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EP84 "Cutie Bunnies" 最後の闘い⑩ 弱点を突け! *


 ◆◇◆◇


 ______「行くぞ!」


  俺がこれからヘドラーと対決しようと身構えた時だった。


 「ちょっと待ってくれバニー殿、戦闘前にもう一度言っておくが、<ザ・グレートヘドラー>の武器は他にも、<ブレスト・ファイアー>、<極凍子光線>、<ドリル・プレッシャーパンチ>、<グレート・ソード>やガトリング砲があって、その上に100万馬力と来ているんだ。気を抜いたら命取りだぞ」


 ふぅ~

「勿論さハンス。気を抜けるほど楽な相手だとは思っていないよ。それに100万馬力? そんなパワー、俺にはピンと来ないしね。だけどありがとさんハンス」

 おっおう。


「そしてアイリーン、お前とハンスとはもう通信が出来なくなるから、ヘドラーの攪乱に専念してくれればいい。攻撃は俺達 "Cutie Bunnies" 5人に任せろ」


 武器を装備していないアイリーンが出来る事は、己の身を囮にして、ヘドラーの視界に煩く入り込む事だ。それによってヘドラーの攻撃に隙を見出す作戦なのだが、そのリスクは余りにも大きい。それでもアンドロイドであるアイリーンの決意は固く揺るがなかった。


 「Yes my master! お任せ下さい」

____『例えここでマイ・マスターとお別れになったとしても、私はそれでいいの』

「じゃまた後でなバニー殿......兎の大将」

____『......ふっ、私に後があるとしたら......の話だけどな』



 「よし始めるぞラン、アレを頼む」

  OKリーダー、いくわよぉ~


 <範囲拡大(マス)・ウルトラ・ソウル>!!


 ランのスキルが、俺たちに闘志を掻き立ててくれる。

  うぉぉぉ!


 それでもハンスだけでは無く、アイリーンもこの戦いで自分が生き残れるとは考えてはいない。しかし "Cutie Bunnies"の5人 は違う。それはヘドラーとの戦闘を前にして、ランのスキル<ウルトラ・ソウル>を浴びたからではない。



「この戦いに勝利して、皆でまた日本に帰る!  その時はメーダとジョセも一緒だぞ! 」


「「嬉しい!! 」」

 そんな強い思いが、5人を突き動かしている原動力なのだ。尤もランには、ランらしい理由がもう一つあった。


 『日本に帰ったら、太ってもいいから思いっきり甘いスイーツを食べるのよさ』


 戦うモチベーションはそれぞれあっていい。ボクシングのようなハングリーさは、戦闘に大きな力を発揮してくれるのだから。



◆◇◆◇


 エマ、<ブレスト・ファイアー>の準備は出来たか? 糞兎少年(ゆめのゆうが)とお仲間が、雁首揃えてお出ましだ。ふん、裏切り者ハンスと見慣れないアンドロイドが一体居るな。それならば全部纏めて溶かしてくれる」


 ヘドラーの意に反して、<ブレスト・ファイアー>が発射出来ない為、ヘドラーはエマに怒りをぶつけた。


 「遅いぞ何をしている! 準備はまだ出来んのかエマ!」

  はいはい、準備OK ですぅ


____『へん! 胸のブレスト・ファイアーと極凍子光線を同時に発射してあげる。するとどうなるか楽しみね糞ヘド......その時は私の体も無事では済まないけど』


「よしエマ、<ブレスト・ファイアー>照射ぁ!  食らえ そして余の悪夢を全て燃やし尽くすのだ!」

Fire!


 エマに成りすましたエルザは、同時に<ブレスト・ファイアー>と同じく胸板から照射する<極凍子光線>のトリガーのスイッチを押した。


 ボゥブァァァァ

 ピキィィンンンン

 シュゥゥゥ

「うん? どうしたエマ、何も起こらんではないか。また故障か!」


 照射しない理由は単純、高熱と極凍が熱相殺した為、結果的に+-ゼロになっただけなのだ。しかし如何に優れた超合金であっても、この相反する熱相殺は、超合金本来の強度を大きく落とした。


『あれ?、私って無事なの? でも<ザ・グレート・ヘドラー>本体にダメージが無ければなんの意味もない。じゃぁ次はどうしたら』



 浜辺で、<ザ・グレート・ヘドラー>の攻撃予備動作を確認したのは元四天王達だ。



 「むっ、今ヘドラーが仕掛けた筈だが?」


<ブレスト・ファイアー>と<極凍子光線>の起動音を熟知しているヴィクトール達は、両腕を広げるアクションと微かに聞こえて来た2つの起動音に何かを予感していた。


「ヘドラーがそんな馬鹿な真似をする筈がない。だとすると......マニュピュレーターのエルザか、これはエルザの仕業に違いない! ならばこの戦いに、希望の光明が見えたかもしれない。少年達がそれに気づけば......勝機は必ずある」

 「その通りだなヴィクトール」

 

 「光明!!」

 それを聞いていたプレイアデス六姉妹はどよめいた。

 「女神アルテミス様、どうかあの者達に愛の加護を」

 ステラが膝を折ってそう祈ると、再び他の妹達もそれに続いて祈りを捧げるのだった。



◇◆◇◆


 <ザ・グレートヘドラー>の攻撃の予兆は、ジョセも敏感に感じ取っていた。

 そして感じた事を、ラビッド・イヤーで"Cutie Bunnies" 全員に伝えた。

「ユウガくん、みんな聞いて。今ヘドラーが攻撃を仕掛けた。でもそれは不発に終わっているのよ」


「ああジョセ、俺も胸の紅い板が一瞬赤くなったと思ったら、すぐに青色っぽくなったのを見た」


 「わたしも確認したけど、赤いのならきっと高熱兵器じゃ?」

「あれって攻撃しようとしたんだわさ。じゃあレイ、青って反対の冷却系? 」


 俺は攻撃が何故か中断し、動きの止まった<ザ・グレートヘドラー> を見て、ここはチャンスとばかりに攻撃を仕掛ける。


「みんな、俺はレベルMaxのシャークテック・ナイフで関節を狙う! ハンスとアイリーンが攪乱してくれている今のうちに!」


「でもユウガ、そのナイフで?」

 そうだ。

「リーダー、それならあたしもアイリーンと飛び回って攪乱するから」

頼むラン!


 短い返事しか出来ないのは、レイ達に説明している暇は無いからだ。


 スォォォン

 俺はシャークテック・ナイフを右手に握ると、驚いた事にスター・ウォーズのライト・セイバーのような光の柱が伸び、更に紫電を放ち出した。


 ヴゥォォォン バチバチ

「うぉっ! なんだか知らんが、これなら! 」


 奇妙な音を発するシャークテック・ナイフを、動きの固まっている<ザ・グレートヘドラー> の右関節に振り下ろした。


______挿絵(By みてみん)  ライト・セイバーナイフ



 ジャゥゥゥ ウォン ビキビキィィ

「斬ったか?!  関節とは言え 超合金の腕を! 」


しかし流石に超合金であり、関節部分の半分まで切り込んだところで、ナイフは止まってしまった。


 「糞! レベルMaxでも通用しないのか」

だがそれでも、右腕の能力を半分は封じ込める事には成功している。


「ユウガ、それ<ライト・セイバーナイフ>ね」

 ひぇぇ、リーダー、かっこいいわさ。

 


  ガキガキ

 「右腕の動きが! ええいエマ! お前のせいだぞ」

  ピキ ピキ


 ヘドラーが怒りをエマにぶつけた時、胸の照射板の一部が亀裂破壊し、マニュピュレーター・コックピットのエルザが露出した。


 「チャンス!」

 意を決したエルザは、<グレート・ヘドラー>のコックピットから飛び出すと、そのまま海面に落下していった。


 「何いぃぃ、機能停止していたエルザが?」


 「あれは! 」

 スォォォォォン


 ヘドラーを攪乱する為に飛び回っていたアイリーンが、エルザを発見し落下するエルザを追った。そしてバンジョの時と同じように片手でキャッチすると、海面から顔を出しているバンジョの横に落とした。

 ザバァァ

 うっぷ


 「ちょっと待って、乱暴なあなたに言う事があるの。マイ・マスターに伝えて」

 「何? あたしはね、急いで戻らなくてはならないの」


 飛び立とうとするアイリーンをエルザが引き止めると、そして何かを耳打ちをした。

 ボソ


「えっ!? そんな事が。だとしたら一刻も早くマイ・マスターに伝えなくては! ありがとう。あなたエルザって言うのね」

「あなたはアイリーン、伝言は任せたわ。さぁ行って! 」


 空気を裂くような音を残し、アイリーンはユウガの元へと急いだ。

それを見送るのは、海面から頭を出して浮いているバンジョとエルザ2体のアンドロイドだ。



「あなたもヘドラーの南極秘密基地で作られたアンドロイドでしょ。あたしはバンジョ、あなたよりも前に作られたけど、お互い極秘格納庫の中では一度も会う事はなかったね......」


「いいのよバンジョ、この戦いに勝って友達?  いえ姉妹になればいいのよ。お姉さん」


 ううっ

「あたしをお姉さんだなんて.....なんて嬉しい響きなのエルザ」


 エルザの齎した物は二つあった。一つはアイリーンに託した伝言であり、もう一つはお互いがもう孤独では無くなった事だ。


 「エルザ」

 「バンジョお姉さん」


 海面に浮かぶ2体のアンドロイドに、もう出来る事は無くなった。今は空で飛び回るバニーガール姿の美少女戦士達を見つめ、その勝利を只一心に祈り続けるだけだ。


「「ああ女神様、マイ・マスターをお守りください」」


 ピキュゥゥ


 プレイアデス六姉妹とバンジョとエルザの祈りが、時空を超えて宇宙空間に飛んでいった事は、異世界ジャーブラ島の誰も知る事はない。勿論、戦闘中の"Cutie Bunnies"達でさへも。




◆◇◆◇◆◇


 「女神アルテミス様、この状況はどうされるおつもりで?」

「そうね、人間の間で伝説となったxxxxが顕現化しているわ。その後は......」


 「恐れながら、それでもあのロボットに通用するのでしょうか?」

 控える者の言葉に、女神アルテミスはただ微笑みを返すのみで、その瞳に窓辺から見える宇宙空間に輝くプレアデス星団を映すのだった。

 「アルテミス様......」

 


______挿絵(By みてみん)  プレアデス星団


女神アルテミスは全てを見ていた。ユウガのナイフだけでは、ヘドラーを倒す事が出来ない。プレアデス星団を見つめる女神アルテミスは、何を考えているのだろう。

 

挿絵(By みてみん)

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