EP41 迷いと恐怖 平凡か無難か
「<四天王>と言うからには、ボス配下のモンスターが4体、それに眷属モンスターなんかも出て来る可能性がある。どうすればいいんだ? 俺は!」
何度考えてみても、導き出せる答えは2つしかない。
その一つがメーダの望む、<四天王戦を諦める>という手だ。
『しんでしまったら意味は無いけど、それは後々俺の大き悔恨となるのではないのか?』
平凡な生活とて、それすら出来ない人々は存在するし、ある意味平凡とは、人が求める最高の生活なのかも知れない。
『しかし平凡と無難は......違うんじゃないのか? 無難とは避けて逃げる事では?』
揺れ動く俺の心は、レイには筒抜けだ。
「あのねユウガ、わたしは平凡がいい」
俺の心を読んだレイは、それでも平凡がいいと言ってくれた。<平凡>は、俺の中では攻略して日本に帰る事であり、<無難>は、この異世界に留まる事だ。
頑なな精神を持つ者も居る。例えば武士ナビコマちゃんだ。
______『ご無礼 仕つる』
『武士は負けると分かっていても、退けない時があるもので御座るよ。ユウ殿にとって4階層攻略とは、如何な意味を持つもので御座ろうか?』
突然、俺達の話を黙って聞いていた"ナビコマちゃん"が、俺の迷いの核心部分を突いて来た。
「意味か」
『武士には、"死中に活を得る"と言う言葉があるので御座るが、それは現状を如何に打開するかの、思慮分別の違いで御座ろう」
これは武士特有の精神論だが、学ぶべき所がある。
現代人のランには、そんな小難しい話は通用しないし、理解も出来ない。
「ナビコマちゃん、古い精神論でハイテク兵器には勝てないんだから! 今は情報戦の時代なのよさ」
ランは時々いい事も言ってくれる。
そう、4階層の階段は降りれても、四天王の一角の情報がまるで無いのだ。
ダンジョン攻略は戦争では無い。冒険者の生活の糧なのだし、俺達の場合は元の日本に帰りたいだけなのだ。
『ふむ、ユウガ殿は在るべき所へ錦を飾りたいと仰せか?』
「違うよ、皆で帰りたいだけさ」
『考えても考えても、転移させられた理由が分からない』
レイとラン、メーダは俺が決めた事に従ってくれるのは分かっているのだが。
俺が一人、二つに一つの結論をいつまでも出せずに、うんうん唸っていると突然、アイツの念話がまた入った。
ピンポンパンポン♪
______『あちゃぁ~、そんなに深刻になられてもさ、あたしが困るのよさ。う~んとね、内緒で一つだけヒントあげるから、チェリー少年、それから決めなさいよ。但し、リタイアすると二度と日本には帰れなくなるから、それだけは本当に覚悟してよね』
「ヒントをくれても勝てるかどうか、それは分からないけど、教えてくれるか? ジョセフィーヌ」
『......よく聞いてちょ。今までチェリー少年達が、一度しか使ってないスキル。それが役に立つかも知れないのさ。ヒントはここまでだよ。だから少年、"試行錯誤"して良く考える事さね。あいつ等に聞かれていると不味いから、じゃね』
プツン
??
俺はジョセフィーヌが言った<一度しか使っていないスキル>と、"試行錯誤"しての言葉に引っ掛った。それと
『あいつ等?』
「おかしい。俺のスキル<試行錯誤>とは、トライアンドエラーとか、何度も失敗を繰り返して、最後に正解にたどり着くという意味の筈」
「ユウ、もしかしてジョセフィーヌのヒントって、スキルと<試行錯誤>を組み合わせるってことじゃ?」
「それにこの前、時間が無いとも言っていたしな」
そこで俺は、今までの情報を整理する事にした。
①俺達は何かの目的で、異世界に転移させられた。
最初は俺だったが、次にレイとラン。しかし俺は何故か美少女に転性させられてしまった。
②エルフのメーダは突発事故だったかも知れないが、4人でチーム"Cuty Bunnies"を組み、冒険者家業を始めたと言うより、ジョセフィーヌに誘導されている。
③バニースーツを始め、武器と防具、レベルをジョセフィーヌが管理出来る立場にある。
④4階層からのモンスター<四天王>を倒し、ラスボスを倒せば日本に帰れるのか?
攻略しなければ、俺達はジャーブラ島から、元の日本には戻れないとジョセフィーヌは言った。
⑤そのジョセフィーヌは、いつも俺達を覗き盗聴をしているが、"言えるのはここまで"とか、何者かの支配下にあるような気がする。
「こんな所だけど、今まで一度しか使った事の無いスキルって、なんだったっけ?」
ここはランのスキル<探偵>の出番だ。
「へへんリーダー、あたしに任せるのよさ」
ランが瞑想を開始して、インスタントラーメンの出来を待つような3分が経過していく。
チーン
「出たわ」
「屁か?」
「リーダーって、本当に見損なうのよさ!」
「あたし達が一度しかと言うより、あたしなんだけどね......」
「犯人はやはりお前か! 屁は出さずに結論を早く出せ!」
......こいてないわさ
ぷぅ
ほら見ろ!
「あたしとメーダの<バスター・ボイス>=BVは二人合わせると3回使ってるのよね」
ふむふむ、それで?
「残るのは、あたしが1階層で偶然踏んづけたあの時の、それは......ドラムロールお願い!」
面倒臭せぇな。しゃあねぇ。
ダラダラダラ ジャ~ン
「これでいいのか?」
「OK、それはズバリ」
ゴクリ




