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EP80 "Cutie Bunnies" 最後の闘い⑥ 覚悟*


++++++++挿絵(By みてみん) ジャーブラ島上空<ザ・グレートヘドラー>


「ええぃ! 外されてしまったではないかエルザ! この役立たずが! 」

え~酷くないヘドォ~? それわたしのせい ですかぁ?


 初撃は軽くダメージを与えるつもりの<光子力かなビーム>だったが、それを想定外のドーム状フィールドで防御されてしまったのだ。


「......まぁよい。少しは抵抗が無いと余もつまらんからな」

 シュゥゥゥーッ


 少しずつ甚振るつもりだった総統の駆るザ・グレートヘドラーが、滞空しながら次の攻撃に移る体勢を整え始めた。


 「美しく華麗に始末してやる。ならば次は何が良いか......エルザ! 」


「ヘドぉ~ あのさぁ~先に言っとくけど、あの金色ドームフィールドを攻撃しても無駄だと思うんよ。こっちの攻撃はぜ~んぶ跳ね返されると予想されぇ~。ここで大ヒント! 弱点はドームの中心に居る人間一人かなぁ~なんちゃって」


 エルザのAIは、ドーム状フィールドは鉄壁であり、恐らく物理攻撃を殆ど無効化出来ると分析している。


「ヘドぉ~、あのドーム状フィールドわぁ~ ニュークリアでないと無理かもよぉ~」


「ニュークリアだと? エルザ、そんな無粋な核なんぞ使っては、余が今まで辛抱して来た事が無駄になる。お前のAI如きでは、崇高な余の<破壊の美学>を全く理解出来んようだな。機械とはなんとも悲しい物だな」


 『へん、じじいの狂った美学なんか理解出来るかぁ アホヘドぉ! 』


 もし核の膨大な熱量に晒されれば、ドーム状フィールドでは耐え切れない。そして核を使えばジャーブラ島を丸ごと消滅させてしまう。総統ヘドラーにすれば、核は最も単純で効率の良い方法なのだが、予言にあった優雅を長年探し求めて来たヘドラーの狂った<破壊の美学>がそれを拒むのだ。


「ふむエルザ、すると夢野優雅(ゆめのゆうが)だけを転移させれば、あのドームは弱体化して余の攻撃が通ると? 」

 まぁ そうなると思われぇ~


「ふふ、ならば事は簡単だ。エルザ、あの少年(バニー)だけを転移ビームでロックして、空中固定して余の前に空間転移させろ。そうなったら<光子力かなビーム>や<ドリル・プレッシャーパンチ>で少しずつ甚振ってくれる。くくっ、予言の少年か女か分からん奴の断末魔はさぞ美しい事だろうよ。裏切り者四天王の始末はその後だ」


 『......クソヘドォ エゲツネェ~』


総統ヘドラーの為に、<ザ・グレートヘドラー>マニピュレーターとして四天王に作られたエルザではあるが、その基幹となるAIはジョセのお遊び気分満載の設計である。それにもともとエルザのAIは戦闘用には作られてはいない。そんなエルザは、ヘドラーに心底服従などしてはいない。


 『逆らったらわたし、壊されちゃうし糞ヘドォ~! 逃げ出したいけど、離脱用反重力バックパックもないしぃ~、わたしってばチョ~ かわいそう~』


 このまま南極秘密基地に帰還しても、エルザを待っているのはいつもの孤独しかない。どの道作られてからずっと、エルザに友と呼べる存在など一人も居なかったのだから。


◇◆◇◆

 「ヘドのご注文わぁと......転移ビームですかぁ~、はいはい只今ぁ~」

 ピッピッ

「転移ビームのターゲットを、ドームフィールド中心の......ロックするよ~......」

 はぁぁ~っ ガクガク


 ズームアップして、ターゲットを補足したエルザに、異変が起きた。


「何をしているエルザ! 早ようせんか! 」

 プシュゥぅぅ~

 マイ....マス......フォ.....ラヴ......♡♡

 ガクゥ


 あろう事か突然エルザのAIが過熱暴走し、緊急保護回路が起動したマニピュレーターエルザは、一時停止してしまった。


「この大バカ者が、こんな大事な時にAIの故障か。この<ザ・グレートヘドラー>の初陣だと言うのに役に立たんポンコツめ! 糞、ならば補助回路システム<エマ>に切り替えて、余が直々に転移させるまでだ」


 総統の言う補助回路システム<エマ>は、エルザが破損した場合に備えたものだが、その能力はエルザAIの12%程度に過ぎない。


「補助システム、転移ビーム照準をフィールド内の少年優雅にロック・オン、転移ビームだ。間違えるなよ<エマ>」


 "オン ザ ロック デ ツマミハ? "

 おい!

"ジョーク ジョーク デンガナ"

「<エマ>ぁ! 準備は出来たんだな?」

 "OK ボクジョウ"


「お前はガッツ石松か! よしポチるぞ! 」

  ピキィィ


 <ザ・グレート・ヘドラー>が発射した転移ビームは、物理攻撃と判定されない為、金色のドームフィールドを容易に通過し、そしてドーム中心に立つユウガ一人を捕らえた。


 キュゥゥァァァン

 おおっ?? なんだ?

 ユウガ!

 リーダー!

バニー殿ぉぉ!


 フィールド内に居る全ての<戦士>の目の前で、ユウガが銀色の粒子に変換され、ユウガの姿を細かいモザイクタイルのように変えていった。


「不味いぞ、これは転移ビーム! ヘドラーは少年をどこかの空間に転移させるつもりだ!  ハンス、熱戦砲で転移ビーム射出孔を撃ち抜け 急げ!」


 ハンスには、これから熱戦砲の照準を合わせて、ロック・オンをしている時間は無い。

「ヴィクトール、そりゃ無理だ。とても間に合わない」


 二人がなどと言っている間に、俺の姿はドーム内から完全に消えた。

 ビームで転移中は、俺の体がどこにあるのか分からないが、意識だけははっきりとしている。


『このビームはStar Treckのアレか、転移先はザ・グレートヘドラーの直前だとしたら、俺がとれるスキルは......』


 <思考錯誤>中のユウガは、今出来る最善の防御と攻撃を試みるつもりだ。


『俺のシャークテック・ナイフは、冒険者ランクSに到達してから、レベルはMAXになっている。どんな効果があるのか、今はそれを試すしかない。あのロボットの装甲を少しでも剥がせれば、きっと活路が開ける筈だ』


 俺はヘドラーの前に出たら、即シャークテックナイフを一閃する覚悟を決める。ナイフがロボットのどこかに届けばと願うばかりだが、空中に飛び出した途端にヘドラーの攻撃を受ける事は間違いない。


「俺自身のフォース・フィールドでどこまで耐えられるか。それに俺は飛べない。覚悟を決めるのは俺自身だ! 」



◆◇◆◇◆◇


 プレイアデスのジョセを除いた六姉妹も黙って見ているだけでは無かった。


「アイリーン、あなたの反重力バックパック、確か予備が<ピーピング・トム号>に保管してあったわね。それを全部ここに持ってきて! ハリー! 」

「ステラその手が! 」


 リーダーステラが、アンドロイドのアイリーンに命令すると、アイリーンはすぐ様、自身がずっと装備している反重力バックパックを起動して飛び出した。


------挿絵(By みてみん) ジャーブラ島沖<虚ろ船型UFO>


 タタタ

 すると今度は負けじとバンジョが、沖に向かって走り出した。目指している方向は、自分達が乗って来た<虚ろ船型飛行体>だ。


 「待てバンジョ、あんな物では<ザ・グレートヘドラー>の相手にはならん。あれには武器など装備してはおらんのだ」

 止めるヴィクトールを無視して、バンジョは走るのを止めない。

「あたしだって、マイ・マスターの為なら......今はそれしか」


 バシャ バシャ

 バンジョが必死で、<虚ろ船型飛行体>に向かって泳いで行く。

 その姿を見てゲッツは、バンジョが何をしようとしているのか即座に気づいた。


「暴走制御装置が無いお前は、特攻して自爆するつもりか! バンジョ! 」


 バンジョの動力は、針の先ほどの反物質であり、ジョセのIQ 500によって作り出された奇跡ののエネルギー炉だ。そして、エルザもまたそのエネルギー炉を装備している。


 反物質とこの世の物質が触れ合えば......そこには極小のブラックホールが完成する。そして起きる<対消滅>により全ては一瞬で無に帰るのだ。


 「特攻するのかバンジョ、ならば微力ながら私もバニー殿の為に。四天王のみんな、生きていたらまた会おうか」


 それは別れの挨拶だったのだろうか、ハンスのセニアカーが発進、グレートヘドラーに向かって行った。

 シュァァァン

 「ハンス、貴様まで! 」

 叫ぶヴィクトールとゲッツ、ヴァルター兄弟を残して、ハンスは出撃した。


「レイ、私達も何か出来ないの? リーダーが殺されちゃうよぉ」

「ランその通りだわ! でもあたしの魔弓(ボウ)でも無理、届かない......いや待って。レイの様子が......」


 HPもMPも満タンの状況でも、何も出来ないレイの怒りと悲しみが、握り締めた手から滴っている血で分かる。

 ポタ ポタ


 レイは待っているのだ。

「早く持って来て! あなただけが頼りなのアイリーン! 」



ユウガ絶体絶命のピンチに、IQ200のレイは何か策があると言うのだろうか?


挿絵(By みてみん)




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