EP63 神秘プレイアデス七姉妹 <異股間伝股間(いしんで んしん)> *
_____転移
第26日目 推定 8月26日 午後3時30分頃
「待ってよぉユウガぁぁ~」
「リーダー、松茸はどこに隠したのよさ! まさか独り占めして、七輪で炭焼きした上、高級料亭ダマサ醤油まで垂らして! そんな贅沢をリーダーが一人で楽しむなんて、あんまりだわさ」
「旨い物は早いもの勝ちなのさ! 」
鬼ぃぃ!
「匂う! 匂うの。この場には松茸とは違う、確かに女が居た!」
そんなもの居ネェし!
「それにあたしには、この辺りで骨付きチキンまで匂うのよさ」
ラン、切り替えが早ぇぇ。ハンスが咥えてるだろうが!
「最近は松茸の匂いも合成で作れるんだし、女? その女はきっと、松茸風味のお吸い物と骨付きチキンを持っていたと、あたしは睨んでいるのよさ」
どこを睨んでるんだ? 異世界に永谷円はねぇんだよ!
『むぅ、ランという女子の臭覚、この私と同じくなかなか鋭いではないか! 』
松茸だの女の匂いだの、俺には何が何だかさっぱり状況を理解出来ないけど、突然コンニャクに舐められたような、暖かくてニュルンとした感覚だけは、間違いなく俺の唇が覚えていた。
くっくっ
事情を知っているハンスだけは、ゴーグルを下げているので見えないが、目はきっと笑っているに違いない。
『これは、ジョセがイチコロなのも頷ける。バニー殿は凄い漢ですな! しかし......その能力、総統ヘドラーが危惧するアレに関係しているのかも知れん』
「レイ、ラン、メーダ落ち着けって。俺がハンスに呼ばれてここへ来たのは、お前達も知ってるじゃんか。詳しい事はハンスに聞けよ」
それは確かに......。
「でもユウガ、わたしのビビン バァが」
『レイ、お前確か IQ 200だったよな? 』
『IQ と愛のビビン バァは別モノなの』
レイのビビン バァと聞いてメイダも黙ってはいられない。
「そうよ あたしのヨロチクビィだって、ほら見てよ ツンつくピーンと」
知らんがな!
「レイってば、あんたビビンバをどこに隠してるのよさ? 」
『あ~、ビビンバ食いてぇ』
三文芝居をよそにハンスは締め上げられ、白状しないと"寄ってっ亭"を追い出すという脅しによってゲロを始めた。ハンスを甚振るのはメーダが上手かった。
ひぃ~
「わたしは、昔の恩返しをしただけっス。<ジョセフィーヌの姉>さんに、ここに誘き寄せるように頼まれただけなんですって」
ハンスは言葉を間違えていた。
「ジョセから? それにしても俺は松茸に釣られたゴキブリ扱いだな」
「いいえ! この破廉恥で無節操ユウガは、ゴキブリ以下です」
なんともメーダの物言いは辛辣。強い愛は時として、鬼と区別がつかなくなる場合がある。
世に新婚時代はアツアツでも、その妻は1年も経てば只の同居人か、鬼嫁になってはいないか?。 多くのリーマン諸君、給料日だけ微笑む妻に恐怖を感じた事は無いだろうか。! 覚えがあるようですね。愛の形は時間と共に変わるものなのだ。だけど人生はそれでいいし、夫が嫁の尻に敷かれていると思わせる。
それがいい。
レイ、ラン、メーダ、そしてジョセとプレアには、愛を超えた何かがある。無論、残りの<プレイアデス>五姉妹も同様だが、現時点でそれを語る事は叶わない。(あんた誰? )
「バニー殿、ジョセの姉<プレア>からですぞ」
ジョセフィーヌの姉? 初めて聞く話に、俺は頭の整理が追いつかなかったが、ジョセがプレアデス星団の<アルキュオネー>から来ている事を考えると、やはり一人で来ていた訳ではなかったのだ。
「以前俺は、ジョセが一人で地球に来たのかどうか、それを考えた事があったけど、そうかジョセは姉と来ていたのか」
「そうっス、だからこの怖い鬼エロフを止めて。私死ぬぅ」
レンジャーのメーダは森の狩人。魔弓の鏃で、器用にハンスを甚振るのはお手の物。
全てを話さないと宿を追い出される事になるので、傷だらけのハンスはジョセに関した知りうる限りの過去を話す事になった。
「痛てぇ、二人は1945年に突発したトラブルで、離れ離れになっているんです。そしてそして、ジョセは<プレイアデス>七姉妹の末っ子なんですよ」
「ジョセは七姉妹......ハンス、単にそれでお仕舞いって話じゃないだろうな、姉妹だけに」
ぷっ
スキル<試行錯誤>を発動した訳では無かったが、頭がこれらを整理しようと断片化したピースが回り出した。
『スキルが勝手に発動した? まぁいいや』
①ジョセは南極の秘密基地に、総統ヘドラー達と共に居る。
②総統ヘドラー達は、ジョセを含めた七人の<プレイアデス>姉妹に命を助けられた。
③総統ヘドラーは、ジョセの超科学力を利用している。
④プレアは妹ジョセを探し続けていた。だけど他の五人の行方は未だ分らない。
⑥ハンスが俺を呼び出したのは、松茸ではなくプレアに会わせる為。
すると、あのコンニャクの感触はチューであって、その目的は<プレアデスの加護>のロックを解除する事だった?
ならそれを確かめるしか無い。
「へロー 閻魔帳!」
ヴゥゥ~ン
改めて閻魔帳で、俺のステータスを確認すると、<プレアデスの加護>はLV1からLV2 (MAX LV7) と表示されていた。
「ジョセとのチューで、<プレアデスの加護>のロックが解除されたのだから LV1 だったのか。MAX LV7とは、そう言う事だったんだ。これで謎が一つ解けたな」
「で、ではバニー殿、私はこれで戻りますから」
そう言ってコソコソ逃げ戻ろうとするハンスの顔には、出来たばかりの傷が何本も付いていた。
「女怖ぇぇ バニー殿はよくこんな怖い女三人と」
「ハンス ホーム!!!」
ひぃぃ
有りもしない松茸騒動が一時終わると、俺達はまた部屋に戻る事にした。
「だからさぁ、プレアは俺の<プレアデスの加護>のロック1/7を解除する為に、お前達に会わないように解除したかったんだからさ、鉢合わせしたらマズイだろ? そんなに怒るなよ」
「その話に嘘はなさそうね。でもその紅いキスマーク、早く拭いてよね」
えっ付いてるの?
「ユウガはどこまで無節操で、破廉恥な男なのよ」
「それでユウガ、<プレアデスの加護>がMAX LV7 になったらどうなるの?」
「きっと松茸が、いくらでも好きなだけ出せるんだわさ」
......ランにはかける言葉が無い。
ランは捨て置くとして、俺はプレアとチューをした時、プレアが見えていなかった。ただ周りの時間が酷く緩やかになった事は覚えていた。
『LV7...... 時間と関係があるのかも知れない。もしや試行錯誤も』
その頃
______「やっちゃった! ミッション・コンプリート」
タタ ヨレヨレ タタ ヨレヨレ
プレアは冒険者ギルドに向けて駆けているつもりだ。
その顔は恥らう乙女のように、頬を紅く染め微笑みながら。
うふうふ
「今日はもうお仕事なんて......とても出来ない。だって運命の男とチューしちゃったんだから、あはん、この余韻をずぅっと一人で感じていたいの」
究極の内股走りでは走りにくいと思う。
ここで一つ明らかになった事がある。
<プレアデスの加護>が一つ解除されるごとに、残りの姉達とどんなに距離が離れていようと、異世界であろうとその衝撃が股間に伝わる事だ。
これを称して、<異股間伝股間>と呼ぶ。
ビン ビン
ジョセとプレアによる2回の<異股間伝股間>が、姉達五人に居場所を特定する官能信号を発信していたのだ。
「皆、今のこれで二回目の反応よね」
長女に当たるステラが、他の四人の股間反応を確認する。
「ステラ姉さん、今のデータを即コンピューターにインプット、あの子達の股間位置を特定するわ」
「ペロン、すぐに取り掛かって」
はい!
「みんな、センサーをお股に装着して、DOSUKEBEコンピューター<オルガス>に接続するのよ! ミスしちゃ駄目だからね」
命令したペロンは次女、エレクトラは三女、マイアが四女、ターニャが五女である。
1954年、突然出来た3つの小ワーム・ホールは、ステラ達5人を銀河宇宙のある惑星に吹き飛ばしていた。幸い、その惑星住民のお陰で、プレアデス星団の故郷と連絡がとれ、妹達の捜索用宇宙船を確保出来て今に至っている。
姉達五人は、あれから捜索用宇宙船でジョセとプレアを探し続けていたのだった。
ステラ達が惑星まで飛ばされたのだから、ジョセとプレアもまた、見知らぬどこかに飛ばされているものと考えたのが盲点となってしまった。
実際には、ジョセは総統達の退避予定地である南極大陸、プレアだけは異世界と言う、想像もしない事態になっていた事で、妹二人の捜索は難航していた。あれから七十年以上も。
そして今、探し続けたジョセとプレアが時間差で発した股間シグナルを受信したのだ。
「ステラ、ジョセフィーヌとプレアの股間位置が特定出来たわ」
「早く逝って」
「太陽系第3惑星 テラ! そして次元α世界BSジャーブラ島! 」




