理由がございません 2022年9月22日
この小説は、作者が「星空文庫」で執筆している『宗教上の理由』シリーズの世界設定を使ったスピンオフです。読みたい方は、星空文庫にて作品名または作者名「儀間ユミヒロ」で検索をお願いします。
もちろん、この小説単体でも話がわかるようにしておりますので、安心してお読み下さい。
山奥にあるという設定の、架空の小さな村、このはな村。この村にあるコミュニティFMを舞台に、DJのおしゃべりを文字でお送りする、ちょっと変わった形の小説です。
架空のラジオ番組の文字起こしという体裁のため、文法や文中記号の使い方が本来のルールとあえて異なった形になっている点をご了承願います。原則として地の文はメインパーソナリティのおしゃべり、カギカッコ内は他の登場人物のおしゃべりです。
また、この小説は言うまでもなくフィクションです。
おはようございます。このはな村インフォメーションです。この番組では、このはな村に関するさまざまな情報をお送りしております。
このはなFMでは、週末に放送するいくつかの番組をネット配信しているほか、村外からお越しになる方への情報発信も兼ねて、この番組も配信を行っております。
本日は、このはな村における旗の掲揚について、掲揚基準をお知らせします。
先日、ブリテンの女王陛下が逝去されました。このはな村は、かの国にルーツを持つ村民も少なくないという理由から、村役場においてブリテン国旗による半旗を掲揚いたしました。
陛下の逝去に対し、お悔やみ申し上げます。
なお、来週火曜日に半旗の掲揚を行うのかという問い合わせを多数頂いておりますが、当村では役場ならびに、学校等の公共施設では半旗の掲揚は行いません。亡くなった方に対し哀悼の意を表明するかしないかは、個人の判断に委ねられるべきであるという判断のもと、このような対応を取るものとします。
担当は板谷でした。
亡くなった人に対する哀悼の想いというのは、人々の心から自発的に沸き上がってくるものだと思います。