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EP88 "Cutie Bunnies" 最後の闘い⑬ 最終作戦<Dragon Heat & Absolute Zero > *


◆◇◆◇◆◇

_______挿絵(By みてみん)  総統ヘドラー



「 食らうがいい! <拡散サンダーボルト>ォォ!」

  ガコォム

  ビガシャァァァ  ブスブス

 360度全方位に9800万ボルトのドーム状電流波は放射され......なかった。


 「うん? どうした何故必殺の<拡散サンダーボルト>が撃てんのだ! ? 」


______ヘドラー専用搭乗型ロボット魔人<ザ・グレートヘドラー>


 100万馬力を誇る総統ヘドラーの搭乗型最強ロボット。その力は一騎で国家一つを殲滅出来る上に、全身を覆った超合金の防御力は、核ミサイルの熱エネルギーでさへ破壊は不可能な筈だった。


 しかしヘドラー自慢のその超合金には、"Cutie Bunnies" のレイ、ハンスとランのコンビネーション・プレイで、既に亀裂を起こしていたのだ。


 更に追撃のハンスの熱線砲も加わって、両腕の攻撃能力は満足には発揮出来なくなっていたのだ。その上ブレスト・ファイアー、極凍波射出板もメーダの新スキル<バスター・アロー>によって、胸部内も蹂躙され発射はもう不可能状態だ。


 満身創痍のヘドラーが放った必殺の筈の<拡散サンダーボルト>だったが、高圧電流波は放射されず、事態を理解出来ないヘドラーは、一瞬攻撃の手を緩めてしまった。


 「どうして何故撃てないのだ! ? 」

 

_____撃てない理由。

 それは、高エネルギーを充填した負荷が、防御力の落ちた右腕に更に負荷をかけ、回路を損傷して出口の無くなくなった9800万ボルトの電流波が、右腕の中を駆け回っていたのだ。そして逃げ場の無いエネルギーが、ユウガが切り込んだ切れ目に集中したのだった。


 ビキビキ グワァァン ドゥ

「なにぃ 超合金の右腕が吹っ飛んだ! 」


 脆くなっていた右腕の超合金が、9800万ボルトの高エネルギーに耐えきれず爆発を誘発した結果であり、ユウガの狙いは予想外の結果を齎した。


 「やったねユウガ、エルザの助言が役に立ったわ!」

「えへん、あたしの新スキル<アブソリュート・ゼロ>の威力はどうよ?」

「ふふ、仕上げのStage 3、<バスター・アロー>も大活躍したでしょ」

「バニー殿、みんな大活躍だったな」

「アイリーンだって褒めて欲しいんけどぉ~」


 両腕と自慢のブレスト・ファイアー、極凍波ビーム、そしてグレートヘドラー・ソードを使用不能にした作戦は、大成功の結果を齎した。


 ヘドラーの右腕を吹き飛ばしたユウガは、その様子を見てほっと溜息をついた。


「これを名付けるなら、作戦名<Dragon Heat & Absolute Zero > かな?」

「ユウガ、なにそれ? 熱して冷凍乾燥するインスタント・コーヒーの製法みたい。そう言えばわたしのママが、フリーズ&ドライ製法のコーヒーをよく飲んでいたわ」


____『へぇコーヒーの作り方と似てたのかぁ? 』


「まさかよね、リーダー、コーヒーの製法がヘドラーに通じたなんて、あたし本当に驚きだわさ」


「コーヒー? 何ですかそれ?  飲み物ならあたしも飲んでみたい」

「メーダ、呑気な事を言っている場合ではないよ。ヘドラーにはまだ攻撃手段が残っているんだ。俺は残っている<光子力かなビーム>の単眼を叩く」


 「それは危険よユウガ」

「今がチャンスなんだ、俺がやらなくては」


 俺はレイの言葉を無視して、ラビット・イヤーの通信を終えると、ライトセイバー・ナイフを握って、ヘドラーの顔前に跳躍した。そして紫電を放つライトセイバー・ナイフを突き刺した。


 ヴゥォォォン ビギビキ

光子力かなビームの単眼発射孔を確実に粉砕した手応えを右手に感じると、更に奥に向かって突き刺した。


 「ぐぉぉ! 糞兎少年(バニー)のビーム・ソードが余まで届きそうだ。今度は余を直接狙って来たか! 」


 ヴゥォォォン ビギビキキャゥゥ

「よし、これでビームは撃てなくなったぞ」


 ビームの発射孔は特殊なガラスであり、ユウガのライトセイバー・ナイフを容易く受け入れた。ザ・グレートヘドラーの唯一の弱点でもあったのだ。


糞兎(バニー)がぁぁ! 余の残りの手札は、バルカン砲とスクランブル・スーパーダッシュか......どうする、もはや残った両足だけでは戦闘不可能と判断すべきか。エルザも予備エマも無しでは......」


 ヘドラーはもはや戦闘継続不可能と判断した俺は、ラビット・イヤーで全員に通信を送った。


「皆、ヘドラーはもうビームを撃てない。残りの武器は要警戒だけど、ここはヘドラーに降伏勧告をして見るから攻撃は一旦中止だ」


「分ったわ」

「はいなリーダー」

「うん、それがいいわ」


 しかし俺の言葉にメーダだけが反論して来た。

「まだヘドラーは諦めていないかも知れないのよ。ユウガくん、ここはあたしがダメ押しするわ」


 キリキリ


 メーダが新スキル<エクストラ・ボウ>の矢を引き絞った。

<エクストラ・ボウ>は、今までの魔弓(ボウ)の強化版である。鏃のダイアモンドは、更に硬質の未知の金属オリハルコンとなって敵を貫くのだ。それは四天王が作った超合金ですら貫通出来る神の領域の金属。

 それを授けたのは......。


______「いくわよ、グレートヘドラーの頭部を破壊してあげる。それならもう制御出来ない筈」


 ヘドラーは頭部のコックピット中、つまり<光子力かなビーム>発射装置の真裏に位置していた。


 いくら超合金で出来ていても、破壊された目を<エクストラ・ボウ>の矢で更に貫かれれば、ヘドラーは串刺し即死の位置である。


「深追いは止めろメーダ、それはやり過ぎだ! 」


 俺がメーダに攻撃中止を伝えようとした途端、メーダのオリハルコンの矢は唸りを上げて風を切った。


  ビシュゥゥ

「これで幕引き、さよなら総統ヘドラー!」

  ヒュン


 矢の放たれる音と同時に、聞き覚えのあるもう一つの風切音が聞こえた瞬間、俺達が見たものは信じられない光景だった。


  ドキャ


 「ハンス!」

 それは、オリハルコンの矢に貫かれたハンスだった。

 ぐはっ!


 「何やってんだハンス!」

「ハンス、あなたって やっぱり」

「あわあわリーダー」

「ユウガくん、あたしなんて事を」


 空中の俺達がハンスに駆け寄った時、息も絶え絶えのハンスは最後にレイを見て笑った。


奥殿(レイ) げほっ げほっ かはっ 結婚 招待状 も う 不要  だ .....し、幸せ に な......」


 ハンスはそれだけ言い残すと、静かにその瞳を閉じた。

 「「「ハンスぅ」」」

 たった今、元四天王の一人、ハンス・コラコーラは天に帰って逝った。

 いったいどれほどの時間が経過したのだろう。俺達はヘドラーとの戦いの中だと言うのに、ハンスの亡骸を見続ける事しか出来なかった。


 長い付き合いのあるジョセも、ハンスの笑い顔を見て、静かに涙を流し続けていた。

 「ハンス、あなたは子犬のように可愛いくて、いつもジョークを飛ばしていたわね」


◇◆◇◆◇◆


 浜辺で成り行きを見ていたヴィクトール、ゲッツ、ヴァルター兄弟も、俺達が駆け寄っているのを見て事態を把握、そして理解した。


 「ハンスが、ハンスが今逝った」

「うぅ、ハンスの野郎が逝ってしまったぜ」


「ステラお姉様、あのワンちゃん男が! 」

「皆ハンスさんの為に祈りましょう。敵だけどヘドラーを守る為に、ハンスさんはその身を捧げたのよ」


 「「でもどうして総統ヘドラーを?」」

 プレイアデスの長女ステラは、ハンスの犠牲的行動を理解していた。


「よく聞きなさい、私の妹達。どんな悪い人間でも、殺す事に正義は無いのです。あなた方も思い出しなさい。1945年に逃げ惑っていた総統ヘドラーと、ここに居る四天王達を助けた事を」


「でもステラお姉様、あの時総統ヘドラーを助けたばかりに、こんな事になっているのよ」

「「そうよ、そうよ」」


 確かに次女ペロンや三女エレクトラの反論は正しくもある。マイアとターニャ、プレアはどちらが正しいのか、無言になって考えあぐねていた。


「いいですか妹達。あなた方には真実を伝える時が来ました」

ステラが瞳を閉じて覚悟を決め語り出した言葉は、にわかには信じられないような話だった。


「アルデバランの英知......知識を求める者に対して、等しく教授される銀河宇宙のアーカイブ。それに総統へドラーが接触した。そして超科学技術を得て、同時にへドラーを脅かす存在が、必ず未来に生まれると知ってしまったのよ」


 第四帝国総統へドラーの野望、すなわち<新たなる世界征服>を阻止する存在を抹殺しなければ、へドラーの野望は実現出来ない。しかしそれまで総統と共に破壊兵器を作り続けて来た四天王達は、やっとへドラーの残虐性に、ある出来事を切っ掛けに気づいた。


「ほほう、それは俺の事だな」


 ステラの話を傍らで聞いていたゲッツが頷き、そして後悔するかのように口を開いた。


「俺もハンスの気持ちを受け取った。俺もハンスの立場だったら、同じ事をしただろう」

 ゲッツさん......?


「俺達が総統ヘドラーから寝返ったのは、人殺しを続けたくは無いからだよ。世界征服を実現する為に、世界中の罪も無い人間を殺さなくてはならなくなるからな。なぁヴィクトール」


「うむ、ゲッツの言う通りだ。超科学技術を得た我々科学者は、己の研究に没頭する余り、研究の結果が何を齎すのかを理解していなかった。大惨事世界大戦敗北の屈辱が、我々の精神を麻痺させてしまっていたのだよ」


「あぁ、アルデバランから得た超科学が、俺達の良心を狂わせてしまっていたんだ」

 ......。


「聞きましたか妹達。アルデバランの英知が総統や四天王を狂わせた.....そしてその未来は予言の<救世主の少年>によって、たった今阻止されたのです。見なさい、闘いはもう終わっているのです。ハンスさんの尊い犠牲によって」



 「これで戦闘は終わったのだ。空を見て見ろ」

 ヴィクトールは確信を持って呟くと、旧四天王とプレイアデスの六姉妹、浜辺に泳ぎ着いたバンジョとエルザが、闘いの終わった青空を見上げた。


 バシュゥゥ

「ユウガ、ヘドラーがポッドで離脱したわ」


「あぁ、闘いはもう終わったんだレイ、ラン、メーダ、ジョセ。それにアイリーン。俺達もヘドラーのポッドに続こう」


 ザ・グレートヘドラーの頭部から、マニピュレーターポッドが射出すると、ヴィクトール達が見守っていた浜辺に静かに着陸したのだった。




長かった対ヘドラー戦でした。

なろうの底辺に位置している力のない小説ですが、この小説は後、数話でエンディングを迎えます。なんとかここまでやってこれたのは、足を運んでくれた読者様のお陰です。


感謝の気持ちを心に、完結したいと思っています。


挿絵(By みてみん)


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