EP79 "Cutie Bunnies" 最後の闘い⑤<ザ・グレートヘドラー搭載マニピュレーターエルザ>
_____転移
第28日目 推定 8月28日 午後1時30分
日本のコーヒー専門店 <Plus&Minus> で、レイママとランママが、美味しいコーヒーと香りを楽しんでいる頃。
ヒュォォォゥ
それは反重力推進エンジンを搭載しているのだろう。聞こえて来るのは、太陽の光を燻銀のように反射するマシンの風切り音だけだ。
「ハンス、セニアカーの望遠モードで、あの物体を確認して! 」
「あいよ~ジョセ。そらズーム・イン! 」
ハンスが乗っているセニアカーには、熱線砲の他にも索的レーダーや、電子望遠鏡が搭載されている。
ゲェっ!
普段は愛らしい円らな瞳のハンスだが、その瞳が大きく見開かれ、そして犬のように吼えた。
ワォォォ~
ハンス!
「ジョセぇぇ、大変だぞ! あの銀色をした物体は、まさしく総統ヘドラーの搭乗機! 」
「も、もう来たの! 早すぎるじゃない! だとしたらヴィクトール、アレがさっき話していた、あたしに内緒で建造していたと言う総統ヘドラーの! 」
「うむ、総統のスーパー・バトルロボット <ザ・グレートヘドラー>に相違ない! 」
ヘドラーは、格納庫から<虚ろ船型反重力飛行体>が姿を消した報告を受けて、すぐさま配下に下手人を調査させながらも、逃げた先は恐らく異世界だろうと推測していた。
______「総統、ヴィクトール博士と、ヴァルター兄弟やジョセフィーヌ主任の姿がありません」
やはりか!
ジョセフィーヌなら、騙されていた事に気づいて逃げ出す可能性はあったが、四天王側近のヴィクトールまでがと、内心ヘドラーは驚いた。しかしそれも一時の事、ヘドラーはすぐに気を取り直す事が出来た。
「ふん、やはり異世界のジャーブラ島だったな。余に逆らう者達は、全員纏めて地獄へ送ってやる。そこから世界を破壊し尽くし、余が新しい世界征服した地上を眺めるがよい。これぞ余が求め続けた<究極の美>、余の魂が震えるぞ」
ふははは
ヘドラーは四天王と言えども、自分の野望実現の邪魔になるのならばゲッツのようにいつでも捨て駒に出来る冷酷な男だった。
◆◇総統ヘドラーの切り札<ザ・グレートヘドラー>◆◇
ジョセの超科学力を参考にして、ヴィクトール博士達四天王が基本設計をし、建造した搭乗型スーパー・バトルロボット。
それを元に、ヴィクトール博士達には内密で、秘密結社が更なるチャネリングを重ねて、よりパワーアップさせたスーパーロボット。それが今俺たちの前に現れた。
「ふふ、挨拶代わりにこれをくれてやる。<光子力かなビーム> スイッチ・オンである! 」
ズビィィ シャァァァン
一条の眩い光線が、"寄ってっ亭" 間近に放たれた。
うぉぉ!
光線が到達した地面は、高熱で溶解して大きな陥没が出来、水蒸気が舞い上がった。
「ち、初撃をはずしたか。マニピュレーターAI 、ちゃんと照準を合わせろ! 」
Boo~
「私には名前がちゃんとあるのよ。ヘド」
「総統と呼べ! そして余の命令を聞くのだ! 」
スーパー・バトルロボット<グレート・ヘドラー>は、多機能で高性能故に、総統一人では制御出来ない。その為、総統の傍らで制御コントロールを担っているのが、アンドロイドAIの "エルザ" だ。
"エルザ"は、ジョセが試作で作ったバンジョを真似て、ヴィクトール達四天王が、試行錯誤を重ねて完成させたマニピュレーター型アンドロイドだ。
しかし、ジョセの設計がベースになっている以上、エルザもまた完璧とは言えない妙な癖のあるアンドロイドに仕上がっていた。
「こ、これは<光子力かなビーム>! しかし設計ではこれ程の威力では無かった筈」
「ヴィクトール、確かに我々の設計よりパワーが上がっているぞゲッツ」
「総統め、我々には秘密にしてパワーアップを計ったか! 」
ビームの威力をまざまざと見た俺は、どうやって反撃したらいいのか、咄嗟にスキル<試行錯誤>を展開した。
周りの時間が緩やかになる。1秒が1分にもなり、現状を分析する時間が稼げる。
「糞、今俺たちに反撃出来る方法は皆無......いや待てよ加護だ、加護ならどうだ?」
ユウガが咄嗟に浮かんだ加護とは、まだコンプリートしていない<プレアデスの加護>の事だ。
緩やかに流れる時間の中で、同じ事をジョセとプレア、プレイアデスのステラ達も考えついていた。
「ちょっと待て、あんたたち何で俺のスキル<思考錯誤>とシンクロしてるんだ? 」
「その説明は後。あたしは嫌なんだけどユウガくん、この際、姉達のチューを受け入れて、<プレアデスの加護>を100%にしてみて」
「そ、それしか無いわ」
ジョセもプレアも渋々だが、今は緊急事態なのだ。
<プレアデスの加護>は、ジョセとプレアの二人のチューで、2/7までロック解除が出来ている。しかしコンプリートした場合、どんな加護となるのか、授けるプレアデスの七姉妹にも分からない未知の加護だ。
「ユウガくん、私達の加護を受け入れて! 今可能性のある方法はチューしかないの。ではイタダキマス」
とステラが言ったかと思うと、ステラのピンク色をしたサクランボのような唇が、タコのようにユウガの唇に吸い付いた。
ブチュぅぅ
それはそれは滞空時間の長い、濃厚なチューであった。
ぷはぁ~「3/7」
「次よ! ぼやぼやしてないで! 」
これに続けとばかりに次女のペロン、三女のエレクトラ、四女のマイア、五女のターニャが俺の唇に吸い付いた。
ブチュぅぅ ブチュぅぅ チュポン チュポン
かつてこのような激しい連射チューを、作者は見た覚えはない。羨ましい事だが、このような経験が作者にあろう筈も無い。
ユウガぁぁ!
パン パン
俺は今、レイの往復ビンタを食らっているのです。
チューの連続で、酸欠ぎみで倒れそうになった俺は、レイの愛の往復ビンタで気を取り戻した。流石レイだ。と思ったら、レイの顔が般若になっていました。と、よく見ればランもメーダも、アイリーンとバンジョさへも怒りのボルテージがメーターを振り切っていた。
◆◇◆◇◆◇
ポ~ン
"<プレアデスの加護>がコンプリートしました。これより<愛の系譜>による<Gift>を授けます"
は?
ここに居る全員に、どこからか女性の美しい声が脳に響いた。
『Giftって、確か俺のスキルにあったよな?』
チューの猛攻と、レイの往復ビンタが痛む中で、俺はそんなふうに思っていた。
そう思っていると、ここに居る全員の体が金色のフォース・フィールドに包まれていく。
同時に唱えてもいない<チェンジ・バニー>が勝手に発動し、俺達5人は "Cutie Bunnies " に変身していった。
Sランク冒険者に昇格した時、ジョセが言っていたように、強化スペシャル・バニースーツも大幅にパワーアップしているのが分かる。
「なんだコレ?! 金色のフォース・フィールドの感触が今までとは比べも物にならないぞ。レイもランもメーダもジョセも、みんな光ってGold Bunyに! 」
「おおっ! バニー殿、眩しくて神々しい姿ですぞ」
ヴィクトール博士ですら、この驚異の変身にはただ驚くしか無い。
「こ、これぞ正しく予言の少年に間違いない! 」
ステラだけはこの変身が、プレアデスの加護だけの力ではく、他の力が影響を与えているのではと推測した。
「これはきっと<プレアデスの加護>と、何かが相乗効果を発揮しているのよ」
ステラの想像とおり、コンプリートした<プレアデスの加護>と、ユウガのスキル<Gift>本来の能力が融合して発動した瞬間だった。
融合した<Gift>が齎したものは何もフォース・フィールドだけでは無かった。
「ユウガ、MP、MPが全回復してるぅぅ!」
あたしのもぉ!
「面妖な! あたしのMPも! 」
「そうかよし、それなら戦えるぞ! 」
「何か輝いているが? 次は外さんぞ。エルザ! 」
『うっせぇし』
ズビズバァ~ァァン
そこへ高エネルギー弾<光子力かなビーム>の次射が到来し、今度こそ直撃は避けられない。
5人の "Cutie Bunnies " プレイアデスの六姉妹、ヴィクトール、ハンス、ゲッツ、アンドロイド2体にも融合した<Gift>が届いている。
それらが放つ金色のフォース・フィールドは、俺を中心にして半ドームを形成していた。
バシィン
「なに! 高出力を誇る<光子力かなビーム>が弾かれたのか エルザ!?」
あたしのせいじゃないしぃ~
正確に言うならば、フォース・フィールドによる空間歪曲により弾いたのだった。
しかし強力になったとは言え、フォース・フィールドは防御力、守るだけではヘドラーは倒せない。
「攻撃を跳ね返したのはいいが、俺はこの後 どうしたらいいんだ」




