際に、最初に決めたことである

元よりカノンは得意魔法を教えることは、紅の魔女からは固く禁じられているのだが、特にグランはカノンに魔法のことについてしつこく聞いていた為

「知りたければ力づくで膝を付けさせてみろ、話はそれからだ」ということになり、一週間経った今でも、グランとユキナが二人がかりでかかっても、カノンに膝を付けさせることは出来ていない


「魔装鎧を纏っていたとはいえ、オレに東の大陸の魔法を使わせたぐらいだからな。聖王都で悪さをする悪党程度なら、何とかなるだろ」


カノンは、アクエリアスの魔装鎧のカードをグランに投げて返す


「アドバイスを一つ言うとなれば…引き際の見極めを見誤るなってことだな」

「引き際…ですか?」

「そうだグラン。お前さん達は十分強いちゃ強い、割と宮廷魔法使いと精鋭の騎士団以上の実力はあるが、実戦経験が低すぎる。特にユキナは熱くなって、周りが見えなくなる。勝てない相手、素性と手口がわからない相手には逃げ出すことも大事だ」


カノンの言葉に、ユキナは少し憤りを感じ、言い返す


「…それが、例え引けない場合もですか?人質に取られたりとか、そんな場合でも?」

「…カッコよく死にたいなら別に構わないさ。あくまでもアドバイスだ、聞くか聞かないかはお前さん達次第だ。オレから言える説教はこのぐらいだ、もう夜も遅い。さっさと家に帰りな」


カノンは説教が終わり、三人は正座から立とうするが


「あ、足がしびれて…」

「こ、こっちも…」

「ユ、ユキナ様…申し訳ございません、わ、私も…」


三人とも足が痺れて悶えていた

悶えている三人を見ながら、カノンは思い出したかのように聞き忘れそうになったことを聞く


「そうだ、お前さん達。今回はなんで出動したんだ?オレはグランの後を追っただけだから、事件の発生現場に向かっていないが…」

「ああ、誘拐事件…いや、その前に止めたから未遂ですね…路地裏で攫われそうになった女性がいたので助けたんですが…」

「誘拐?本当か?その小規模な騒ぎにも反応するのか?」

「流石に初めてですね」


悶えながらグランは答えた返答に、カノンは疑問を感じた…そして嫌な予感がした




そして、この説教から二日後の朝。聖王都内はある話題で持ち切りだった

極光のアクリエアスが謎の集団に敗北したという話

そして、グランとユキナ、そしてナナコがグラス邸に戻ってきていないという話をカノンは聞くことになる

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