EP47 四天王ナンバー4の突破口 その2 *
ほっ
『チェリー少年、やっとスキル<試行錯誤>本来の使い方を掴んだみたいだね。スキル<試行錯誤>とは、考えれば考える程、その真価を発揮するのよさ。思考がピークに達した時、1秒が10分にも伸ばせる高速思考が可能になるのさ。だからもう、マジンガーXの攻略方法が見つかったかな?』
バチコーン
「嵌った! バラバラだったジグソーのピースが! 全て!」
「ナビコマちゃん、乗っているのは人間だ。ヴァルター兄の生体感知は出来るか?」
「無論で御座る!」
マジンガーXの<ガトリング高速連射銃>は、冷却と次弾装填に暫く時間が必要になる。60秒以内に、次の高速死弾が雨のように降り注いで来るだろう。
シュウ シュウ~
「ユウ殿、魔人の尻の穴から、武器の冷却風と生体の空気循環の風が出ておりますぞ」
「そうか弱点はそこか!」
俺はスキル<試行錯誤>で嵌った、完成したジグソーのパズルをすぐ様実行に移した。
「レイ、<無いものねだり>でメーダのダイアモンドの鏃をコピーして、俺の<ハイヒール>に固定しろ! 」
「でもMPが足りないのよ」
「俺のスキル<Give>を発動して、MP全部をお前に渡す。すぐやるんだ」
むぅん
俺のMPは60、それで足りなければこの作戦は成功しない。だがここで奇跡が起きた。
レイのスキル<無いものねだり>は、レイが頭に浮かべた物を作り出す為に多くのMPを消費するが、ダイアモンドの鏃は、既にメーダの矢に固定されているのだ。つまりダイアモンドはそこにあるから、レイはそれを<ハイヒール>に移す......つまり<ルック・アンド・コピーペースト>をすれば、消費するMPは少なくて済むのだ。
「L&Pで! ユウガ、出来そう! いくわよ!」
レイがスキル<無いものねだり>を発動し、俺の強化スペシャル・バニースーツのヒールに<ルック・アンドコピー>と<ペースト>の念を飛ばした。
すると俺の両足のヒールが、ダイアモンドにメタモルフォーゼした。
「ユウガ、出来た!」
俺は瞬発LV3を発動して、マジンガーXの背後に回ろうとしたのだが、Xがそれを許さない。
「ふん美少女兎がちょこまかと!」
「メーダ、魔弓を奴の頭上に連射、レイもファイアーボールで同じ場所を撃ち続けろ!」
ラビット・イヤーで意思伝達をしたが、流石にレイとメーダは俺の狙いを即座に理解してくれた。
「OK 魔弓連射モード!」
「強化ファイアーボール連射! わたしのMPが尽きるまで!」
『勝機! 主ラン殿、ここは加勢するで御座るよ』
「わかった、みんなの体をヒールするのよさ!」
「イタイーノ・トンデケーノ最大ヒール!」
ビシュ ピシュ ビシュ
轟ァァァ
「ふん、糞バニーがどこを狙って?」
ヴァルター兄があざ笑おうとした瞬間、マジンガーXの頭上の岩が、音を立てて崩れ落ちて来た。
ミシミシ ドカドカ
突然の岩石落下に、マジンガーXは地に手を着き、ケツの穴(冷却排気孔)が丸見えとなった。
俺の高速思考が導き出し完成したパズルのピースは、この状態を作り出す一連のコンボだった。
「今だ!」
俺は四つん這いになったマジンガーXの尻の穴目掛けてジャンプ! 更に体を回転させ、ダイアモンドの<激痛のハイヒール>をぶち込んでやった。
ズガァァァ アナホリィィィ
<激痛のハイヒール>は、尻の穴(冷却排気孔)を破壊し、股関節も脱臼させて、もはやマジンガーXは立つ事すら出来ない。
ギギギ ガガガ
「立つんだ、立つんだX ! う、動けん、ならばアレを使って.....」
レイもランもメーダも、MPを使い果たし戦闘不能状態だが、HPはまだ大丈夫だ。しかし体力だけでは、超合金製のマジンガーXには太刀打ち出来ない。後は俺がトドメを刺すしか無いのだ。その時!
ドピュ ドピュ
ヌチャ ヌチャ ジュワ~ァァ
「なにぃ!?」
突然あの気味の悪い粘液が、4人の頭上にシャワーのように降り注いで来た。
「兄者、だから言っただろう、油断するなって」
ジュゥゥゥ ドロドロ
俺もレイもランもメーダも、誰もこの突然の粘液を予想出来ず、モロに粘液を浴びてしまった。
『またしても某の不覚!』
ユウガ みんなのスーツが溶けてる
嫌だぁ まただよ~
くっ、なんて破廉恥な!
「兄者、美少女兎のスッポンポンはいい眺めだろ? 俺も3階層で学んだんだよ。こうして<キング・ゼリー>の溶解粘液を、最初からシャワーのように吐き出せば、俺の完全勝利だったんだよ」
弟に馬鹿にされた兄は激怒した。それに総統XXX様が見ている前で、3階層の負け犬に助けられるなど、兄として我慢が出来ない屈辱だった。
「勝ち誇るな! 弟よ」
ズビィィ
ヴァルター兄は、ついに<光子力かなビーム>を発射したのだ。それは俺達にでは無く、<キング・ゼリー>の核目掛けて。
「何をする兄者! お楽しみはこれからだと言うのに!」
<光子力かなビーム>が、<キング・ゼリー>の青い核を貫いた。
ドロロ ジュルゥァァ
<光子力かなビーム>の威力は、<キング・ゼリー>によって減衰され、ダンジョンの破壊は辛うじて免れた。でなければ、俺達"Cuty Bunnies"は4階層で生き埋めになっていた事だろう。
「弟よ、話は後だ。糞! 覚えていろ! スクランブル・ダッシュ」
ギュゥン ガリガリガリィィ
もはや動く事も叶わないマジンガーXは、スクランブル・ダッシュを起動すると、一目散に来た道を飛んで消えていった。
「兄弟喧嘩で同士討ちか」
「ユウガ、四天王ナンバー4を倒したのよ」
「リーダー、アレ、ドリル・圧力鍋なんとかの両腕を忘れてるのよさ」
「あたし 少しは役に立ったのかな?」
やっと四天王の一角、ヴァルター兄のマジンガーXを撃破した事に安堵すると、お互いがマッパッパーのスッポンポンである事にやっと気づいた。
『暗がりで見るのも......実に官能的で眼福だ』
『役得で御座るか?』
ユウガ つーん!
取り合えず今は。
「「「「チェンジ・バニー ダッフンダ」」」」
を唱えて、またパーカーに戻るまで待つ事にした。俺達は全員スッポなのだが、バニースーツ装備のスキルを解除しておかなければ、パーカーに戻れないからだ。
「リーダー、シャワー。それとお腹空いた」
「俺も......コンビニのたこ焼き味おにぎりが食いてぇ」
「わたしはバニラ・アイス!」
「あたしは、ガルガノスの味噌活かな」
ランのヒールで腹は膨れない。お互いが顔を見合わせると、少し気まずい空気が流れた。(粘液でまだヌチャヌチャの股間とヨロチクビは、皆、両手で隠しているが、俺は堂々と胡坐をかいて無防備だ)
「なぁレイ、お前が見たビジョン通りだったな」
うん
「なんでレイには見えたのよさ?」
「それは......レイが賢いからだろう」
「それを言われたんじゃ、ねぇメェダァ」
「ポン娘のアンタにだけは、言われたくないのよ!」
「おいおい喧嘩は後にして、勝利祝いと反省会は"寄ってっ亭"に帰ってからにしようぜ」
「「「賛成!!!」」」
永い様で短い戦闘だった。精神的には何時間も闘ったような気分だ。
『勝てたのは良かったけど、兄弟で喧嘩して自滅とは.....』
「ユウガとわたしは大丈夫。喧嘩しても、それは犬も食わないって言われるから」
「レイ、犬が食わない程のご飯って何さ?」
「ユウガ あたしも そんな関係に なりたいの」
ポッ
この会話は、4人全員がまだマッパッパーのスッポンポン状態なのである。
『今日も超眼福だったぜ』
『正妻はレイなんです! わたしだけ見てよ ユウガ つーん』




