EP58 ハンスの覚悟 追撃の5階層 ヴァルター兄弟 *
ズゴゴゴ
ハンスが喜んだその時、大きく開いた天井の穴から、<ピンク・ゴーレム>と<キング・ゼリー>が突如現れ、奴等は落下しながら空中から溶解液とピンク・ビームを乱射して来た。
ビーム ビーム ピュッ ビュッ
ジュゥゥゥ
ジジジジィィ
「キャッ! ユウガぁ~バニースーツがまた溶かされるぅぅ」
「何でさぁ! 何でいつもこうなるのよさぁ! あぁ、また動画撮ってるぅぅ」
「むぅなんて面妖な変態攻撃を! 」
「バ、バニー殿! 」
俺達"Cuty Bunnies" はあっと言う間に<スッポのバニー> 日本昔話<イナバの白兎>と化していった。
「ちきしょー、毎度毎度、何考えてんだよ」
その時、あのヴァルター兄弟の高笑いが聞えて来た。
ザザ キィ~ン
「あーあーテステス。繋がってるか弟よ」
くははは
「ハンス貴様、糞バニーに有りもし無い尻尾なんぞ振りおってからに! それで何がナンバー3だ。お前の顔と頭と同じで悲惨・七三・スヌーピーだな」
フはははは
それを聞いてハンスは激怒した。
「黙れ! 男には何をおいても掛け替えの無い物がある! ヴァルター兄弟、お前達にはそれがあるのか? 俺は今まさにバニー殿のお陰で、それが叶う寸前だったのだ! それをヴァルター! お前等許さんぞ! 」
ハンスの握り締めた拳が、ワナワナと震えている。
『いや俺達はスッポンポンにされただけで、まだピンピンしてるんだけど』
しかし激怒したハンスには、俺達の姿が見えていなかった。
スペシャル・バニースーツが放つフォース・フィールドの光が消滅した事で、恐らくビームと溶解液が、俺達を丸ごと溶かしてしまったとハンスは早合点しているのだろう。
「ぐくぅ バニー殿ぉぉ! 」
俺達の方は、スッポにされるのに慣れたのか、お互いのスッポを見ても只ニッコリと微笑むだけだ。まるで温泉の大浴場に漬かっているような感覚だ。(あたかも漬物のように)
『しかしメーダはデカイ! これは眼福だ』
『ユウガ! つんつくつーん! でもここは黙って様子をみましょ』
レイはいつも冷静である。......でもないか。
するとレイの読みどおり激怒したハンスが反撃、最大パワーと思われる熱線を、<ピンク・ゴーレム>と<キング・ゼリー>に乱射した。
「バニー殿のリベンジ! 」
『あっぱれハンス殿! 主君の仇を討つとは正しく武士の誉れ! 』
「ナビコマちゃん、俺達は生きてるって」
ビスビスぅぅ
熱線は<キング・ゼリー>の青い核を貫通して、ゼリーは消滅していく。
ドロォォォ
しかし合金製の<ピンク・ゴーレム>は、熱を拡散して無効化、依然俺達の前で動画を撮影中だ。
「出番だ。俺達もヤルぞ」
いくわよ~
待っていたわ
ユウガ、いくわね
ボウぅぅ
レイはファイアーボールを数発空中に発射し、照明弾の代りにしてくれた。
「おおっバニー殿、無事でしたか」
「やるじゃんレイ! なら先制攻撃は、このあたしが! ナビコマちゃん! 」
承知!
俺の命令でランがジャンプ、一体のピンク・ゴーレムの弱点である頭部の<赤い筒>目掛けて、ナビコマちゃんの一撃を放った。
「よく味わうのよさぁぁ! 沈めピンク! 」
『ナビコマ流唐竹割ぃ!』
ガズゥゥン
パラパラ
ピンク・ゴーレムは全部で4体、その内の1体にメーダは魔弓を発射、それを見て今度はレイがジャンプする。
はぁぁっ とぅ!
「出た! レイの必殺<スッポンポンで御開帳の<サンダー・ライデンドロップ>LV4だぁぁ! 」
グワシャ ぷにん
「おおっバニー殿の奥様が凄い攻撃を! あれなら私もイッパツ顔面に食らってみたいものです」
アホ
「あのような面妖な攻撃、あたしは出来ないし」
「メーダ、あたしならリーダーの為にやれるわさ。だって愛してるもん」
ランどさくさの愛の告白。
「御開帳攻撃と愛? 私には理解出来ないけど、ボインならランとレイには負けてないから」
「お前等集中しろ! 」
『戦いの最中だと言うのに、ランもメーダも余裕かましてどうする! 』
レイの御開帳は超眼福なんだが、俺も負けてはいられない。
右手のシャークテックナイフを強く握り、俺もジャンプ。そして弱点の<赤い筒>を一閃、これを破壊した。シャークテックナイフも今やLV4になっている為、合金でも切れてしまう威力になっているのだ。
ヴゥゥン ドシャァ
弱点を破壊されたピンク・ゴーレムは一斉に機能を停止、その場で只の金属オブジェに変貌した。
「おのれまたしても! 糞バニー!」
XXX様は当然この戦いをモニターをしているので、ヴァルター兄弟の面目は丸つぶれだ。
「イッヒヒ兄者! 」
「弟マンナン、撤退するぞ。これは戦略的撤退だ! いいな」
ワォォ~ン
勝鬨を上げたのはなんとハンスだ。
「いやいや、中々見応えのある攻撃でしたな、特にバニー殿の奥様は」
......。(しっかり見られているレイ)
「ところでハンス、お前仲間を裏切ったんだよな。これからどうすんだよ」
そんな事は大した問題無いと言う様な顔つきで、ハンスは答えた。
「私はバニー殿が日本に帰れるように協力する覚悟なのです」
「ふんふん、それでどうするんだ? 」
「いや、私もバニー殿と奥様のお世話に......いやいや誤解されては困る。日本に帰ったその時まででして......多分」
その時、サブ・コントロールルームから監視していたジョセから念話が入った。XXXもヴィクトールも、今はメイン・コントロールルームでモニターしているからだ。
『これならハンスは、あたしたちの味方。ユウガクン、これからはハンスと一緒に行動すればいいじゃない』
『と言う事は、"寄ってっ亭"の部屋が一人(一匹)増えるって事になる?』
「駄目よユウガ、それだけはずぅえったいに! 」
これにはレイ、ラン、メーダが声を合わせて大反対の非難の大合唱だ。
「そう言う事だからハンス。キミには悪いけど、他で宿を探してくんない? 」
シュゥゥン ヘタリ
ハンスの両耳がシュンとうな垂れた。
「致し方ないですな。<サンダー・ライデン・なんとやらの奥様>もいらっしゃる事ですし、私は他の宿で待機する事にしましょう。ですがバニー殿、ボルトの事は、ずぅえったいにお約束ですぞ。2本、いや3本で手を打ちましょうぞ」
お、おう。
俺はそう返事するしか無かった。
それでも俺達はハンスに勝てたのだ。豚でもない敵に。それが今や味方(ボルトに釣られた)となり、日本に帰れる協力者となってくれた事を神に感謝したのだった。
「これが<プレアデスの加護>のお陰だったのかもな」
『ユウガ、加護持ちジョセの秘密は皆に話してくれなきゃ』
「なんなのリーダー、ジョセってば美味しいお店とか秘密にしてたの? 」
「ランはいつでもポン娘」
スペシャル・バニースーツは既に溶けて無くなり、俺達4人は全員スッポだが、ハンスは最初からジーンズとTシャツ一枚だ。
「「「チェンジ・バニー ダッフンダ」」」
俺達は丸裸だけどバニースーツの変身を解いて、いつものパーカーに戻るには30分必要になる。それをハンスは不思議そうな顔をして眺めていた。
「バニー殿の防護服は、なかなかユニークでしたな。溶解粘液とビームで溶ける弱点はあるものの、やはりジョセのセンスは私とは一味違う。なにしろジョセは......」
ハンスはその言葉の先を沈黙した。まだ全てを話すのは後でも良いと判断したのだろう。しかし、俺達の秘密は当然知っている。
「ハンスから早く転移・転性のカラクリを聞き出して、レイとランを連れて日本に帰りたい」
「ユウガ、それにはまだ正体不明のラスボスを撃破しなくてはね」
そうだな
残された時間は少ない。果たして俺達は日本に帰れるのだろうか......。
それを考えると、不安がどっと押し寄せて来るのだ。




