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EP50 <プレアデスの加護> を持つ女 と股間直撃<ビビン バァ>

 ______転移


 第23日目 推定 8月23日 午後3時


ナビコマちゃんのお節介な一言のせいで、レイとラン、メーダの拷問のような <居もしない謎の女> の追求が続いた。それに耐えられなくなった俺は、逃げ出すように冒険者ギルドに出かける口実を探していた。


「あっ、俺ちょびっと大事な用があるんで出かけて来るから。では後はヨロピクぅ」

無意識にアイツの口癖、"ヨロピクぅ"が口から出てしまったのがマズかった。

「この状況で、なんであたし達を置いて一人で行こうとするのよさ」

 ランは気づいていない。

「正妻のレイはいつもユウガと一身同体なの。あなた!  ヨロピクぅて?!」

「「何んでレイが正妻で、あなたなのよ!!」」

 メーダはノーマルな反応だ。

 しかし、超良妻賢母型のレイには、何かビビンと来る予感が股間を直撃していた。 


 ビビン バァ

『何? この嫌な悪寒は?』

レイの<魔女の加護>に付随した(むしよけ)センサー<第六感>である。それは霊感とも言える能力で単なる山勘では無い。


『はぁ~ だからなんだよなぁ。しかし<プレアデスの加護>を持った女なんて、俺だって寝耳にウォーターで覚えが無いんだけどさぁ』

『わたしの思い過ごしかな?』


 その場が騒がしく依然中々収拾がつかないので、俺達 "Cuty Bunnies"は、4人雁首を揃えて冒険者ギルドにやって来た。それは言うまでも無くクラスアップの確認の為だが、俺が一人で確認すればそれで済む話だった。


 キキィィ パタン パタン

相変わらずギルドの手入れの悪いウェスタン扉を開けるなり、ガルガノスが目をひん剥いて俺達をまた睨みつけて来た。

 ギロリ


『ちきしょー、なんでいつも睨むんだよ、あのおっさんは』

「あの目! きっとリーダーの<新しい女>の事を知っているのよさ」

「いつまで引っ張るつもりだ。止めてくれよラン」


「来たか。おメェ達、昨日はボロボロだったな。それにしても存在しない筈の"誘惑のケイヴ"4階層を攻略たぁ、流石の俺も驚いたぜ」

 ザワザワ

「おい4階層だとよ」

「んな馬鹿な!」

 酒場の飲んだ暮れ達も、皆一様に目を剥いて驚いていた。


「おメェ等、どうせランクアップの確認に来たんだろうが。もう何があっても不思議じゃねぇしな。取り合えずとっとと手をクリスタル・プレートに置きやがれってんだ」


 ガルガノスは、一応アイリスさんからザックリとした攻略成功の話は聞いていたが、存在しない筈の4階層攻略の証拠として、俺達が持ち帰った<マジンガーX>のドリル・圧力鍋の片手を見ては信じるしかなかった。

それは金属でありながらとても軽く、ハンマーで叩いてもハンマーの方が割れる程の強度があった。


『あれは4階層に出た金属モンスターの腕なのか。しかしどうやれば、こんなモンスターを倒せる? 俺の徒手空拳でもこれを破壊するのは無理だぜ。それをあんな美少女共がか??』


ガルガノスがそんな事を考えているとは知らず、俺が代表してクリスタル・プレートに手を置いた。

「リーダー、あたし緊張してるのよさ」

 わくわく


 パァァ~ン プスン パスン

『ガルガノスさん、故障か?  プレートがエンストしてるよ』

「エンスト?? うんにゃ、ちょっと待て」


 カ~ン ピロピロピロォォ~

すると"キンちゃんの仮装大賞"を彷彿させる、残念そうな鐘の音色付きでレッドランプが点等した。


「判定は<現状維持>!」

「げぇぇ俳句の夏井先生かよ」

  嘘!

「来なきゃよかったのよさ」

「信じられない」


 昇格間違い無しと思っていただけに、俺達の動揺は隠せなかった。

俺達4人は昨日、この世の者では無くなっていたかも知れない。何故ならあの四天王ナンバー4との生死を分けた死闘を潜り抜けて来たのだ。期待しない方が無理と言うものだ。


 俺達の落胆した顔を見て、ニマァと笑顔なのはガルガノスや冒険者崩れ達だ。

ガッハハハ

「ふん、そうはイカのタマキンよ。俺もまさかとは思っていたが、このクリスタル・プレートの判定<現状維持>は間違っちゃいねぇのさ。精進して股出直して来るんだな」

※ちなみにクリスタル・プレートの音声はハマちゃんだ。


 昼間も飲んだくれている冒険者崩れ達も、納得の表情で頷くと、また一番安いエールを腹に流し込むのだった。

 ゲフぅ

「はん、今日の酒は旨いぜ。おいプレアちゃん、こっちにもう一杯だ」

「はぁ~まだ飲むんですかぁ?」

ギルド酒場のアイドル、プレアは溜息をつきながら俺の顔をチラ見して微笑んだ。


 ビビン バァ

「どうしたのよさレイ?」

 股間が!

「股間がどうしたって?」(メーダ)


「冒険者崩れの連中の言う事はもっともだ。そう簡単にランクアップされたんじゃ、世の中不公平ってもんだからな、ふんまぁ気を落とすなって事よ」


ランクアップで一気に気分転換を企んだのだが、そうはイカのタマキン問屋が卸さなかったのだ。

「レイ、ラン、メーダ、悪いけどさ、先に宿に帰っててくんない? 俺はブラブラしてから帰るからさ」


 ランクアップが叶わず、意気消沈していると思ったレイ達は、今度は素直に従ってくれた。


「うん、わかったわユウガ。わたし先に帰ってるから」

「今日の晩御飯は何かな?」

「あんた、本当にポン()よね」

「じゃぁ、先に宿に帰るわね」


3人の背中を見送ると、俺は近くの人気の無い公園のような場所のベンチに腰を下ろすと、はぁと溜息をついた。

 ぷ~ん

すると俺の背後から柔らかい手が俺の肩に触れた。同時に長い髪が俺の顔にかかると、甘い香りまでして来た。

「誰だ?」


 振り返ると、にっこりと笑みを浮かべた美小女が立っていた。

「初めましてだよね? チェリー少年。後はヨロピクぅだよ」

「おま! その言い方は!」


 するとその美小女が突然、とんでも無い行動に出た。ユウガは余りにも突然の事で身動きが出来ず、完全冷凍食品になってしまった。

 カチーン コチーン


 チュゥ~ チュゥスポン

「も、もうあたしが誰か分かるよね、ユウガクン」

 カァァ


「お、お前は"狸ババァ"なのか?」

「その言い方、随分と失礼コキの介じゃないの? 折角いい情報をわざわざ届けに来たのにさ」

『チュゥスポン......中日スポーツかよ。東スXよりはマトモだ』


問題はそこでは無い。

ユウガの頭は、濃厚なチューに混乱していた。まさかあのジョセフィーヌが目の前に現れるとは晴天の霹靂であったからだ。


「ジョセフィーヌ、おま......スゲェ美人なんだな。それに腰が括れててスタイルグンバツじゃねぇかよ。しかも歳は俺達と同じ位に見えるぞ」


こういう時は、まず来た理由を聞くのが先なのたが、ユウガは思った事をストレートに吐露してしまった。


「あら嬉しい! 嫌だぁぁユウガクンってば正直なんだからぁ」

言われたジョセフィーヌはとても嬉しかったのか、満足そうに腰をクネクネさせるのだった。


 ビビン バァ(レイ)


「何してんだよジョセフィーヌ。でもなんで行き成りチュースポなんだ?」


ユウガの口についた赤いキスマークにもじもじしながらも、ジョセフィーヌはユウガの前に現れた訳を話し出した。


「今回ランクアップ出来なかったのは、あたしも超残念なの。あの四天王ナンバー4との死闘は、あたしも見ていてハラハラ、バクバクしてたのよ」

「ああ、兄弟喧嘩が無かったら、俺達は間違いなく死んでいたよ」

『あれ? ジョセフィーヌの言葉使いが少し変わった?』


 ......。

「そこ、そこなの。あたしがここに来た訳は」

ユウガには、ジョセフィーヌと<プレアデスの加護>の関係が分らなかったが、ジョセフィーヌの瞳がひどく潤んでいるのに気づいた。

 トロ~ン 

「よく聞いてねユウガクン。あたし、あなたの<プレアデスの加護>のロックを解除に来たのよ!」

『もう済んだけど』

 えぇっ!


 ビビン バァ!




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