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EP82 "Cutie Bunnies" 最後の闘い⑧ 幻覚ユウガは女神様?*


Zuzoooo


 バンジョがやっとの思いで辿り着き、乗り込んだ<虚ろ船型飛行体>が、持てる最大速力で<ザ・グレートヘドラー> の背後から突進していく。特に死角を突こうとバンジョが考えた訳ではなかったが、<虚ろ船型飛行体>が偶然にも背後から迫る形になった。

 これには、総統ヘドラーも気づいてはいなかった。


 遅れたハンスのセニアカーが、バンジョの特攻に追随しながら、ハンスの指は熱線砲の発射トリガーに添えられている。


「この距離なら、最大出力の熱線砲がヘドラーに通じるかもしれん」

ハンスも<ザ・グレートヘドラー>の設計と建造に関わっている。<ザ・グレートヘドラー>の超合金で出来た装甲が、相当な熱量にも耐える事は承知の上だ。


+++++挿絵(By みてみん) 突撃するバンジョの<虚ろ船型飛行体>とハンス


 ターゲットに向かって飛行中のバンジョとハンスが、同時に目撃したのは、<ザ・グレートヘドラー> の直前に転移し、再構築したばかりのユウガの姿だ。


 強化スペシャル・バニースーツを纏ったユウガの体は、金色のフォース・フィールドに包まれ、その姿を初めて見るバンジョにとって、あたかも女神様の降臨を思わせた程だ。そして自爆する刹那とは言え、バンジョはその姿に一瞬、心を奪われてしまった。


 「なんて美しいマイ・マスター! 今わたしがマスターを助けます! 」

 バンジョがそう叫ぶと、<虚ろ船型飛行体>側面の黒いハッチを開き、同時にバンジョの指を、胸のカバーを開いて露出した反物質動力炉に突き立てた。そして慣性を利用し<ザ・グレートヘドラー>の前に飛び出した。

  やあぁぁ!

「この距離なら届いた瞬間に! 」


 バンジョの考えた攻撃は、反物質動力炉を指で破壊し、半径50mで発生する超マイクロ・ブラックホールで、<ザ・グレートヘドラー>と共に対消滅する捨て身の攻撃だ。


 「さようなら......マイ・マスター......美しい女神様」

 

 「いかん! バンジョ、それではバニー殿まで超マイクロ・ブラックホールの巻き添えになるぞ。私も死ぬがそれは構わない。しかしここは熱線砲でバンジョの軌道を逸らせなければ! 」


 ズビィィィ

 ハンスの行動は早く、慣性で飛翔するバンジョのボディ側面を、拡散して威力を押さえた熱線砲が掠めた。そしてその衝撃でバンジョの軌道が変わると、バンジョが<ザ・グレートヘドラー>の横腹をすり抜けていった。

 やった!


 あぁぁ~

 外した悔しさと、憎しみの呪詛を残してバンジョは、そのまま海面に落下して行く。


「この馬鹿ぁ! あの犬っころみたいな男ぉ! わたしの邪魔をしないでぇぇ!」

「よし! これで最悪の事態は避けられた。バンジョ、お前は生き残れ」

 しかし、ハンスがそう思ったその時。


  ズガァァァン

 100万馬力のMAXパワーは抑えているだろうが、<ザ・グレートヘドラー>の右ストレートが、ユウガに炸裂した爆音が響いた。その時に発生した閃光で、今は何も見えなくなったハンスは、遮光ゴーグルを降ろしユウガの姿を探した。


 「ヘドラー! くそぉぉ、バニー殿ぉぉ!」


 地上では、この爆発のような衝撃音と閃光に悲鳴が上がる。

「ユウガ少年! 」

「糞バニぃぃー! 」

「何て事! 」

「ユ ユウガく ん! 」

「ステラお姉様ぁぁ! 」


 反重力バック・パックの無い四天王と、プレイアデス達の絶叫のみがこの一瞬、時間と空間の王となった。

それは、<サウンド オブ サイレンス>と呼ぶに相応しい、瞬きをする程の短い時間だったに違いない。



 アンドロイドのアイリーンは、海面すれすれを飛びながら、落下して来るバンジョを片手でキャッチすると、静かに海面に降ろしてまた急上昇していく。

「バンジョ、次はわたしがマスターを助ける。マスターを想うならあなたがする事は自爆じゃないのよ!」


 この時バンジョは初めて己の短慮に気づく事になった。

「わたしが反物質で自爆していたら、愛しいマイ・マスターまで超マイクロ・ブラックホールに巻き込む所だった。あの犬っころみたいな男......わたしへの攻撃は、正しかった」


 ここでバンジョは、ハンスの優しさで人の優しい心に生まれて初めて触れたのだ。

 だが、今はそんな感傷に浸っている場合では無い。


 「私が出来る事はもう無い。後は......うん?」

海面に浮かぶバンジョが空を見上げて見たものは、4人のバニーガール姿の美少女戦士と、アイリーンが反重力バック・パックを背負って、<ザ・グレートヘドラー>の前に転移したユウガを救出に向かう姿だった。セニアカーに乗った、あの犬っころ男も一緒だ。


 そしてバンジョは見た、そして聞いた。大爆発の轟音と閃光を。

「あれは<ザ・グレートヘドラー>の攻撃! じゃ、マイ・マスターは! 」


 あぁぁぁ!

バンジョは感情豊かな、もはや人間の女性と区別のつかないアンドロイドだ。それはジョセの設計を基にした、<ザ・グレートヘドラー>のマニュピュレーターアンドロイド、エルザもまた同じだ。


 閃光と轟音、レイ達にもユウガの姿は確認出来ないが、強化バニースーツが放つ、パワーアップしたフォース・フィールドが、<ザ・グレートヘドラー>の衝撃波を防いでくれていた。

ハンスも辛うじて衝撃波に耐えて、体制を立て直しレイ達"Cuty Bunnies" 4人とアイリーンの横に位置する。


「ユウガはどこ?」

「リーダーがまだ見えない」

「わたしもよ」

「レイさん、フォース・フィールドは有効よ! ならユウガくんは」


 ジョセの言葉はレイには届いていない。胸が張り裂けそうなレイは、必死で閃光で良く見えなくなった自身の瞳でユウガを探したが、対閃光ゴーグルをしているのはハンスのみ。


「ハンス、ユウガはどこ? 探して! 」

レイがいかにIQ200の頭脳を持っていようと、愛するユウガの喪失を認めたくは無い。それを認めてしまった時、レイの精神は崩壊するかも知れない。


 パラパラパラ

 黒い破片が海面に落ちている。

 ゴーグルで視界を確保しているハンスは、その破片の正体に気づいた。

「あ、あれは<虚ろ船型飛行体>の破片だ。そうだった! 俺とした事がヘドラーに気を取られて気づかなかった 」


 やがてレイ達の視界が戻ると。


「ユウガ! 」

「リーダー! 」


「あああぁ」

「ユウガくん! 」


 そこには依然として、金色のフォース・フィールドを放つユウガが浮いていたかと思うと、海面に向かって落下し始めた。

 「おぉ~ やばい 落ちるぅぅ! 」


 その瞬間、レイが手にした予備の反重力バック・パックを掴んでユウガを追い、やがて空中でキャッチするや、手際よくユウガに反重力バック・パックを装備させる事に成功した。

 カチャ カチャ


「レイ、来てくれたの?!」

「当たり前じゃない。そんなの.....バカ 行くわよ! 」

 お おぅ


 甘いムードは一瞬、俺とレイはすぐ反転して駆け上がり、<ザ・グレートヘドラー>の眼前に並びそして叫んだ。


「ヘドラー! ここからは"Cutie Bunnies" 美少女戦士5人が相手をする!」

「アイリーンもね! 」

「私も居るのだぞアイリーン」


 ◆◇◆◇

 「ヘド~ <虚ろ船型> 激突したん?」

「バンジョが乗ってきた出来損ないの飛行体か! あんなものに邪魔されるとは、予言の優雅は少し運が良かったようだ。いや運それではないな。余がもう少し楽しむ為のギフトよ。これからがショータイム、<エマ> 次は<ブレスト・ファイアー>で葬る。準備せよ」


 ブレスト ファミレドぉ......

「馬鹿者! エマ、お前も<虚ろ船型>と同じかそれ以下の出来損ないだな! 」

  Boo~

『し しまった。ついいつもの癖が』


「Boo?」

 総統ヘドラーは何か違和感を感じたが、今は眼前の優雅を、美しく始末する事に集中する。


「私が乗ってきた<虚ろ船型飛行体>が、マイ・マスターのピンチを救ってくれた」

 海面に漂うバンジョは、<虚ろ船型飛行体>と共に自分が作られた事を神に感謝した。

アンドロイドのバンジョが祈る神......それはジョセが作ったAIに、ジョセ達プレイアデスが信仰する女神が、ジョセの意思とは関係なくバンジョのAIに刻まれていた証拠。


______激突し粉々になった<虚ろ船型飛行体>


 最大速力で飛行していた<虚ろ船型飛行体>は、慣性を利用しバンジョが飛び出した後も、そのまま<ザ・グレートヘドラー>に向かっていたのだ。優雅に右ストレートを振るう事に集中していた総統ヘドラーの驕りが、ユウガの身を救ったと言える。

 但し、それはたった一度限りの偶然だったのかも知れない。



"Cutie Bunnies" 5人VS 第四帝国総統ヘドラーの駆る100万馬力<ザ・グレートヘドラー>の戦いが始まった。そしてアンドロイドのアイリーンと、元四天王の一人ハンスはどう戦うのか。更に気になるサブ・マニュピレーター<エマ?> は、何を考えているのだろう?

異世界転移転性最後にして最大のヤマ場を迎え、この作品の完結が近くなって来ました。


挿絵(By みてみん)

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