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EP38 最速のクラスアップ<Kacho=B> !


______転移

 第20日目 推定 8月20日 午前10時の"冒険者ギルド"

 パァン キュラン キュラン

 いつものように、ギルドのウェスタンドアを開けると、油が切れているのか軋んだ音を立てて扉がスイングする。

『管理してんのはガルガノスさんか? これサボってるじゃん』

 

 コッ コッ

扉を抜けて一歩前に進めば、必ず朝から飲んだ暮れている冒険者崩れの舐めるような視線が、たちまち俺達に集中する。

 ゲヘヘヘ


最もエロフのメーダは、見られる事は当たり前で慣れてはいるのだが、それでも。

『はぁ嫌らしい眼つきなのは、毎度の事よね』


それは仕方の無い話だ。俺達4人が、揃って超絶美少女とエロエルフなのだ。それに脅威の速さでクラスアップ "Ippasi"=C になったのは、ほんの2日前の出来事なのだから、注目されるのは仕方が無い。


『芸能人の有名税みたいな......か』

「ユウガ 気にしちゃ ダメ」         

「レイ、特にお前がなんだけど」

「わたしの瞳に映っていいのは ユウガだけ」

見かけは美少女でも、いっぱしの冒険者となれば、一目置かれる実力の世界なのだ。


「ちくしょー色っぺぇな」

「今日は何しに来た?」

「それにしてもあいつ等、いつ見ても美少女だな。俺達に酒の酌してくれねぇかな」

 そんな事をする訳がない。

下品な奴は居るが、最速で冒険者ランクCになり、立派に活動をしている俺達チームを馬鹿にする者はいない。


 ギロリ

いつものように、カウンター越しのガルガノスが、俺達4人を睨み付けて、仏頂面で聞いて来た。


「それで、"Ippasi"=Cのお客人達が揃って、今日は何の用だ?」

皮肉とは思えないが、なんとも嫌な言い方だ。


「はぁ、アイリスさんからは何も聞いてないんですか?」

俺は当然アイリスさんから、3階層攻略の話は耳にしていると思ってギルドに来たのに、どうやらガルガノスさんは、ここ連日ギルドに泊り込んでいたらしい。


「アイリスからか? うんにゃ何も聞いてねぇ。数日前から"誘惑のケイヴ"で不可解な異変があってな、俺も調査中なんだよ」


 なーる、それでガルガノスが作る味噌料理が食えなかった訳だ。それとガルガノスが言った"誘惑のケイヴ"の異変......それは俺達の<挑戦権>と、ひょっとして関係があるのかも知れない。


「ねぇガルちゃん 今日の晩御飯はガルちゃんが作ってよ。あたし"味噌活"が食べたいのよさ」

「おっ、お客人ラン、お前さんは分かってるじゃねぇか! おメェさんが一番可愛いぜ」


「いやん ガルちゃんてば、嘘がつけないのよさ」

『ラン、それを社会に出ると、社交辞令と言うんだ』

 ユウガ ダメそれを言っちゃ つーんよ


 ランは、ガルガノスの話を何も聞いていないし、理解もしていない。それにガルガノスをガルちゃんとは、流石にメーダも呆れている。

『はぁぁ~こりゃ本当にポン()だわ』

俺も味噌活は食べたいがそれはさて置き、今日ギルドに来た目的を忘れてはいけない。


「いやそれがガルガノスさん、ちょびっと言いにくいんだけどさぁ......さぁ......」

俺が煮え切らない態度に不満だったのか、メーダが先に口を出した。

「ガルガン! 私達のステータスを鑑定して頂戴! 今すぐによ!」

余りの勢いに、ガルガノスは妙だなと思いながらも平静を装った。


「なんだ? 何を言ってやがるメーダ。お前等2日前に "Ippasi"=Cにクラスアップしたばかりじゃねぇか。何寝惚けてやがる! そのエロい南極1号みたいな(つら)を洗って、出直して来るこった」

 ピキ

「抉り込むように撃つべしよ!!」

 ヒュウ パガン


 煮え切らないユウガと、ガルガンの聞く耳を持たない態度と言葉に、怒りが込み上げて振るったメーダの右ストレートが、ガルガンの顔面に炸裂した。


「誰の顔が南極1号だってぇ!?」

 げぇ

驚いたのは、チームリーダーの俺だ。

『こ、この異世界に、そんな物が!』

「ユウ 南極1号って?」

「あはは、ペンギンだよ、ペンギン」

 嘘! つーん


「行き成りなんだよメーダ、お前今日は、アンネだったのか?」

ユウガとは、女心に超鈍感どころか、デリカシーにも超欠けた男だ。

ユウガ! つーん

リーダー、見損なったわさ!


何故か俺は、自分では原因が分からないが、最近よくレイに嫌われている。ランはいいけど。

「はん! 甘いぜメーダ」

メーダ渾身の右ストレートなど、鍛え抜いたガルガノスにとっては、屁のようなパンチだ。


「おめぇの獲物は魔弓(ボウ)だろうが。エルフのパンチなんぞ、そこのユウにも効きゃしねぇぞ、なぁユウ」

あらそう? じゃ

ヒュウ パカぁ

 ぐはっ


 怒りがまだ収まらないのか、空気が風を切ったかと思った瞬間、俺はメーダの左フックに沈んで、俺が口をあんぐり開けた南極1号となった。 

「メイダ! わたしの南極1号になんて事を! メーダ 10倍つーん」

「いやはや、こりゃやり過ぎだわさ。もう使い物にならないわさ」


 パァァ~

ランが俺にヒール魔法を掛けてくれたので、この場は助かったのだが、今度は俺が怒るターンだ。

「メーダ、今日帰ったら二人だけで、みっちり特別な罰をくれてやる! 覚悟しとけよ!」


 二人だけで、どんな罰なんだろうと内心ドキドキ、ワクワクしているのか、それはメーダの股が震えているので、一目瞭然であった。

プルプル


股がプルプル震えるメーダを見て、全く方向違いな解釈をしたのはガルガノスだ。

殴ったのはいいが、ガルガノスに恐れを抱いて、震えていると勘違いさせたのだった。


「ほう、メーダは本気(マジ)のようだな。それならクリスタル・プレートに手を置いてみろ!」

 じゃぁっと

リーダーの俺が代表して、クリスタル・プレートに手を置くと。


パァァァァ パシュン ピシュン

クリスタル・プレートが過激に反応を続けると、やがて鮮やかなグリーンが点滅した。


 パァァン ポン

 <クラスアップ Kacho=B!>


「「「なにぃぃ!!!」」」

ギルドで安酒を飲んでいた冒険者崩れ達も、目をひん剥いて驚いている。

「なんだとぉ! お前等なんでそんなにクラスアップするんだ! いったい何を仕出かしたんだ!」


それを今説明するには、いろいろと時間が掛かる。

俺達は<確認>が終わると、足早にギルドを退散したのだ。


「おい待て、ちょっと待てよ」

ガルガノスの声を無視して、俺達は落ち着ける場所を探しながら歩いた。


「ユウ、予想通りクラスアップしてたわね」

「ああ、閻魔帳であれだけパワーアップしてるんだから、クラスアップしていない筈は無いと思ってね」


俺とレイの会話に、うな垂れたメーダも話掛けて来た。

あふん

「ユウガ、さっきはご免ね。それでさ、チーム"Cuty Bunnies" が <クラスアップ Kacho=B>になってたから、<挑戦権>を獲得したって事になるの?」

「そりゃそうでしょ。あたし達以外にKacho=Bの冒険者は居るもん」


 問題は、俺達が<クラスアップしてKacho=B>になら無ければ、<挑戦権>の事を知らなかった。もし島の人間が知っているのなら、アイリスさんやメーダから、俺達は聞かされる筈なのだ。

「ユウガ、これって 何者かが わたし達が<Kacho=B>になるまで待っていた としか」


 しかしそれは何の為に、そして何故俺達"Cuty Bunnies"でなければ成らないのか。謎はまだ解けてはいない。

「その何者かは、間違いなくジョセフィーヌだ」

「そうよ、それに違いないのよ! ならリーダー、ジョセを呼び出して、なんとかゲロさせるしかないのよさ」


 ジョセフィーヌの存在は、俺が話したから知っているが、転移した訳ではないメーダとは事情が違う。

「本当にあなた達を転移させたジョセフィーヌって、いったい何者なの??」



______某XXXの秘密基地


「XXX様、3階層はなんとかクリアし、HPとMPが大幅にアップしました。あの冒険者チームランクが、平均以上の<Kacho=B>になりましたよ」

「フフフ、ジョセフィーヌからも報告があったが、それならば、一応4階層以下の<挑戦権>を得たと言う事だ。これは面白くなって来たな、ヴァルター」


「それと3階層まで、懲りずに潜って来る10歳から100歳のブス、年増、三段腹の女共を、7日前からダンジョンに進入出来ないように処置しておきました」

「あのシールドだな。うむ、それは僥倖。"Cuty Bunnies"とダンジョン内で鉢合わせしては、相当不味いからな。手回しが良いぞヴァルター」


 はっ、いよいよで"総統"。


※補足

(Kakedasi=D Ippasi=C Kacho=B Bucho=A CEO=S)



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