EP28 3階層の課題が厄介なのだ
______転移
第17日目 推定 8月17日 午後5時頃
"誘惑のケイヴ"から地上に戻ると、俺達のパーカーや靴もすっかり復元されて、元の貧弱冒険者装備に戻っていた。
げんきんなもので、俺の鼻血も止まったのだが、貧血の為レイとランに支えられながら、"寄って亭"まで50分程の距離を歩いていた。
「レイとラン、今日は大変だったな。宿に帰ったら思いっきり旨い晩飯を食べようぜ」
旨い飯が食える......それは俺達が生還出来た事の証と御褒美に他ならない。
その日 午後6時過ぎ
______ガラガラ
「ふぅ戻り ました、アイリスさん」
「あ、綺麗なオネェタンたちぃぃ!」
見渡すとガルガノスの姿がない。まだギルドから帰っていないようだった。
あぁん!
帰還した俺達を見つけると、アイリスさんは歓喜の声を上げながら、小走りに駆け寄って来た。
「あ、あなたたち、本当によく無事で帰れたわ! 出たのはゴーレムだったんでしょ!」
「はぁ、そうでした」
アイリスさんの目には、俺たちが死と隣り合わせの激戦だった事を察していた。パーカーが汚れていないのは、レイのアラピカ魔法だと思っているらしい。
『俺たちが強化スペシャル・バニースーツを持っているなんて、流石に言えねぇ』
「それで、目の色は何色だったの?」
「目ですか? 最初は黄色だったのが、突然#ピコーンとピンクに」
ゴクリ やはり!
俺はまだ怪我をしている為、ゆっくりといつもの席に腰を下ろした。
「ユウちゃん、あなた酷い怪我をしているのね」
「ゴーレムの強烈なブロウを喰らいました」
あのブロウを......
「そ、そう、レベル5のブロウを受けて、この位の怪我で済むなんて、私も信じられないけど、兎に角無事で良かったわ」
その言葉を聞いて、俺達は戦慄した。
「俺達はレベル5のゴーレム3体を相手にしてたのか!」
暫く何事か考え込んでいたアイリスさんが、口を開いた。
「そうよユウちゃん。今まであの"ピンクゴーレム"の魔の手にかかって、何人の女冒険者が随喜の悲鳴を上げたことか!」
突然、アイリスさんがまた妙な事を言い出した。
「はて? このやり取りは以前にも??」
「魔の手→ゴーレムのパワーブロウ 随喜→恐怖と悲鳴→犠牲、断末魔だよな? ここは絶対に」
「アイリスさん、今のまたなんか間違ってません?」
トロ~ン
するとアイリスさんの瞳が、ひどく潤んだようになり、今度は左斜め上の空間を見つめ出したのだ。
「お~い、アイリスさぁ~ん」
「はっ、いい? あんた達、今から"ピンクゴーレム"の本当の恐ろしさを説明するから驚いちゃダメよ」
「股ですか?」
①いい? "ピンクゴーレム"は名前の通り、ピンク色の目を輝かせて冒険者を襲うの。
「確かにあいつ等、ピンクビームを乱射してた」
②狙うのは女性、しかも美少女だけ。
「なーる、それで俺たち3人をって、それじゃ"盗賊変態ベア"と同じじゃん!」
いいこと? こ、ここからが本当に羨ま......凄惨で狂喜乱舞なのよ!
ゴクリ 踊るんでっか?
③アイツは狙った美少女の装備と服を、ピンクビームで消滅させるの!
げぇっ
そして......すっぽんぽんにした美少女の体を、頭部の赤い筒がジーと音を立てて、まるで動画を撮影しているみたいに、卑猥なアングルを狙って来るの。わたし、何回も何回もテイクされたわ。
動画......
ピンクゴーレムは捕まえた美少女に、あんなポーズやそんなポーズをさせて、はぁはぁ、私、また興奮してきました。美小女にさんざん破廉恥なポーズを取らせた後、"カァットォォ"の声が聞こえるまで続け、やっと解放されるのはそれからなの。
「なんてこったぁ! そんな馬鹿な!」
「「げぇぇ!! まるでAV」」
ちなみに、なんと修行中の私がソロで潜った時の動画が、闇に流出してベストセラーになっているの。うふん今でも。因みに税込み69Gよ。私もソレを主人に内緒で買って持っているんだけど、あの現場を今思い出すだけでも......股間が震えるの。......興奮して
あへあふん トロ~ン
「ア、アイリスさんは、"盗賊変態ベア"と"ピンクゴーレム"に遭遇したって事か! 今までよく無事で」
「スッポンポンにされてしまった わ・た・し イヤ~ン。 そ、そうなのよユウちゃん、あの"ピンクゴーレム"に遭遇する為に、あれから大勢の女が2階層に潜ったの。下は10歳から上は90歳のお婆ちゃんまでが!
でもね、ブスと年増と三段腹は相手にしないのよ。その点、わたしアイリスちゃんとあなた達は合格だったってワケ。
当時冒険者のソロ修行中の身で、しかも今でも"ピッチピッチ"の私が、満点合格するのは当然だと思うでしょ? あなた達もそこそこだけど」
どう?
『"ピッチピッチ" をアピールするアイリスさんって』
俺は気を取り直して疑問をぶつけた。
「ヒーラーでもソロで潜るんですか? でもピンクゴーレムの試験に、満点で合格したんですね!」
満点
「何回でも言って頂戴。そうなの! わたしって、ゴーレムの特上のご馳走なのよね。んふぅ」
『うーむ、動画も撮られて合格 "んふぅ" とは! ここはまた、おめでとうと言うべきなんだろうか? 俺はもう分からなくなった』
「アイリスさん、このジャーブラ島では、美少女がモンスターに特に狙われると言う事ですか?」
「そうなのユウちゃん。それでわたしも気をつけているのよ。今でも」
『......アイリスさん、今でも2階層に潜るつもりなのかな?......それにしても動画が流出しているとは、この異世界に動画とか。いったいなんの為にだよ』
ユウガたちが転移したジャーブラ島の文化は、どう見ても近世ヨーロッパより前だ。転移して以来、家電製品などは見た事がなかった俺だ。
隣ではレイとランが、真剣な顔をして青ざめていた。
「......ユウ ピンクゴーレム なんて 恐ろしい 敵!」
「そうよね、あたしたち命は助かったけど、危うくスッポンポンで、帰る事になってたってワケだわさ。それに怪しい動画まで撮られて、それを売りに出されでもしたら」
『ラン、パーカーに自動で戻れるんだぞ』
「その時は......怪しい動画と言う道もあるぞラン。金が稼げるかも」
「バカ! リーダー、あたしはそ、そんな事は考えていないのよさ! まぁルックスとバディには自信があるけど......レイより」
ピキィン
「ラン!」
「それにしても、俺がゴーレムのブロウを受けた時、強化スペシャル・バニースーツが破れなかったら......恐らく俺は死んでいた」
「ユウ ポロリの お陰」
「リーダーより、あたしの方が悲惨だったわさ」
「あ ラン お前、股間○出しだったな!」
ぐっ見ぃたぁなぁ~
それを言い出したら、レイの"サンダー・ライデンドロップの方が悲惨なのだが、今はレイの名誉の為に黙秘しておいた。
______午後8時頃
旨い晩飯をたらふく食べて、そろそろ寝ようかと思っていた時だ。
"コングラチュレーション!!"
あの2階層をなんとかクリアしたのだ。俺はそろそろ奴が現れる頃だと思っていた。
「やぁやぁ諸君、今回は危なかったよね。まぁ無事生還出来ておめでとうって言わせてもらうわ」
ジョセフィーヌは内心焦っていた。バニースーツのフォース・フィールドを20%アップした程度では、ユウガ達はゴーレムに危うく殺されていたからだ。
最初から、ゴーレムのパワーブロウで、ユウたちは全滅していたかもしれない。
『ここはもっと強化しておかないと』
「少年、今回はかなり期待してもいいよ。後は閻魔帳を確認してちょ。ではさらばじゃ」
ぷっツん
「今日はなんか拍子抜けだな。もっとネチネチもったい付けて言うかと思ってたけど。取り合えず確認してみるか」
「ハロー閻魔帳!」
俺が代表して閻魔帳を呼び出すと、俺の左右にレイとランの頬がくっ付いている。まるで団子三兄弟だ。個別に確認しなくても、皆で見ればいいって事なんだろうけど。
『レイとラン、お前等くっつき過ぎだろ!』
なになに、ふ~む、こ、これは!
あはぁ~ん ユウ そ、そこは......
うわぁ~リーダー あ、あれを!
「あのな、真面目にやれよな」
てへぺろ
チーム"Cuty Bunnies" リーダー近藤 ユウ 16歳
称号 Kakedasi=D サバイバルナイフ美小女戦士
HP 80
MP 30
瞬発 LV4↑1
スキル 試行錯誤 LV2
武器 シャークテックナイフ LV2
防具 強化スペシャル・バニースーツ LV5↑1
魔法 Give LV1
魔女の加護 ロック中
鳥瞰図 LV3
閻魔帳+
北川 霊魔女の子孫な超絶ハーフ美少女16歳
称号 Kakedasi 魔法使い xxxのx
HP 60
MP 70
スキル 無い物ねだり LV3
武器 カーボンファイバー&チタン製槍"ユウラン"LV2 防具 強化スペシャル・バニースーツ LV5↑1
攻撃魔法 ファイアーボール LV5 ↑1
ファイアーボール・ウォール LV4 ↑1
サンダー・ライデンドロップ LV3↑1
魔女の加護
鳥瞰図 LV3
アラピカ魔法
閻魔帳+
名前 萌牟逗ラン 登録名ラン 超絶ハーフ美少女サウンド・ヒーラー 15歳
称号 Kakedasi ディテクティブ ポン娘
HP 40 Komachi Angel 装備時の効果
MP 50 Komachi Angel 装備時の効果
スキル 推理 LV3 ↑1
武器 スタッフ"Komachi Angel"
防具 強化スペシャル・バニースーツ LV5↑1
防御支援魔法 Ultra Soul LV3 Komachi Angel装備時の効果
聖魔法 イタイーノトンデケーノ LV4↑1 Komachi Angel 装備時の効果
B'sの加護
鳥瞰図 LV3 ↑1
閻魔帳+
「今回はHPとMPが強化されてるな。後はレイのファイアーボールと、ランのヒールがレベルアップしてる」
「ユウ バニースーツもレベルアップ してる」
「今回は皆、スッポにされたしね、これは有りがたいのよさ。あたしのイタイーノトンデケーノもレベルアップしてるから、骨折は治せるってコマちゃんが言ってた」
HPとMPのアップに加えて、攻撃力と防御力も上がっている。これならチームレベルが上がっているかも知れない。いずれにしても、俺達にとってゴーレム戦はいい経験になったのだ。
「油断はしていないつもりだったが、まさか扉が閉まってしまうのは想定外だった」
「うん ユウ これからは 扉が閉まる事も 考えましょ」
「でもさぁ、なんかエゲツないモンスターが続くのよさ」
確かにゴブリン、サンド・ワームにサンド・タコは納得出来るモンスターだった。
それはさて置き、3階層に踏み込んで、また扉が閉まって閉じ込められたら、どう戦うのか。チーム"Cuty Bunnies" は大きな問題に直面してしまった。
『袋の鼠......あんた達、またXXXに酷い目に合うんだけどさぁ、3階層がんばってよね』




