EP73 対第四帝国総統ヘドラー 防衛チーム? *
_____転移
第27日目 推定 8月28日 午前6時過ぎ。
バチバチィィ
「「あたしに指輪ぁぁ~!」」
飛び交う視線のレーザービームは無数。食堂はもうプレイアデスの姉妹であろうが、"Quty Bunnies"の仲間であろうが無差別バトルロワイヤル状態になってしまった。
『......俺なの? やっぱり原因は俺だよな。しかし俺は今美少女に絶賛転性中の身なんだけどさ......』
「バニー殿......なんとかなりませんかこの状況は。なんなら"ジョセを私にくださいお義父さま"」
ポッ
「赤い顔して誰がお義父さまだよ、ハンスおま、ジョセに惚れてたのか! そんなもん男なら自分からドーンと告れよな」
『だけどハンス、お前が撃沈するのが見えた気がする』
「お義父さま、いきなり告白だなんて......はぁはぁ そのド、ドーンといけないから、......バニー殿の口添えでそこをなんとか」
「馬鹿だなそんなもん、清水の舞台から飛び降りるより簡単な事だろうが......」
『どっちを選んでもハンスには......地獄』
この場に居る9人もの女の闘いと、ハンスの片思いはさておき、ジョセとプレイアデス六姉妹が感動の再会を果たせた。しかし、大きな問題がまだ残っている。
3発の核ミサイルはいったいどうなったのか、そして未だにジャーブラ島が消し飛んでいない事が、ゲッツにはどうしても理解が出来ないでいた。
『確かに核ミサイルを搭載して<デス・ゲッツ>3機が向かった筈だ。俺が命じたのだからな ゲッツ』
「紹介が遅れましたがバニー殿、この男がゲッツですぞ」
!
次にステラ達を紹介しようとしたハンスだったが、拳を握りしめた俺の怒りの方が早かった。
「何ぃぃ! あんたが四天王ナンバー2のゲッツ! 核ミサイルを撃ち込んだ張本人か! 」
俺達"Cuty Bunnies" が持てるスキルと不思議な加護で、奇跡的にも核爆発を阻止出来たから良かったものの、もしそうで無かったら全員がこの場に生きては居ないのだ。
ゲッツぅぅ!
俺が振り上げた拳をレイとジョセ、ハンスまでが止めた。
「ユウガ、わたし達が今すべき事を考えて。ギルド退避所の怪我人を介護するのが先でしょ」
レイの怪我人、ギルド退避所の言葉に、ゲッツはやはり爆発はあったのだと確信した。
「すると核爆発ではなかった......んだな ゲッツ」
ゲッツの問いかけに、ハンスが同意して静かに首を縦に振った。
「そうだゲッッ、ここに居るバニー殿達が、とんでも無いスキルを使って阻止したんだよ。言わせて貰えば、この俺も少しばかり役に立ったがな」
『とんでも無いスキル? 』
3発の核ミサイルをどうやって阻止したのか、才能ある科学者ゲッツでも分からなかったが、とにかくこの島が無事だった事と、己の短慮を深く後悔した。
「ゲッツ、あたし達は爆発と閃光で怪我した住民の介護で今日も忙しいの。あんたのその目で、実際に住民の姿を見る事ね。ハンスあんたもよ、ねぇユウガくぅん」
総統ヘドラーに殺されかけたゲッツ。長年、南極の秘密基地で共に生活して来たジョセにとって、四天王とは軽い友人のような存在だ。これはジョセの精一杯の慰めの言葉だったのかも知れない。
この鼻にかかった甘い言葉で、ジョセがハンスに全く気が無い事が暴露してしまった。
「わかった。ならば俺達もギルドへ行こう。出来る事は俺も手伝うとしよう。俺が言うのもなんだがハンス、世の中、半分は女だから探せば物好きはいる。だから希望を捨てるな。ゲッツ」
「それでも俺を慰めてんのかゲッツ? 馬鹿にしやがって面白くねぇし」
ゲッツの脳裏に、南極秘密基地に居るヴァルター兄弟や、四天王ナンバー1のヴィクトールの顔が浮かんだ。
『あいつ等もきっと......道を間違えていた』
あのう......。
プレアデス六姉妹も、核攻撃の事は気になるのだが、今はジャーブラ島住民救済が第一なのだ。それに冒険者ギルドには妹ブレアが居る。
「私達プレイアデス姉妹も、ギルドで介護のお手伝いをしますわ。丁度レンタル捜索船には、医療アンドロイドが装備してありますの」
ヒーラーの絶対数が足りていないのと、MP切れで治癒出来ない現状では、このステラの申し出はありがたかった。
「ステラさん、その医療アンドロイドを同行させて欲しいんですけど」
「それは構わないんですけど、アレは確かエレクトラとマイアが改造して......いえ喜んで。MPを必要としない完全自立型アンドロイドAIで、名前は<アイリーン>です。見た目は女性そのもので、人間と見分けがつかない程ですよ」
「ヘイ、アイリーン、カモォン」
ステラがそう言うと、ものの数分で<アイリーン>がすっ飛んで来た。
シュタァァン
「あは、早いでしょ。紹介するわね。反重力飛行装置付きの医療アンドロイドよ」
「Hi Ho~、あたしが噂の<アイリーン>ちゃん ど え~す」
随分と軽い奴だが、見かけは美女だ。
++++++ ステラと完全自立型アンドロイドAI<アイリーン>
ほう ほう メイド服でんな
ビビン
つんつくピ
股間が ビ
「みんな慌てないで。敵はアンドロイド、人間じゃないから」
ふぅビビったわさ
アンドロイドなんて問題外
『ふふ、恩を売ってユウガくんを独り占め。わたし25歳で年上だけど、年上には年上の良さってものがあるのよ』
(※女とはいついかなる時も、計算と策略が働いている。読者諸君、くれぐれも特に女の涙だけは怪しいと思うべし)
ジィッ
その時、アイリーンの瞳が俺をじっと捉えて離さなかった。
『ま、まさか......? アイリーンはアンドロイドだ。ビビる必要は無いんだ』
俺はそう思い込む事にした。
◇◆◇◆◇◆
詳しい話はまた宿に帰ってからでも可能と判断し、俺、レイ、ランとメーダ、ジョセにプレアデスの五姉妹、ハンスとゲッツに、医療アンドロイドAI <アイリーン>を連れ、俺たちは冒険者ギルドに向かった。
偶然の結果ではあるが、ここで俺を中心とした"Cuty Bunnies" チーム5人、ステラを中心としたプレイアデス六姉妹チーム+<アイリーン>、ハンスとゲッツの南極基地チームの原型が形作られていた。
ジョセは既に"Cuty Bunnies" 軍師として登録済なので、南極チーム入りにはジョセ本人も断固拒否している。
大きな理由はただ一つ。
「だぁってぇ 美の究極バニースーツ開発者のあたしが、なんでブ男南極チームに入らなきゃいけないのさ」
俺が想像しなくても、ジョセはそう言うだろう。
この3チームが、総統ヘドラー戦で共に戦う事になるのだが、今はまだほんの構想でしかない。
______<南極秘密基地>
同日の同時刻、南極秘密基地から、見るからに旧式の飛行物体が発進していた。
<ブリル・オーディーン>と形は似てはいるが、随分とレトロであり、例えるなら<お釜>のようだった。
やがてその<お釜>が、異世界へのワームホールを潜り、地球から姿を消したのだ。
「朝から騒がしいぞ! いったい何事だ? 」
何かの予感が走ったのだろうか、高血圧でも朝の弱いこの男は、額に青筋を立てて激怒した。
「申し訳ありません総統ヘドラー様、格納庫から何者かが初期試作型の<虚ろ船型反重力機>を盗んで、異世界にジャンプしたのです! 」
過去、アルデバランからチャネリングで得た、初期の反重力エンジン搭載の試作戦闘攻撃機だ。しかし試作であっても、異世界へジャンプする事は可能であった。
「誰がそんなふざけたマネを。直ちに調べ上げろ! ヴィクトールは何をしている! すぐにヴィクトールを呼びだすのだ! ヴァルター兄弟もだ! 」
はっ
ザッ
ヘーデル・ヘドラー万歳!




