灯花はわたしの飴を舐めたいへんたい8
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すると、灯花は、
「んぱっ……」
とわたしのくちびるから口を離した。
……あきめてくれた?
わたしがおそるおそる目を開くと、灯花もわたしの顔を凝視していたらしく、視線が重なる。いつもどこか眠そうでいつもなんだか子供っぽいお人形さんみたいな灯花の目。
灯花はその目でわたしをじっと見つめながら。
「加奈、口開けて」
と一言。
いつもの冷静というかなんというか、淡々とした声。
わたしはそれに対して、
「んんっ……」
と首を小さく横に振って拒否を示す。
でも灯花はわたしをじっと見つめたまま、
「加奈の口の中、なめさせて」
と繰り返し要求してくる。
「くちびる、ちょっとだけ開くようにしてくれればいいから」
「……んっ」
「怖がらないで。痛いことしないから」
「……っ」
「ね? お口開けて」
「……」
や、やばい……。
灯花の目、ほんとに魔法みたい……。じっと見つめられながら灯花の声を聞いてると、胸の奥がきゅんとして、灯花の言うことを聞かないといけない気分になってくる。つい、灯花に差し出すように口を開いてしまいそうな自分がいる。
……だ、だめ!
「んっ!」
わたしは流されそうになった意識を繋ぎとめるように、ふたたびぎゅっと全身を強張らせる。こぶしを握ってふとももを閉じて、灯花の魔法にかかっちゃわないように目を瞑る。
「あ、こら」
灯花が少し不満そうな声を出す。
「目閉じちゃだめ」
「んんっ」
わたしは目をつむったまま首を横に振る。
「加奈、目を開けて」
「んっ」
「あたしを見て」
「んっ」
「もう……。加奈のわがまま」
「んっ」
何を言われてもわたしは首を横に振る。なんでこっちがわがまま扱いされてるの!? ってほんとは言いたいし、はずかしくて死んじゃうからもういじわるしないでって言いたいけど、口を開けば灯花の言う通りにしちゃってることにもなるし、そもそも口の中に溜まっているだえきがこぼれちゃう。
……というか、さんざん口の中にだえきを溜めさせられたのも意味がわかんなくて、もう飲み込んじゃってもいいのか、飲み込んだら灯花は怒るのか、だいいちなんで灯花の言うことに従ってるのか、全部がよくわかんなくていろんな疑問で頭の中がぐちゃぐちゃになる。
すると。
「ちゅっ」
くちびるに甘い刺激。
「んっ!?」
思わず目を開くとすぐ目の前に灯花の顔。
さっきよりも近い距離で灯花に見つめられ、頭の中がじわっとなる。
でも、わたしが目を閉じる隙もなく、灯花は、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、と優しいキスを重ねてくる。
「ちゅっ。ちゅっ……ちゅー」
「ん、んっ……んんっ」
「ちゅっ、ちゅーっ」
「んんっ……んっ!」
「ちゅー……、ちゅっ」
「んっ、んんっ!」
うそみたいに柔らかい灯花のくちびるに何度も繰り返しキスをされる。
さっき舌で乱暴になめまわされた時とは違って、おなかの下の方が熱くなって身体がこわばっちゃうってことはないけど、今度は頭の中がじっとりと熱くなって、どんどん何も考えられなくなる……。ほっぺを両手で固定されちゃってるから顔を逸らすこともできないし、両手で灯花を押そうとしても全然力が入らない。休みなくちゅってされちゃうから、目をつむることも忘れてしまって、灯花の魔法の瞳から視線を逸らすこともできなくなる。
でも、灯花はそこに追い打ちするように、
「ちゅっ。ちゅっ……ちゅーっ……ね? 加奈、お口開けて?」
とキスをしながらお願いしてくる。
「ちゅっ、ちゅっ……ほら。ちょっとくちびるを開くだけでいいから」
「ん、……んんっ」
キスする距離を保ったまま、わたしの目をじっと見つめたまま、灯花はお願いしてくる。吐息が顔にかかってくらくらして、直後またちゅってキスされるから、ほんとに頭がおかしくなる。脳がとけちゃうみたいでこわくなるけど、わたしは涙目で拒絶の意志を訴える。
でも灯花は諦めてくれない。
「加奈……ちゅっ、……あたしの言うこと聞いて」
「んんっ……」
「ちゅっ。……だめなの?」
「んっ……」
「ちゅーっ……ちゅっ、ゆっくり口を開けるだけでいいんだよ? ちゅっ」
「んんっ」
「ちゅーっ……ちゅぱっ」
何度も何度もキスをされて、何度も何度もお願いされる。しかも、わたしが「んっ」と拒むような声を出すたびに、灯花はそれを上書きするようにキスを重ねてくるから、断ったらまたキスされちゃう……って変な気持ちになってきて、つい言うことを聞いてしまいそうになる。
そんなわたしの胸の内を全部分かってるのか、灯花はキスとお願いを繰り返す。
「ちゅっ。ちゅっ……ちゅぱっ……こんなにお願いしてもだめ?」
「んっ、んっ、……んっ」
「はむっ……ちゅっ、お願い。口開けて……ちゅっ……」
「んんっ……んっ、んんっ……んっ」
「ちゅぱっ……ちゅぷっ。ね? 加奈の口の中、なめたい」
「んっ……んんっ」
ふれるだけのキス、ちょっと強めに吸い付くようなキス、くちびるでくちびるをなでるようなじれったいキス。ちゅっ、ちゅぷっ、ちゅぱっ、ってはずかしい音がして、んっ、んーっ、んんっ、ってはずかしい声が出る。ちゅってされるたびに「んっ」て声が出ちゃって、「んっ」て声を出すたびにちゅってされるから、だんだん自分の声が灯花のキスをねだっているみたいに錯覚してきて、絶対そんなはずないのに、じわじわとおなか下の方が熱くなる。
でもだからってそのはずかしい音から意識を逸らそうとすると、今度は灯花の、「お口開けて」ってお願いしてくる声が頭の中に充満して、また言うことを聞いちゃいそうになる。
……こういう時、灯花はほんとにずるい。
さっきみたいに、先生に言いつけるって脅せばいいのに……。そうすれば、わたしはいやいや灯花に従っちゃうのに……。こういう時だけ、灯花はわたしにお願いしかしてくれない……。いじわるな灯花になってくれない……。灯花、ほんとにいじわる……。
「加奈、ほら、口開けて?」
はずかしいのに……。
「怖くないから、ね?」
いやなのに……。
「あたしのお願い聞いて?」
……。
そしてわたしは灯花に促されるように。
んぱっ……。
と口を開けてしまう……。




