実は、十全さんは…
今日も艶やかな髪をなびかせ登校。
日の光が当たり、頭に天使の輪が出来るほど艶やかな黒髪。
よく聞かれる。どんなケアをしてるのかって。
申し訳ない。生まれ持ったものだ!
特別なことは何もしていない。
清楚で整った顔立ち。スタイルにも恵まれている。
こんな恵まれちゃっていいのか。前世で相当徳を積んだんだろうなと自分でも思う。
さて、そうこうしてるうちにチャイムが鳴る。
1時限目は数学。
今日は期末明けの月曜日。テストが返される。
「青木、市川…」
次々と名前が呼ばれ、テストが返却されていく。
「十全、」
私の名前だ。
テストを受け取ろうとすると、先生が少し間をあけ、ニコッと微笑む。もうお分かりだろう。
チラリと点数を見ると、やはり95点。少しミスはあったが、やはり学年最高得点。
まあ、いつも通り。
そう。そうなのだ…
私は勉強もできる!!
私は " 十全 満 (じゅうぜん みつ) " 。
みんなから、完全無欠で、
生まれた時から、レベルが違う。
嫉妬する気にもならないと思われている。
あなたもきっとそう思ったんじゃないだろうか。
先生に微笑みかえして、ゆっくりと席につく。
少しうつむいて、静かに息を吐く。
はああああああよかった!!!!!!
心の中で叫んだ。
いやー、実は今回のテストは難しかった。
しかも、私は数学は苦手だ。ほんとに自信なかった。
でも、1ヶ月以上前からテスト勉強をして、今まで傾向と対策を積み重ねてきた甲斐があった!
実は…
なんというか、、、あー!認めたくない!!
私は勉強が苦手なのだ。