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EP90 ヘドラーの選択 新たな世界征服に向かって*


◆◇◆◇◆◇


 _____転移

  第28日目 推定 8月28日 午後10時30分

 "寄ってっ停" ここはユウガ達の2階の部屋。


「ふぅリーダー、本当に今までお疲れ様でしたぁ。あれからハンスさんや四天王さん、プレイアデス姉妹と夕食を挟んだ終戦祝いで、もうくたくたなのよさ」

 げふぅ


 「くたくた? それは ランの胃袋なんだろ? 」

 「だってぇ、いいじゃん今日はお祝なんだからさぁ」


 あれだけ食べてご満悦なラン、何故か頬を染めているレイ、何かを考えているようなメーダとジョセを見ると、俺は皆の無事な顔を見れて、本当に良かった良かった......としみじみ思うのだった。


  うん??

ちょっと待てい! そこぉ!


「あららユウガ、アンドロイドのアイリーンとバンジョにエルザとエマが! いつの間に??」


 「「「ヘ、ヘロー」」」

 ヘローじゃねぇだろ!


「ゲゲ、ヘドラー総統! なんであんたまでが俺の部屋に居る! 」

「Ya ! 第四帝国の科学力は、世界一ぃぃ!」

 超有名漫画のパクリで誤魔化しやがった。


 総統とアンドロイド4体は、ステルスアイテムでこっそり俺の部屋にずっと潜んで居たらしいが、俺達は総統ヘドラーに今更用はないのだ。ヘドラーと四天王達には、南極の秘密基地に帰ってくれればいいと思っていたのだ。実際夕食の時も、ヴィクトール達はそう俺に話していた。


「総統、なんであんたがここに居るのよさ! 」


 「「「そうよそうよ」」」

 アンドロイドのアイリーンとバンジョ、エルザとエマもランの罵声に同調して大合唱をしているのが解せんのだが。

 『それにしてもステルスアイテムは、南極組の標準装備なのか? アイリーンはどうして持っている?!』


  ふぉーほっほっ


 敗北による後悔と懺悔の気持ちを持ったヘドラーに、<女神の御手>の精神浄化が作用し、目の前のヘドラーは、どこから見てもただの糞じじいになっていた。


 但し、一つ違うのはヘドラーはもともと<美の追求者>である。その凝り固まった想いだけは消える事がなく、何故かユウガ達を見る瞳が燃えているのだ。


 メラメラ

「ユウガ、このおじいさん、ちょっと怖いの」

____レイが怯えて俺の腕を掴んで来た。

「むむ、狂ったその瞳が面妖過ぎるのよ」

____敵意丸出しだなメーダ。

「きっとボケてエロに目覚めたのよさ」

____ランは通常運転。


 しかし、軽蔑の嵐が吹き荒れる中、ヘドラーのフォローに回ったのはジョセだった。


「あ、あのね、強化スペシャル・バニースーツの事なんだけどね......」


 ジョセが何故か言い淀んでいるのだが、それとヘドラーと何の関係があるのだろう。話がいきなり俺たちの防護コスチュームに変わると、ヘドラーもジョセにアイコンタクトをしながら、親指をビシッと天井に突き上げていた。


 『Good Job ジョセフィーヌ』


「それは分っているよジョセ、お前がバニーガールのコスチュームが好きだったからだろ? それは前に聞いているからさ、今問題視しているのは、総統が何故俺たちの部屋に居るかなんだけど」


 違うの......。

 何が??

 どうしても言わなければならない事があるの......。


「総統はね、南極秘密基地で過ごしている時(世界征服の準備)、Youtubeでバニーガールの動画を見て、あたしにこう言ったの」

 なんて??


「こ、これぞ余が求めていた<究極の美>のコスチュームである! 少ない面積でこれだけのセクシーを醸し出すとは、なんと美しいことよ! これだジョセフィーヌ、これで少年優雅達の防護スーツを作るのだ」


 「ちょっとちょっと、すると総統が強化スペシャル・バニースーツを作れと命令したの?」

 そ、そうなのれす。


 俺たちを日本から転移させ、冒険者にさせてダンジョンでモンスターと戦わせたのは、総統や四天王達のお遊びだとジョセから聞いていたのだ。


「あたしもね、バニーガールが大好きだったから、ほいほいと総統の指示に大喜びで従って作ったのよ。お陰様で最高のスーツが出来たのよね」

 えへん。


「何がお陰様だよ! それ総統にずっと騙されていたとも知らずにだよね! お前確かIQ500だったよな? 」

 ぐさ


 そこで、やっと口を閉ざしていたヘドラーが真相を語りだした。

 「余は、私は世界征服の野望に燃えていた。だがチャネリングにより優雅少年が、私の世界征服を阻止する予言の救世主だと知った。その予言とは、<アルデバランの英知>に触れて分かった事なのだよ」


「うーんとですね、話を整理するとですよ、総統は世界征服に邪魔な俺を、ジョセにはお遊びだと騙して、異世界のダンジョン内で抹殺しようと企てた。しかしどうせ殺すなら、<審美主義者>である総統は、究極の美と思ったバニーガールのコスチュームを着た俺を殺したかった......」

 ニッ

「総統、そのサムズアップはやめて。キモイわさ」


「本当なら優雅少年一人をダンジョン内で殺すつもりだった。しかし何故か小娘レイと大食いのラン、それにエロフまでが少年の仲間に加わって、最終的にはジョセフィーヌが寝返った。その結果"Quty Bunnies" 5人組が出来ちゃった訳だな、これが」


 出来ちゃったって.....誰を妊娠させたんだ総統!


「小娘って」_____そこは美少女って言って欲しいわね。それにわたしはもうすぐ新妻になるの......ユウガの......ぽっ いやん何を言わせるのよ総統ってば。


 ......大丈夫か? この娘は。


「大食いって」_____当たってるけどさ。レイ、あたしのAbsolute Zeroを見舞われたくなかったら、新妻発言は止めるのよさ。


「エロフじゃないってば」____総統、エクストラ・ボウを味わってみる? レイもよ。


「寝返った? 世界征服の為にIQ500のあたしを利用していたからじゃない」____あたしを散々こき使った癖に!


 まぁ......その通りであるな。


「総統、異世界転移の目的と経緯は分かったけど、なんで俺を転性したんだよ!」

_____うむ、それはこの小説の核心よの! 仕方が無い、ついに海より深い理由を話さねばなるまい。


 現在優雅はレイ達にも劣らない、ハーフ美少女にメタモルフォーゼ中だ。戦いが終わった優雅がこの姿で日本に帰れば、父鶴吉と母亀代ばかりでは無く、夏休みが明けた二学期に、高校のクラスメイトとどの面下げて会えばいいのか、それは大きな不安材料だった。


______挿絵(By みてみん) 女子高生 夢野優雅


 『スカート履いてブラして登校ってのはなぁ。高校に転校手続きはあっても、転性手続きなんてないしな』

 ぶつぶつ


「まだ分からんのか少年優雅よ。究極の美の象徴であるバニースーツ、これを着る事を許されるのはハーフの超絶美少女だけであーる! モッコリ付きのバニーガールなど、この世に存在してはならんのだよ」


 はぁ......総統は、変な趣味が拗れている訳だ。


「そこで超科学力を持つIQ500のあたしも協力して、少年ユウガくんをハーフの超絶美少女に転性させたんよ」

「させるんじゃねぇよ馬鹿! 」


 ヘドラーとジョセが、何故か胸を張って威張っているのが癪にさわるのだが。


「ジョセ、それで俺は元の男に戻れるのか? そこんとこが大事なんだけどさ」


「そうよね、簡単に言えば戻れるわ。ユウガくんが日本に転移するゲートを潜った瞬間、股間のナニは消滅して元のユウガくんになれるのよ。この転性効果はね、この異世界ジャーブラ島だけでしか効果が無いの」

 ほう


 ジョセのその言葉で、俺の心配事は吹っ飛んだのだが、総統がとんでも無い事を言い出したのだ。


◆◇<新たなる世界征服>◆◇


______「私がこの部屋に来た海より深い理由。少年よ、私はこれから生き方を変える。私は君たち"The Cuty Bunnies" の応援隊長となって世界中に少年達を売り出すのだよ。これがわたしの<新たなる世界征服>になるのだ」


 売り出すとは、俺たちを人身売買する気か!

 やっぱりボケたわさ。

 狂ったわねチョビ髭。

 "The Cuty Bunnies"って??


「おぉ、流石に少年の新妻となる君は飲み込みが早い。君たち5人は"The Cuty Bunnies"と言うロックバンドを結成するのだよ。私はそのプロモーターとなり、ロックバンド"The Cuty Bunnies"を世界に発信つもりだ」


「それなら私たちアンドロイド4人も、全面的にお手伝いしまぁ~す!」


.........ロックバンド "The Cuty Bunnies"

「なんじゃそら!」


 いきなり話がロックバンド結成とか妙な事になったが、もともと俺はHAMAYAのエレキギターで、バンドを組みたくて練習をしていた事を思い出した。


「バンド? いいじゃん、あたし高校の軽音部でドラムス担当だし」(ラン)

「ユウガがリードギターするなら、隣に居られる新妻のわたしはベースしちゃう」(レイ)


「ふむ、バンドとは面妖だけど、あたしは声が自慢なのです。となるとボーカル担当だよね」(メーダ)

『なんでボーカルって知ってんだよ!』


「ならあたしはキーボード! キーを打つのは得意だから」(ジョセ)

『......PCのキーボードとは違うんだけど、ジョセはIQ500、すぐマスター出来るかな??』


「ふむ、なんだやる気満々ではないか。これから私は君たちロックバンド"The Cuty Bunnies" の為に日本に渡り、残りの余生を捧げるつもりだ。後の事は全てわたしに全て任せるが良い。それが私の罪滅ぼしとなればと思っているのさ」


 「のさって」

 ヘドラーとの闘いが終わってみれば、話はロックバンド"The Cuty Bunnies" 結成へと新たな道が開けてしまった。


 様々な課題は残されているが、どう言うつもりかレイもランもメーダもジョセも張り切っている。それはそれで結構な事ではあるけど......。


『じゃぁ、日本に戻っても家のあるレイ、ランは兎も角、メーダ、ジョセ、アンドロイド4体とヘドラー総統ってどこに住む気なんだろう? あいつらアパートでも借りるつもりか?』


 俺は悪寒と冷や汗が、背筋に流れるのを感じていた。

 『まさか?』



 総統ヘドラーの世界征服が、なんとロックバンド"The Cuty Bunnies"結成に変わりました。

これで世界中の目を釘付けにし、自分は全ての企画運営、応援隊長になるらしいのです。

さてさて、この先どうなる事やら。


挿絵(By みてみん)


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