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EP83 "Cutie Bunnies" 最後の闘い⑨ <戦う美しき兎(バニー)達> *


◇◆◇◆◇◆


-------挿絵(By みてみん) 閃光と大爆発


 「むむ、見えん」


 砂浜からでは、総統の駆る<ザ・グレートヘドラー>の黒ずんだ超合金の巨体は確認出来ても、転移したばかりのユウガの姿は、豆粒程度にしか見えない。爆発と閃光の後には、もうもうと黒煙が立ち込めていて、ヴィクトール達元四天王やプレイアデス六姉妹の目からは、ユウガがいったいどうなったのか、ユウガの姿が更に黒煙に隠れて見えなくなり、何も確認する事が出来ない。



 「ゲッツ、ヴァルター兄弟、状況はどうなっている? 」

「いやヴィクトール、あの黒煙では俺にも何もわからんのだ」

「すげぇ煙だヴィクトール、ゲッツ、俺達もあの糞兎(ゆうが)が見えん」

 ん??


 しかし黒煙の中から大小の何かが、バラバラと雨が降るように落ちていく物体が視界に入り込んで来た。


「ゲッツお前には分かるか? あの黒い雨のような物は? 少年はどうなったのだ? ヴァルター兄弟、お前たちにはどう見えている? 」


 元四天王の中で最高齢のヴィクトールは、視力が衰えてユウガ達をはっきりと捉える事が出来なかった。


 ......。 

「ねぇステラお姉さま、四天王達はああ言っているけど、あの黒い雨のような物はいったい何なの?  わかるなら教えて」


 次女ペロン、三女エレクトラ、四女マイア、五女ターニャが、同じようにステラの瞳を見つめ、長女ステラの答えを待っているのは、ステラが他の姉妹よりもいろいろな事を知っているからであり、眼前の出来事にもユウガが無事だと信じ、希望のある返事を期待しているのだった。


 そのプレイアデスのステラも、流石に返答に困ると傍らのゲッツに助けを求める流し目の視線を送った。

 じぃっ

 ......ふむ


「待てヴィクトール、俺はすっかり見落としていたが、俺達が乗ってきた<虚ろ船型飛行体>が、間一髪で少年と<ザ・グレートヘドラー>の右ストレートの間に割り込んで、粉々に吹っ飛んだようだ。落下しているあの特徴のある格子状ハッチが何よりの証拠だ」


  ハッチか!


 格子状のチタン合金製ハッチは、非常に頑丈に出来ている為、粉々に砕かれるまでには至らず、依然原型を留めていた。


 「そうか、俺達には見えなかった<虚ろ船型飛行体>が突然現れたのは、ヘドラーの背後から迫って来たからだろう」

「ふむ、それならばこの状況の説明がつく」


 ゲッツが導き出した答えに、ヴィクトールは合点の意を示して頷いた。


 『そうだったの! 』

 ゲッツとヴァルター兄弟の推測に、プレイアデスの六姉妹の12の瞳には、きらりとした希望の光が差し込み、彼女達は両手を胸の前で組み始めると、「では! 」と声が漏れる。

 

 それを最初に叫んだのはステラであり、五姉妹もそれに続いた。

えっ?! それじゃぁ。


 バンジョが飛び出した後も、遅れて飛び続けていた<虚ろ船型飛行体>が、ユウガの身代わりとなって、<ザ・グレートヘドラー>の右ストレートの直撃を受けたのだ。

 しかし爆発の衝撃波を強化スペシャル・バニースーツで防げても、飛行出来ないユウガは海面に向かって落下するしかない。落下するユウガを、バック・パックを背負って駆け付けたレイに受け止められて、海面に激突する寸前で救出したと言う、アクション映画のような展開が繰り広げらていたのだった。


 このわずかな時間で行われたユウガ救出劇が、黒煙というスクリーンの向こう側で行われていたとは、浜辺からでは誰も見る事は出来ないのだ。


◆◇◆◇

 それはほんの40秒前の事。

    スォォーン

   スォォーン

  スォォーン


 無音なのだが、空気を振動させる反重力バック・パックの響きが俺に近づいて来る。

 それはラン、メーダ、ジョセ達の音。


 レイに続いて、ラン、メーダ、ジョセがユウガを取り囲んでユウガの無事を確認すると、思わず安堵の表情に満たされていく。その瞳に溢れる涙とともに。


 「ユウガ、あなたどこも怪我してないの?」

「ああ、吹き飛ばされはしたけど、強化したフォース・フィールドのお陰で大丈夫さ。凄いよこのフォース・フィールドは今までとは別物だよ」


 「「「「ユウガ」」」」


 ユウガが無傷だったのは、Sランク冒険者になった事と同時に、自動で最大の防御力にアップグレードした強化スペシャル・バニースーツの賜物だった。


「あたしの作った最高傑作、<強化スペシャル・バニースーツ>のフォース・フィールドが仕事をしてくれた! 」

 その言葉に、製作したジョセの顔に安堵の笑みが浮かぶ。


「それはIQ500のジョセのお陰だけどリーダー、どこか痛いのなら、あたしがヒールをかけてあげる」


「ジョセ、本当にお前は天才だよ。ラン、ヒールは必要ないからMPは温存しておいてよ」

「温存ね、わかってるって。でもなんとか無事みたいで良かった」


 ランもメーダもジョセも、本当はユウガに飛び付きたくて堪らないのだが、まだ戦闘は継続中なのだ。ヘドラーは今でも上空でなんの損傷もなく存在している為、それを一番警戒しているレイが、無言の視線でラン、メーダ、ジョセを"まだ油断しないで"と牽制を続けている。


  スゥオォォン

  ズゥゥゥゥゥ


 そこへバンジョの自爆攻撃を未然に防ぎきった、アイリーンとハンスが合流してユウガの無事を確認に来た。


「マイ・ダーリン.....よくご無事で! 」

「バニー殿、よく無事でしたな! 」


「アイリーン、君のお陰でレイ達が来る事が出来た。ありがとう。ハンス、あんたも悪いな」

 そ、そんな......

「な、なんだよ......バニー殿、アンドロイドのバンジョもがんばったんだぜ、そりゃ死ぬほどにな」


 バンジョが そうか......

ユウガは知らなかった。バンジョが捨て身の超マイクロ・ブラックホールで、自爆攻撃をしようとしていた事を。


「よし、取り敢えず第一ラウンドは生き延びた。みんな時間が無い、今度はこっちのターンだ! いくぞ! 」


 ユウガの策は、反重力バック・パックで飛び回り、未遂に終わったレベルMaxのシャークテック・ナイフで、再度関節を切り裂く攻撃だ。まず両腕を使用不能にして、100万馬力を繰り出せないようにして、戦いを有利にする作戦だ。


 とは言え、それが仮に成功したとしても、<ザ・グレートヘドラー>は依然としてビーム砲以外にも、未知の兵器などは装備している筈で、ユウガ達に起死回生の大技が無い以上、少しずつ<ザ・グレートヘドラー>の持つ武器を削っていくしか、今は方法が無いのだ。



 「俺はまず、<ザ・グレートヘドラー>の両腕の関節を攻撃する」

「なら私たちも魔法攻撃でユウガを援護するわ」

「俺は最大パワーの熱線砲を、両足の関節にブチ噛ます。言っとくがバニー殿、奴の装甲は超合金だという事を忘れるなよ。それに強力な武器はまだ温存している」


 「分かっているさハンス、だから装甲の弱い関節を狙うのさ。それにアレは巨体過ぎるし動作は緩慢だ。素早く飛び回る俺達に狙いを付けるのは困難だよ」


「そうですマイ・マスター、アイリーンは蠅のように飛び回って、ヘドラーを攪乱して隙を作ってあげる」

「危険だけど頼むよ。悪いなアイリーン」

  えへ。


 「みんな、最初で最後の空中戦になる。意思疎通はアイリーンとハンスには悪いが、"Cutie Bunnies"はラビット・イヤーで通信が可能だ。戦闘中はハンス、アイリーンとは連絡が取れないが、必ずまた会おうぜ」

 もちろんです マイ・マスター!

 へん任しときな、バニーの大将!


 この時 "Cutie Bunnies" + ハンス+ アイリーン+ <?>と、<ザ・グレートヘドラー>の第二ラウンドの鐘が鳴った。



◇◆◇◆◇◆


 「余の眼ではよく見えん」

 黒煙が未だ収束しない状況では、ヴィクトールと同じく高齢の総統ヘドラーも、すぐには追撃出来ずにいた。


 「<エマ> ブレスト・ファイアーの準備はまだか? 」

  Boo~

 「ヘドぉ~ あの黒煙の金属微粒子 センサー探知不能っす」


「ならば、あの兎少年(ゆめのゆうが)がどこか<エマ>、他のセンサーを駆使して探すのだ! センサーを駆使しろ! 逃がすことは許さんぞ」


 『嘘だよ糞ヘドぉ、マイ・マスターは既にマスターの仲間が.....でも私は嫉妬してしまうのです。同じバニーガールのスーツを着た美小女戦士が、マイ・マスターを助けてるの姿を見るのは』


 ユウガの姿を見て制御コントロールを失い、AIが一時的にダウンしていたエルザは、いつの間にか補助AIの<エマ>に成り代って演技を続け、妨害の機会を狙っていた。


 『このまま<エマ>に成りすまして、糞ヘドの邪魔をしてやる!  厄介なビームやブレスト・ファイアーを無効にすれば、残る武器は限られて来る! それに最終手段は私にもあるのよ。超マイクロ・ブラックホールと言う切り札がね』


 傍らではプレイアデス六姉妹が、砂浜に跪いて祈りを捧げていた。彼女達が祈る神とは、女神アルテミスだ。


「ステラお姉様、私達の祈りが女神アルテミス様に通じたのでしょうか? 」

 ペロン、エレクトラ、マイア、ターニャ、そしてプレア五姉妹の真剣な瞳に、ステラは確信の表情で答えた。


「私は、慈悲深い私たちのアルテミス様に、きっと祈りが通じていると信じている」


 五姉妹にはそうは言ったものの、ステラの心は女神アルテミスに縋りたい一心だった。それを隠し続けて気丈に振舞っても、ステラは一人の若い女性であり、心の強さにも限界があるのは当然だろう。


『ああ女神アルテミス様、もう時間が無いのです。どうか私たちの願いをお聞き届けください』


_________________________挿絵(By みてみん)  プレイアデス六姉妹が祈る女神アルテミス

 美しい異世界南国の空で散るのか? それとも。

ここに"Cutie Bunnies"と仲間達の総力戦が始まった。アンドロイドのエルザには超マイクロ・ブラックホールという最後の手段があるのだが、ユウガ達にはいったいどんな策があるのだろうか......。


 エルザの超マイクロ・ブラックホールならヘドラーを倒せるだろう。しかしユウガはそれを使わせてはいけない。

 この異世界最後の戦いに勝利して、生きて共に明日という未来を見るのだ! ユウガを愛し信じている者達の為にも。


挿絵(By みてみん)

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