EP22 嵐を呼ぶか? 予感 異変・異世界恋バトルとXXX様
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第14日目 推定 8月14日 午前6時
まともな小屋が手に入ったと言うのに、朝から大変な思いをしていた。
俺の冒険者チーム"Cuty Bunnies" のスイート・プレハブ拠点は、布団と枕が標準装備で、寝心地はとても良かった......と思いたい。
布団と枕は最初から3セットあるのだが、俺の両サイドにはレイとランが相変わらず、べったりと付属して寝息を立てているからだ。
スースー(これはレイ)
グゥゥ お腹空いた (やっぱりラン)
同級生が見ていたなら、ユウガは正にハーレムの王だ。なにしろ我が高校、いや日本でも世界でもナンバー1と2の超絶ハーフ美少女、レイとランを両手で腕枕をしているのだから。
はぁぁ~
『ジョセフィーヌの奴、最初からこうなる事が分かってたな! スイート・プレハブ! 何を企んでいやがるんだあのハイ・ミスは』
「しかし、こんな超絶ハーフ美少女二人と、こうやって寝るのも大分慣れては来たけど......俺はゆっくり寝むりたい」
当然、俺の息子は現在行方不明だ。朝モッコなどには無縁の俺となっている。それはそれで大いに寂しいのだが、だんだんと精神までモノホンの女になっていくみたいで俺は怖いのだ。
「外見は女だけど俺は男だ! しかしこの頃、レイとランの匂いが体に染み付いている気がする」
これを外野の同級生が聞いたら、ユウガは拉致監禁されるか、亡き者にされているだろう。なんと羨ましい男なのだ。
ランとレイに興奮していた訳ではないけれど、俺は 睡眠不足が祟って日の出には起きられなかった。と言うかプレハブ拠点があるのなら、これからは時間を気にせず起きても問題はないのだろう。
昨日のサンド・タコは、レイのファイアーボールで炙っただけだったが、それでも塩味がほんのり効いていて美味かった。
レイの"無い物ねだり"を使えば、たこ焼きだって出せるのだが、俺はそれをあえて止めたのだ。
なんでも魔法を使うのは、それは甘えだからで俺のサバイバル精神に反する。これからは極力、自分たちの力で生きて行くという俺の主張を通して、3人で決めたのだ。
当然ランは不満だったらしいが、ここはリーダー特権を強行発動したのだ。
ただレイとランが頑なに主張する、一週間に一度だけはダンジョン後略と"寄って停"で一泊する案は、俺も大賛成である。俺は甘い!
______やっとモゾゴソと起き出したレイとラン。
「ボンジ ユウ」
ぐうぅぅ
「ラン、それがお前の挨拶かよ」
「だってぇ ふぁぁぁ~」
「お前らなぁ女だろ! いつまで寝ているつもりだ。とにかく朝食の準備だ」
「あの~先輩も女だよね? 今の発言は、女だからって差別だよリーダー」
『ちきしょ~ 言い返せねぇ』
くす
と言ってもいつものバナナ定食で準備も糞も無い。カットするだけなのだから。
俺はバナナを食べながらレイとランに、今日からの行動スケジュールを説明した。
なんと言っても、俺は冒険者チーム"Cuty Bunnies"のリーダーなのだから。
「今日は、反時計回りに歩測でマップを完成させる事と、途中で出会うモンスターとの戦闘。同時に食料調達だ」
「それでいい バニースーツ 戦闘に なった時 のみ」
「あたしも OK」
プレハブ拠点には、シャワーは付いているが水槽タンクは空のままだ。湧水から水を引く課題は残っているが、そこはアラピカ魔法の出番だ。
当然トイレの水洗も、水が無いのでアラピカだ。
「レイのアラピカが無かったら、いろいろ大変だったな」
「ふふ でしょ わたしに 感謝して ユウ 濃厚に」
「むぅ、レイだけ便利な魔法を持っているのね なんでよ悔しい!」
「ラン、お互いに足らない物があるから、チームを組むんだぜ!」
今の俺の言葉は、レイとランの股にぐっと響いたらしい。
ああん クネ クネ
「ふたりで 補うのが ふうふ いい言葉」
「あ、あたし ユウ先輩に惚れ直したわさ」
「ラン あなた」
ズゴゴゴ
「足らない物はタウンの雑貨屋で買うけど、それにしても金だ。モンスター討伐で魔石を集めて売る。今はそれしか無い」
俺たちは装備を纏めると、昨日のサンド・タコが現れたポイントまで移動した。
今度はマップが書き換えられているので、より詳しい鳥瞰図となっている。
「鳥瞰図ってさぁリーダー、上から見えたモンスターには反応するのよね」
「ああ、その通りだと思う」
ふ~ん
ランが探偵気取りで何か思案しているようだが、やかて頭の上に電球の球が光ったように見えた。
ピカ!
「リーダー、あたし謎が少しほどけたかも」
「パンツのゴムか? ゴムはここには無いから、パンツがズレ落ちたら大変だぞラン。そうなら涼しくてノーパンでもいいか?」
怒! H !
「うんとね、ダンジョンの暗い洞窟では鳥瞰図は使えない。でしょ? リーダー」
うむ
「でもさぁ、私のコマちゃんはゴブリンを感知してたわよね、あの時」
うむ。
「わかった ラン 言いたい事 サンド・タコ」
レイにはピンと来た。なにしろランが考える事は、大抵飯だ。
「むっ、レイ、あんた私の心を読んだわね」
「アホ、どうせそんなこったろうと思ったよ」
「隠れているモンスターを感知出来るなら、サンド・タコを探せるって事だな」
これは案外、食料探しに使えると俺は考えた。
5km地点、ポイント・サンド・タコから更に1km海岸沿いを進むと、コマちゃんが反応した。
"警戒せよ"
「出たな、サンド・タコ!」
それに反して、コマちゃんのナビは違った。
"サンド・ワーム 2 LV2"
「何これぇぇ超 キモイんですけどぉぉ!」
「気持ち わるいの」
「ゲッ、新手が2匹かよ、みんないくぞ!」
「「「チェンジ・バニー うっふん」」」
変身を終える前に、ミミズの親玉のようなサンド・ワームがお構いなく俺を襲って来た。
筒のような口には、サメのような鋭利な歯がズラリと並んでいる。
ギキギィィ
先頭の俺が狙われたが、ギリギリ変身が間に合った。
ガッキ ガッキ
「ふ、残念だったな。このバニースーツは防刃仕様なのさ。これでお前の攻撃は通用しない。成敗してくれる!」
相手の攻撃が通じないと分かれば、結構余裕が出るものだ。それが油断に繋がるのだが」
ビュッ ビュッ
サンド・ワームが何かを吐き出した。
ジュゥゥ
バニースーツが少し溶けかかっている。
「なんだ?」
「ユウ 強酸 避けて!」
くっ
俺は至近距離である事を好機と判断し、シャークテックナイフを一閃、返す手でまた一閃した。
スパァァ スパン
酸を吐いたサンド・ワームは、あっけなく輪切りになって沈んだ。
「一匹撃破」
「なら次は わたし ファイアーボール!」
轟!
レイのLV3のファイアーボールが、サンド・ワームの口目掛けて飛んだ。
ボゴゥア
ゴゥァゲゲケ
口に飛び込んだファイアーボールが、サンド・ワームを内部から焼いたのだ。
ドゥゥ
砂浜に不気味なミミズが倒れ込み、動かなくなった。
LV2 のサンド・ワームを苦戦せずに倒せたのは、チームの実力も上がっている証拠だ。
「やったな、レイ!」
「あちゃぁ、これは流石に食べたくないわ」
「ラン、また食い物かよ」
「だぁってぇぇ」
いくら何でも、見た目が悪いサンド・ワームだ。俺も食いたくは無い」
「「「チェンジ・ダッフンダ」」」
ここまで片道6km 往復で12km。この先歩測をしようにも、この位が限度だろう。俺は6km地点を、ポイントサンド・ワームと名付けて引き返す事にした。
______「いやいや、コマちゃんが知らせてくれなかったら、ちょっと危なかったかもしれないな。あいつ酸持ってやがったしな。だけど魔石はちっちぇ」
「ユウ モンスター レベル 低くても どんな攻撃して来るか 分らない 油断禁物 さっき勝った 思ってた でしょ」
......面目なし。
「ふふん皆の衆、私のコマちゃん様様でしょ」
ランは大威張りだが、変身しただけで特に出番はなかったのだが。
「あたし、これからコマちゃんの事、ナビコマちゃんと呼ぶわ」
「いいん じゃない? とても」
「ああ、俺も異論はないぞ」
俺たちはまた片道6kmを戻りながら、食料も探した。
一度マップに記録されたモンスターは、サンド・ワームであろうと、サンド・タコだろうと、鳥瞰図で表示出来るようになった。
『ふっ隠れていても無駄なのだよ』
5km地点でナビコマちゃんが反応。
「サンド・タコ 2匹 LV1」
おおっ!
「あのタコ、LV1 だったのか、いただっきぃ」
ここは変身しなくても、レイの新槍"ユーラン"とランのナビコマちゃんスタッフが砂を掘り、獲物を空中に放り上げる。
はぁぁぁっ!
ドス ドスゥ
砂浜に落ちる前に、レイとランが刺突を一撃入れて食材確保が簡単に終わった。
「ユウ、今日は 昨日より たくさん タコ 食べれる 刺身 してみる?」
おおっ!
「日本人なら刺身だ。しかし醤油とワサビがないぞ」
「今日は 特別に 無い物 ねだり.....ねっ」
「レイ、あんた、やる時はやるじゃん」
「食い物の話なら、ランはすぐ味方になるゲンキンな奴だ」
それ以上はナビコマちゃんの出番はなく、俺たちはバナナ、マンゴー、椰子の実を抱えてプレハブ拠点に戻る事が出来た。
______夕飯前の軽い雑談。
「拠点から往復12kmが1日の歩測の限界だと思う。それ以上進むと、体力的に問題があり危険だ」
「確かに」
「お腹 空くし疲れるぅ」
「それでだ。6kmポイントまでで一旦、歩測は中止。明日からは拠点から内陸へ1km歩測しようと思う。内陸の方が強いモンスターが出る。そこはナビコマちゃんにアシストしてもらえばと思ってる」
鳥瞰図により、ジャーブラ島の輪郭は大体判明している。俺たち3人の居る位置は、瓢箪型の縊れた所から少し南側の海岸だった。
海岸線をぐるっと回るより、一番距離の短い直線コースを歩測しようと考えたのだ。無論、内陸部には強いモンスターが出るだろう。それ故のナビコマちゃんだ。それにレイの新槍 漆黒の"ユーラン"もある。
「LV2 のサンド・ワームを倒せるんだ。次はLV3のモンスターを狙う」
「でもリーダー、ジャングルの中で戦闘になるじゃん。砂浜みたいに開けた場所じゃないし」
「縦列で進む。先頭は俺、中衛はレイ、後衛はランで今までと変更はない。明日は1kmだけ歩測して戻る。OK?」
「うん」
「まぁ、いいわさ」
返事が重い。きっとモンスターレベルが上がる事が不安なのだろう。
特にファイアーボールが使えない場合、レイの武器は新槍 漆黒の"ユーラン"だけだ。ユーランの性能は未知数だが、やはり心配だと思う。
「ここは特別に、レイのスキル"無い物ねだり"で武器を出すとか?」
「それは無理 武器 MP 最低3桁必要」
そ、そうだった。
ジャジャーン!
"警戒せよ"
「ナビコマちゃん、確かにジョセフィーヌはモンスターと同じ要警戒人物だよな。お前案外賢いじゃん」
"我、褒められていない"
おおっ?
「会話出来るのか! ナビコマちゃん!!」
現れたジョセフィーヌを無視し、俺達は驚愕した。
「あのさぁ、あたしを無視していいワケ? せっかく大事な話をしようと思って来たのにさぁ」
プンプン
「何だよ。言いたい事があるなら、さっさと言え」
ムカァァ
プッン
ジョセフィーヌの機嫌が悪くなったかと思ったら、プツンと切れた。
「間違いなくヒステリー女だな。切れて消えやがったぞ、アイツ」
「でもユウ 大事な話 ......気になる」
「ああ、なんだかんだでジョセフィーヌには世話になってる。今のはマズかった」
ジョセフィーヌが伝えようとした大事な話は気になったが、俺たちは夕飯にサンド・タコの刺身を堪能し、その日を終えたのだった。
異世界に転移させたのはジョセフィーヌ。全てアイツが悪いのだが、この世界で頼れるのはやはりアイツだけなのだ。
『俺はともかく、レイとランの二人だけは、元の世界に戻してやりたいな』
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第14日目 推定 8月14日 午後8時
ZZZZ
「お、お前等、離れろ!」
ZZZZ
「糞、二人共狸寝入りだろが!」
プっ
両手がレイとランの腕枕で、俺は身動きが出来ない。このまま朝まで眠れる訳がないのだ。
「しかし え~匂いや レイだけは」
『ムカ あたしの臭いは何なのさ?』
「ランはいつも食い物の臭いだからな、レイの方を向いて寝るか」
『そ そんなぁぁ~』
ユウガがレイの方を向けば、当然レイの唇は目の前にある。
「やばいな この位置は。危険でデインジャーな位置だ」
『ユウガ ふうふ チュー しても いい』
『なによー レイ 起きてる癖にぃ』
どういう訳かレイの思った事が、ランには筒抜けだった。これが恋の力なのか?
『プン あたしが説明してあげるわ。変身してなくても ラビット・イヤーの残存効果よ』
げぇぇ
ジョセフィーヌ!
起きていても、寝ていてもユウガを巡るレイとランの恋のバトルが続いているのだ。
『あたし だっ......やめとこ はっ XXX様 そこにいらしたのですか?』
『ふむ、ジョセフィーヌよ 余の計画は狂ってはおらんだろうな?』
『お任せを。全て順調ですわ XXX様』




