EP77 "Cutie Bunnies" 最後の闘い④ <ザ・グレートヘドラー> *
_____転移
第28日目 推定 8月28日 午前11時30分 対ヘドラー緊急対策会議に終わりは見えそうも無い。
その理由は、総統ヘドラーの目的を知るには、余りにも常識を超えた所に存在しているからだ。
①総統ヘドラーが俺を抹殺しようとしている事
②その理由が、何かの予言である事
この二つについては、とんでもない話に驚きながらも、ヴィクトール博士の説明を受け入れるしかない。
チャネリングで得たビジョンでは、俺? が総統ヘドラーの<新たなる世界征服>を阻止するのだと言う。
う~む、俺がですか??
その根拠は<ユウガ>と言う名前、美少女であったり、少年であったりという二面性が俺に当て嵌まる。そして俺にはサバイバルで得た仲間、レイ、ランとメーダが居る。それに今は南極秘密基地の天才科学者、IQ 500のジョセが加わって冒険者チームを組み、"Cutie Bunnies" は今や5人の仲間となった。
「確証はまだ無い俺だけど、ここまで来たらビジョンの少年は、俺の事で間違いないのだろう」
依然としてまだ理由は分からないが、ありふれた高校生が美少女になっている時点で、世界中探してもそれは俺しか該当しないのだ。確か、ジョセは俺の転性のカラクリを知っている筈だ。なにしろ俺用にもスペシャル・バニースーツを用意していた位だったしな。
「そうねユウガ。こうして"Cutie Bunnies"以外にも、プレイアデス七姉妹の皆さんと、このポンコツ.....有能なアンドロイドが二体、元四天王が5人も揃ったって事は、きっとユウガがリーダーになって総統ヘドラーを倒すのよ」
ギリ
席についていたアンドロイド二体が、歯ぎしりをした音が聞こえた。
「あの雌が、マイ・マスターを誑かしているのよ! ベンジョ、ここは共闘するしかないわ」
「アイリーン、わっちはバンジョ、極上玉のバンジョでありんす。でもその申し出には依存ありんせん」
おいベンジョ! 静かにしていろ (ヴィクトール)
は、はい バ カセ
アイリーン、小田真理子! (ステラ)
チッ
『今は真剣な会議をしているのに、ヴィクトール博士とステラは、中々息が合っていて流石だ』
とんだ茶々が入ったものだが話を本題に戻すと、レイは博士の話に納得しているようだが、一番ピンと来ないのは俺だ。なにしろ夏休みを利用して、サバイバルの訓練をしようと神社の森に入っただけで、いつの間にか異世界に飛ばされ、しかもご丁寧に美少女に転性しているのだ。そしていつの間にか、ヘドラーの野望を砕く予言の少年! と言われても本当に寝耳にウォーター、それこそ藪からスティックなのだから。
俺が納得したような、していないような曖昧な顔をしていたからだろうか。ヴィクトールが声を掛けて来る。
「いいかね少年ユウガ、君はまだ納得出来ないだろうが、我々はチャネリングのビジョンを元に、南極秘密基地で長年君を探し続けて来たのだ。名前からしてほぼ日本人と推測して、膨大なデータから<ユウガ>に該当する人物がヒットしたのは、ほんの17年前の事だ。ユウガがヒットしたと報告を受けた総統ヘドラーは、青ざめ愕然して君を抹殺する計画を本格化したのだよ」
『17年前......俺が生まれて、戸籍に登録されたからヒットしたんだ』
「博士、すると総統ヘドラーは、ユウガと言う名前がヒットするまで、俺の存在を確認する為に、ずっと世界征服をしなかったんですね」
うむ。
「私たちは、アルデバランの英知や、ジョセフィーヌの科学技術で、老化するのが極めて遅いのだ。急いで世界征服に乗り出さず、その日の為に超科学の研究をしていたのだよ。勿論、ジョセフィーヌもだ」
げっ
『ジョセって本当はスゲェ BBA ! じゃあプレイアデスの七姉妹も.....これだけは絶対に言ってはいけない』
◆◇◆◇◆◇◆
ヴィクトールの説明を聞き終え、ジョセが今までの出来事を整理していたようだ。
う~ん
「あたしはね、ヘドラーや四天王達にうまく騙されていた事は、もう仕方がないとして......あたしが総統ヘドラーから聞かされていたのは、17歳になったユウガくんを異世界に転移するのは、異世界のダンジョンで冒険者をさせて、四天王が作ったモンスターを仕掛けて楽しむ単なるお遊びだと」
「考えてみれば、転移と転性した俺は、ジョセが作った防具なんかを貰って、仕方なく冒険者になった流れで"誘惑のケイヴ"攻略が始まったんだ」
そうだ少年。
やっと口を開いたのは、ヴァルター兄弟の兄イッヒヒ・ヴァルターだ。
「ああ、この異世界に既にあった"誘惑のケイヴ"を改造し、4階層から8階層まで封印した扉で行けるように作ったんだ」
ネタ晴らしは続いてヴァルター兄弟の弟マンナン・ヴァルターへと移った。
1階層は雑魚ゴブリンとスライム
2階層は兄イッヒヒ・ヴァルターが作った、お遊びの<ピンク・ゴーレム>
ピンク・ビームでスッポにし、恥ずかしい動画撮影が目的だった。
3階層は弟マンナン・ヴァルターの<キング・ゼリー>の溶解液で、ただスッポにするだけのつもりだった。
<改造と増築されたダンジョン>については。
4階層からは、四天王兄の<マジンガーX>
興奮して逆上した短気な兄は、本気で俺達を殺しに来た。
5階層はハンス・コラ・コーラ
あの笑撃波はヤバかった。
6階層はゲッツ・ホルテン
総統の命令で南極に帰還中、ミサイル攻撃で死にかけた。不戦勝。
7階層はヴィクトール・シャベル博士
ゲッツが死んだと思い込んだ事で罪の意識に目覚め、総統ヘドラーを見限って、異世界へとエスケイプ。不戦勝。
8階層がラス・ボス 総統ヘドラー
ラスボスだけあって、相当な攻撃力を誇っている。
但し、総統自らが戦う事になるとは、全く考えてはいなかった。
「つまりだ、少年ユウガは8階層につくまでに、我々四天王の誰かが始末すると言うシナリオだったのだ。お前ら糞美少女兎なんぞ、地上ならこの俺のマジンガーXで粉々に出来たんだからな」
「確かに、狭いダンジョンのお陰で、俺たちの命は助かっている」
今更終わった話より、ヘドラーにどう対処するかが重要だ。俺は今最も知りたい議題に移ろうとした。
③総統のアレには対抗出来ない
これだ。これが分かれば俺たちの作戦が立てられる。なにせ、こちらにはIQ 500の軍師、ジョセフィーヌが居るのだから。
ゴゴゴゴゥゥゥ
突然、大気の振動を敏感に感じとったのは、レンジャーのメーダ、アンドロイド組二体とハンス、ナビコマちゃんだ。
「ステラ、上空に重力振動を感知! 」(アイリーン)
「博士、転移ホールの出現でありんす! 」(バンジョ)
「何! もう来たのか! 」(博士)
「まだ早すぎるの! ユウガくん! 対策が」(ジョセ)
今この時、異世界ジャーブラ島に転移して来る者など、あの男しか居ない。元四天王とジョセの額に冷や汗が浮かんでいる。
ガタンと椅子を倒して、ヴィクトール博士が立ち上がった。
「少年ユウガ、会議はここまでだ。ついに総統ヘドラーのアレが来たぞ!」
それを見てハンスもまた立ち上がった。
「バニー殿、総統ヘドラーが乗り込んで来たのです! 戦いは、たった今始まったのです! 」
総統ヘドラーが攻め込んで来るとは思っていたが、こんなに早く来るとは誰もが予想外だった。
「ゲッツ! 」
「兄者!」
「ステラお姉様! 」
MPのリキャストタイム終了には、まだ時間がある。
「ユウガ、わたしたち......」
リーダー! どうすんのよさ!
「準備が何も出来ていないこの状況で! 」
不意をつかれて、何も作戦を立てていない俺たちは、圧倒的に不利となった。ましてやヴィクトール博士、ゲッツ、ヴァルター兄弟の戦闘メカも無いのだ。
「総統ヘドラーは、ダンジョンの中で抹殺する計画を変更した。アレで空から攻められれば、少年達も私達も生き残る事は叶わん」
いったい総統ヘドラーのアレとは何なんだ。俺は宿の外に飛び出した。
ユウガぁぁ
リーダー!
ちょっとぉ あたしもぉ
空を見上げると、暗黒の転移ホールの中から、青銅のような銀色を反射する物体が現れた。
ゴゥン ゴゥン
「見つけたぞ! ふふ 少年ユウガ、自ら殺されに出て来るとはな。それに余を裏切った四天王もそこか。ならば仲良くまとめてあの世へ送ってやる。この<ザ・グレートヘドラー>でな! 」
総統ヘドラーの切り札<ザ・グレートヘドラー>
ジョセの超科学力を参考にして、ヴィクトール博士達四天王が基本設計をした搭乗型スーパーバトルロボットである。その設計を元に、ヴィクトール博士達には内密で、秘密結社が更なるチャネリングを重ね、よりパワーアップさせた最終兵器。
「この無敵の<ザ・グレートヘドラー>さへあれば、余一人でも世界征服が出来るのだ。少年ユウガを始末するには、オーバーパワー過ぎるがな」




